MWC取材の醍醐味は業界関係者との「立ち話」――バルセロナで再確認した「Band41最強説」:石川温のスマホ業界新聞
スペイン・バルセロナで行われる「MWC Barcelona」には、モバイル通信業界のキーマンが集結する。インタビューや発表会で他社について言及することはまれだが、「立ち話」であれば他社についていろいろ聞けることもある。
MWCを取材するひとつのメリットとしてあるのが「立ち話」だ。会場を歩いていると、普段、取材のアポを入れないと話せないキーマンや、ちょっと昔にお世話になった業界関係者が歩いているので、挨拶がてら、普段、気になっていることを聞けたりするのが魅力だったりするのだ。
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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2024年3月2日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。
インタビュー取材や発表会では当然のことながら他社のことには言及しない。しかし、立ち話であれば、普段、思っていることを本音で語ってくれたりするものだ。
今年、立ち話した業界関係者に聞いて回ったのが「NTTドコモのパケ止まり問題、何が原因なんですかね」ということだった
何人かに聞いたのだが、特に説得力があったのが「Band41最強説」だ。
このメルマガでも度々、触れてきたが、Band41は2.5GHz帯となっており、日本ではKDDIがWiMAX、ソフトバンクがAXGPという名称で、それぞれ「TD-LTE」として利用している。
TD-LTEはデータ通信専用としての規格であり、UQコミュニケーションズ、Wireless City Planningとも全国規模でネットワークを整備している。
NTTドコモにはBand41がない。KDDIとソフトバンクはコロナ禍が落ち着いても、ネットワークには何ら問題がなかったのに、NTTドコモは苦労しているというのは「Band41がないから」という仮説が浮かび上がっている。
その仮説を信憑性のあるファクトによって「真実」に近づけているのが、アメリカのネットワーク品質事情だ。
OpenSignalの調査データによれば、いまのアメリカのネットワーク品質において、T-Mobileがダントツに評価が高いのだ。ただし、4Gに限った話であり、5Gとなるとベライゾンのほうが成績がいい。
T-Mobileといえば、ソフトバンクが買収したSprintと合併した経緯がある。SprintはかつてBand41を持ち、通信サービスを提供していたことがある。いま、T-MobileがSprintのBand41を活用しているからこそ、アメリカの3キャリアのなかで、ネットワーク品質がずば抜けていいのではないかという見立てだ。
日本だけでなく、アメリカでもBand41でTD-LTEを持っているキャリアが強いとなるとなんとなく「Band41最強説」に信憑性が帯びてくる。
ちなみにMWC会場では「LTEの父」ならぬ「TD-LTEの父」と呼べるような方にお目にかかり「NTTドコモのネットワーク品質、どう思いますか」と尋ねたところ「良い質問ですね。すぐに良くなるんじゃないですか。ドコモさんがそう言ってますから」とはぐらかされてしまった。
NTTドコモのネットワークを将来に渡って安定的に運用していくには地域BWAとして割り当てられているBand41をNTTドコモに割り当て、NTTドコモが地域BWAの代わりとしてサービスを提供するといった抜本的な改革が必要なのではないだろうか。
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