能登半島地震で鳴り響いた「緊急地震速報」 受信できないスマホはあったのか(2/2 ページ)
能登半島地震で最大震度6弱を観測したエリアにてこの揺れに遭遇したが、当然スマートフォンからは緊急地震速報が鳴り響いた。今回は筆者の手持ちのスマートフォンがどのような挙動をしたのか、振りかえっていきたい。緊急地震速報を受信できなかったスマホはあったのか。
今後の備えのためにも 緊急地震速報を受信できるか確認しよう
筆者は今回の震災にて緊急地震速報に助けられた身として、このような緊急速報を利用できる仕組みには感謝してもしきれない。スマートフォンによっては受信できるのか不明との声もあるので、いま一度「備え」という意味で受信できるか確認してみてほしい。
iPhoneでは通知の項目内のいちばん下に「緊急速報」という項目がある。ここがオンになっていれば緊急地震速報やエリアメールを受信することができる。項目内から消音モード(マナーモード)にて緊急速報の音を鳴らさない設定にもできる。
Androidスマートフォンでは総じて「通知」の項目に緊急速報の項目がある。メーカーによって階層が異なるが、おおむね通知の項目にあることが多い。キャリアで販売されている端末は「緊急速報メール」というアプリが入っているので、ここから受信設定や履歴の確認ができる。
また、緊急地震速報は携帯電話のネットワークを使う特性上、電波が届かないエリアや地形環境によっては受信できない可能性がある。規格上、受信できなかった場合に端末側から再送信リクエストが行われることもないため、手動で再度情報を得ることはできない。
圏外の場所での利用はもとより、停電等の理由で警報を受け取れない可能性も踏まえて、今後は衛星通信を用いたバックアップ用の配信システムも考えられる。このあたりはStarlinkなどが衛星コンステレーションという低軌道衛星を用いたネットワークを構築しており、一般的なスマートフォンを直接衛星と通信させる技術を確立したことで解消できる可能性がある。
日本ではKDDIとソフトバンク(法人向け)がStarlinkと提携しており、衛星を用いての携帯電話サービスを計画している。先の震災でも2社は被災地にStarlinkの受信設備を供与しており、大規模災害におけるインターネット回線の確保という意味では、「衛星通信は大きな効果を発揮した」と後々に語られることは間違いない。
さて、激しい揺れに見舞われた地域では、いち早く携帯電話ネットワークの復旧が進められている。これは被災者が情報を得る手段の確保という意味ではもちろん、緊急地震速報といった「即時に身を守るための情報」を得る手段の確立という意味でも重要だ。余震も続く関係から早急な復旧が急務なのだ。
筆者も災害派遣で能登半島を訪れた。震災から10日経過し、避難所を中心に利用できるエリアが広がっているが、依然としてつながりにくい箇所は少なくない。関係機関協力のもと全キャリア総力戦での災害支援、復旧が行われているのが現状だ。
災害はいつ起こるか分からない。先の震災も新年のお祝いムード真っただ中の元日に起こったものであり、「こんな日に……」と誰もが思ったものだ。緊急地震速報の設定の確認はもちろん、日頃から災害に対する意識を高めておくことが大切だと感じた出来事だった。
著者プロフィール
佐藤颯
生まれはギリギリ平成ひと桁のスマホ世代。3度のメシよりスマホが好き。
スマートフォンやイヤフォンを中心としたコラムや記事を執筆。 個人サイト「はやぽんログ!」では、スマホやイヤフォンのレビュー、取材の現地レポート、各種コラムなどを発信中。
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