KDDIとソフトバンク、基地局資産の相互利用で合意 5G基地局の早期整備に向けて
KDDIとソフトバンクが、両社が保有する基地局資産の相互利用に合意。地方部における5G(第5世代移動体通信システム)ネットワークの早期整備に向けて、共同施工管理会社の設立も視野に検討を進めるという。
KDDIとソフトバンクは7月3日、両社が保有する基地局の資産を相互利用し、地方における5G(第5世代移動体通信システム)ネットワークの早期整備を共同で推進することで合意した。今後、工事設計や施工管理を行う共同施工管理会社の設立も視野に入れた検討も進める。
今回の合意に伴い、両社では準備室を設置。2019年秋に北海道旭川市、千葉県成田市と広島県福山市においてプロセス効率化と整備期間短縮の効果を測定する共同実証に取り組む。
5G基地局は「たくさん」「地方にも」設置する必要がある
日本において、現時点の5Gネットワークは「3.7GHz帯」「4.5GHz帯」「28GHz帯」といった、従来のLTE(4G)ネットワークよりも高い周波数帯の電波が割り当てられている。一般的に、電波は周波数が高ければ高いほど届く距離が短くなる。つまり、より多くの基地局を設置しなければならない。
一方で、5Gを地域課題の解決や地方創生に活用する観点から、総務省では5G基地局の開設(免許交付)に当たり「全国への展開可能性」と「地方での早期サービス開始」を条件として掲げている。言い換えれば、サービス開始後、早期に地方でも5G通信サービスを提供することが求められている。
今回のKDDIとソフトバンクの取り組みには、5G基地局を比較的早期に「たくさん」「地方にも」設置しなくてはならないという事情が関係しているものと思われる。
今回の取り組みを通して、両社では「あらゆる産業をカバーする5Gネットワークを早期に整備し、日本の産業育成や地方創生、国土強靱(きょうじん)化に貢献することで国際競争力の向上を目指して」いく。
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