総務省が「モバイル市場競争促進プラン」を公表 「端末値引き原則4万円まで」など短期的な取り組み予定を盛り込む
政府が定めた「デフレ完全脱却のための総合経済対策」を受けて、総務省が「日々の生活をより豊かにするためのモバイル市場競争促進プラン」を公表した。モバイル(移動体通信)業界の市場競争を促進するために短期的に行う施策を改めて紹介している。
総務省は11月7日、「日々の生活をより豊かにするためのモバイル市場競争促進プラン」を発表した。本プランでは、いわゆる「転売ヤー」対策など、今後のモバイル(移動体通信)市場の競争促進に向けて1~2年以内で重点的に取り組む施策が盛り込まれている。
本プランの概要
日々の生活をより豊かにするためのモバイル市場競争促進プランは、11月2日付で閣議決定された「デフレ完全脱却のための総合経済対策」において、携帯電話の料金やサービスの競争促進が盛り込まれたことから公表された。
今回のプランは、11月2日付で政府が策定した「デフレ完全脱却のための総合経済対策」を受けて公表された。携帯電話の料金やサービスの競争促進は、本図における1番にある「物価高から国民生活を守るための対策」の項目の1つとして定められている(参考リンク:PDF形式)(出典:内閣府)
本プランでは、2024~2025年度にかけて3つの柱と8つの取り組みに取り組むとされている。
納得感のある料金・良質なサービスの実現
1つ目の柱が「納得感のある料金・良質なサービスの実現」だ。消費者が携帯電話サービスを納得感のある価格で利用できることを通して、質の高いサービスを実現することを目指すという。具体的な取り組みは以下の通りだ。
- 「1円端末」販売等につながる過度な割引を規制(2023年内に実施)
- 総務省令の改正で利益提供(端末値引き)の上限を原則4万円に
- 回線契約とひも付かない販売(いわゆる「白ロム販売」)にも適用
- 中古端末の安心安全な流通の促進(2023年内から取り組みを開始)
- 中古端末の民間事業者団体(リユースモバイル・ジャパン)の取り組みを支援
- リユースモバイル・ジャパン(RMJ)が定める自主ガイドラインの改定を支援
- MNOによる代理店の指導強化(2023年内に実施)
- 電気通信事業法に基づくガイドラインを改正
- 販売代理店が不適切な業務運営が広範に認められる場合は、委託元であるMNO(※1)も指導責任を問われうることを明確化
(※1)自らモバイル通信設備を持つ通信事業者(NTTドコモ、KDDI、沖縄セルラー電話、ソフトバンク、楽天モバイル)
事業者間の乗換えの円滑化の加速
2つ目の柱が「事業者間の乗換えの円滑化の加速」だ。端的にいうと携帯電話の料金プランはより簡単に変えられるという周知を強化すると共に、MNP(携帯電話番号ポータビリティー)のワンストップ化に対応する通信事業者を拡大する取り組みを進めていくという。
周知に必要な予算については、2023年度(令和5年度)の補正予算で要求する予定だ。
MNPのワンストップ化は、MNO以外では日本通信とオプテージしか対応していない。MVNOにおけるワンストップ対応を進めるべく、2023年内にMVNOにおける対応予定時期を公表する他、手続き導入に向けた働きかけを行う
事業者間の公正な競争環境の整備の促進
3つ目の柱が「事業者間の公正な競争環境の整備の促進」だ。MNOの安価な料金プランによって、MVNO(自らモバイル通信設備を持たないキャリア)の相対的な競争力が低下していることを踏まえて、以下の取り組みを実施する。
- 通信・端末分離規制の基準値の引き上げ(2023年内に実施)
- 電気通信事業法に基づく「通信・端末分離規制」について、シェア基準を見直し
- 「0.7%以上」から「4%以上」とすることで、独立系MVNO(※2)を事実上除外
- これにより、インターネットイニシアティブ(IIJ)とオプテージが規制対象外に
- MNOの特定関係法人(※3)は、引き続き規制対象に
- 周波数の追加割り当て(2023年度内に技術的条件を取りまとめ)
- 急増するトラフィック(通信量)に対応すべく、4.9GHz帯を移動体通信用に割り当て・接続料の更なる低廉化
- MVNOの競争力を高める観点から、データ接続料の低廉化を進める
- MNOの利用者料金との比較を行う「スタックテスト」を通して価格を検証
- 2025年度までに、2023年度当初の価格から3割減を目指す
(※2)MNOの特定関係法人に該当しない(≒資本関係がないか、あっても支配/被支配の関係を有さない)MVNO
(※3)MNOの「親会社」「子会社」「兄弟会社」の他、政令で関係があると認めた会社
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