ソフトバンクとKDDI、5Gネットワーク共同構築の協業範囲を拡大 設備投資コストは削減
ソフトバンクとKDDIは5月8日、5G JAPANを通して実施している、5Gネットワークの共同構築に関する取り組みの内容をアップデート。協業範囲の拡大に関し検討することで合意。5Gだけでなく4Gの基地局資産の相互利用についても検討を進めるとしている。
ソフトバンクとKDDIは5月8日、5G JAPANを通して実施している、5Gネットワークの共同構築に関する取り組みの内容をアップデートした。まず対象を地方から全国へ拡大するなど、協業範囲の拡大に関し検討することで合意した。5Gだけでなく4Gの基地局資産の相互利用についても検討を進めるとしている。ソフトバンクとKDDIは、今回の協業範囲の拡大により、2030年度までに1社当たり累計10万局の基地局を共同構築し、1社当たり累計1200億円の設備投資コスト削減を目指すとしている。
両社は、あらゆる産業をカバーする5Gネットワークを早期に整備し、日本の産業育成や地方創生、国土強靭化に貢献することで、国際競争力の向上を目指している。その取り組みの一環で、2020年4月1日に合弁会社の5G JAPANを設立し、デジタルデバイド(情報格差)の課題を抱える地方の“5Gエリア早期整備”を目的に、両社保有の基地局資産を相互利用するインフラシェアリングで協力してきた。これまでに5G JAPANを通して、1社当たり3万8000局超の基地局を共同構築しており、対象局による設備投資コスト削減額は、1社当たり450億円になる。
このような成果を受けて、両社は今後も5G展開のさらなる加速と、コスト低減を進めるため、5G JAPANにおける協業の対象を拡大する検討を始める。エリアや通信方式の拡大に加え、両社の5G/4G 基地局建設での工法などの工事仕様の共通化や、部材の共同調達についても検討を進める予定で、2024年度に各種技術検討とトライアルを開始し、2026年度から本格的な協業範囲の拡大を目指すとしている。
なお、ソフトバンクとKDDIの2社は総合通信事業者として、通信の安定的な提供に力を入れ、通信障害や災害の発生時に通信ができなくなった際の早期復旧に向けた体制構築にも取り組んでおり、通信障害や災害で不通となった通信の復旧までの代替手段となる「副回線サービス」の提供で協力している。ソフトバンクが2023年4月12日、KDDIが同年3月29日から提供しており、“NTTドコモよりも先”に提供を始めたことも注目を集めた。ソフトバンクとKDDIの2社は今後、通信の早期復旧に向けた対応に関しても協力して進めることを検討する。
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