2周年を迎えた「povo 2.0」の現在地 トッピングはSuicaから着想、“オープン化“も視野に
オンライン専用プランの「povo 2.0」がサービス開始から2周年を迎えた。povo 2.0は2周年の節目として、「もっとできる、一緒なら。」を表現したpovo2.0のテーマソングを公開した。povo 2.0の今後の方向性について、KDDI Digital Lifeの秋山俊郎社長が語った。
オンライン専用プランの「povo 2.0」がサービス開始から2周年を迎えた。
povo 2.0は2周年の節目として、「もっとできる、一緒なら。」を表現したpovo2.0のテーマソングを公開した。povo 2.0がユーザーのやりたいことを支えるパートナーであることが表現されている。
また、povo 2.0はデータ使い放題(3日間)とプロモコード「データ使い放題(24時間)、5分かけ放題(3日間)、海外レギュラー0.2GB(24時間)」を含むバラエティーセット(980円)を9月29日10時から30日まで先着2万2222人に提供することに加え、データ追加0.5GB(3日間)と5分かけ放題(3日間)のプロモコードをセットにしたエントリーセット(220円)を9月29日10時から10月29日まで22万2000人にプレゼントする。
その他、povo 2.0は9月29日10時から10月29日までにpovo 2.0への新規加入により、2周年にかけた222GB(3日間)をプレゼントする。
そもそもpovoとはどのようなサービスなのか、今後、どのような進化を遂げるのかなどについて、KDDI Digital Lifeの秋山俊郎社長が説明した。
povoの歴史を振り返る 使う楽しみが増える仕掛けとは
povoは、KDDIが2020年11月2日に設立したオンライン通信サービスの運営子会社であるKDDI Digital Lifeと、オンライン型携帯電話事業を提供しているシンガポールのCircles Asiaとの協業により提供できるようになった。
サービス開始当初の2021年3月は、ahamo登場の影響を受け、20GBが月額2728円で使えるプランしか用意されていなかったが、2021年9月下旬から、「2.0」にアップデート。基本料金が0円になり、ユーザーがデータ容量を必要に応じてトッピングする形に変わった。
トッピング形式になったpovo2.0は、基本料を0円にしつつ、トッピングで自由にデータ容量や、音声通話定額オプションを追加できる、オンライン専用の料金プランとなる。トッピングはアプリから必要に応じて追加、購入することが可能だ。
「基本料金0円でトッピングできるスタイルにこだわってきた」と振り返る秋山社長は、サービス開始前に20GBのプランではなく、「最初から現在のようなトッピング形式で戦いたかった」と内情を打ち明け、「そのサービスへの思いは2年が経過した今でも変わらず、多様なユーザーに寄り添う、独自性の高い通信サービスを目指している」と話す。
単なる通信サービスだけでなく、パートナーとの取り組みもpovoの独自性となっている。秋山社長いわく、「povo2.0の拡大期」となる2023年は、povo 2.0がパートナーとの協業を通じて、次のようなトッピングを用意してきた年だったと振り返る。
- モバイルSuica定期券の購入で最大40GBがもらえる「ギガチャンス」
- JALのマイルをpovo 2.0のデータ容量に変換できる(実施期間:8月1日から10月31日)
- SNSデータ使い放題(期間限定)
- Google Play Pointsをpovo 2.0のデータ容量に変換できる
中でも特にユニークなのが別のサービスとの組み合わせだ。モバイルSuicaとJALの内容は、乗り物とデータ通信という全く違うジャンルを組み合わせた「新たな切り口」(秋山社長)で、povo 2.0が単なる通信サービスではないことの象徴になっている。
さらに、povo 2.0ならではのトッピングとしてアピールされるのは、「スマホギガトレード」だ。これは、スマートフォンやタブレットの買取り額に応じて、povo 2.0で利用可能なトレードコード20GB(30日間有効)と交換できるサービスだ。もう少しかみ砕いて説明すると、自宅に眠ったままのスマホ、あるいは使い終わった古いスマホがデータ容量に変わる、という内容だ。
それに加えて、秋山社長は「povo 2.0がユーザーに対し、端末を直接販売することは考えていない」と話す。端末が直接販売されて、それがpovo 2.0で使える、という発想ではKDDIの「au」「UQ mobile」と何ら変わないからこそ、「povoならでは」という点にこだわった結果、生まれたのがスマホギガトレードなのだという。
また、「データ0.5GB(3日間)」と、ローソンの「からあげクン」をセットにしたトッピングも注目されたようだ。データ容量が含まれるものの、からあげクンと同じ238円となっているため、ユーザーから好評だったという。
通信サービス単体として見れば、povo 2.0は「要望の多かった」(秋山社長)海外ローミングへの対応を果たし、待ち望んでいた人の声にようやく応えることが可能になったという。秋山社長は、「現地でSIMを買わずに済むことをメリットとして挙げ、「現地でデータの買い足しに利用してもらえたら」とアピールする。
その他、旅行や休日にSNSだけ使い放題にしたい人のニーズに応える「期間限定 SNSデータ使い放題」、1年間まとめてデータ容量を購入したい人に向く「期間限定 120GB(365日間)」についても、povo 2.0の定番的なトッピングになったという。
手を変え品を変え、多様なトッピングを用意し、使う楽しみが増えるようなサービス、それがこれまでのpovo 2.0だといえる。
2周年を迎えたpovoが目指すところ
では、2周年を迎えたpovoの方向性はどうなのか? 秋山社長は、ずばり初志貫徹の精神で、povo 2.0を進化させたい、との考えを明らかにした。「もともとはあらゆる使い方をしてもらいたい」という思いから始まったpovoだったが、秋山社長はサービス開始前の資料を見直し、当時、どのようなサービスを目指していたのかを整理したという。
povo 2.0の根幹的な仕組みとなるトッピングについて、秋山社長はSuicaやPASMOのように誰でも気軽に使えるプリペイドのようなスタイルから着想を得て、サービスの設計に当て込んだという。
SuicaやPASMOはいわずと知れた交通系ICカード。基本的には駅やクレジットカードなどでチャージし、その範囲内で使えるため、決済サービスの普及に拍車をかけた存在だ。
povoサービス開始前の2021年当時、「携帯電話の多くがポストペイド、つまり使用分を後から支払う形のスタイルとなっていた」中で、KDDIが新たにブランドを立ち上げ、通信サービスをデザインし直すならどうすべきか? と考えた結果、既に他の分野で広く浸透していたSuicaやPASMOのようなプリペイド(前払い)式を採用するに至ったのだ。
povoの進化のさせ方としては、先のような通信にとどまらない、いわゆる他のサービスをバンドルしたようなトッピングの用意だった。今後もpovo 2.0にこのようなトッピングがあらゆる形で用意されることはこれまでと変わらないとのことだが、2023年7月以降、povo 2.0では「毎月、新機能(ベータ版)を投入しており、ユーザーの反応を見て、実装の可否を決めていく」(秋山社長)としている。
一方で、povo 2.0に足りない点もまだまだ多く、実現に至っていないケースが多いという。
その1つがpovo 2.0のオープン化だ。「先々、povoのアプリにアクセスし、トッピングを買う流れではなく、パートナーのアプリからトッピングを購入できるようになれば、ユーザーの利便性向上につながる」と秋山社長。例えば、Googleカレンダーに出張や宿泊について書き込むと、数GBあるいは数日間使い放題のトッピングが自動購入される、というような連動があれば、便利だろうと記者は考える。
マルチアカウント化もpovo 2.0の今後の課題だという。povo 2.0で複数の電話番号を使い分けるには、それぞれ別のアカウントで管理しなければならず、アカウントの切り替え(実際はログイン/ログアウト)作業が必要になる。秋山社長は「povo 2.0ユーザーが仕事とプライベートとで電話番号の使い分けが、今後できるようになるべきである」と話す。
こうした構想の実現に向け、povo 2.0がどのように進化を遂げるのか。今後の動向も引き続き注視したいところだ。
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