「Pixel Buds Pro 2」「AirPods Pro 2」徹底比較 ノイキャン性能、音質、使い勝手はどう違う?(3/3 ページ)
Googleは完全ワイヤレスイヤフォン「Google Pixel Buds Pro 2」を9月26日に発売する。耳へのフィット感を高めたデザインとなった他、同社製品初の「Tensor A1 チップ」搭載で、音声処理や通話音質の向上に寄与する。価格が近い「AirPods Pro 2」と比較した。
手首でAIアシスタント「Gemini」とやりとりできるPixel Buds Pro 2 スマートウォッチとの連携は?
使い勝手についても気になるところだ。Pixel Buds Pro 2で特筆すべきは、AIアシスタント「Gemini」との連携だ。より自然な対話ができる「Gemini ライブチャット」を利用できる。こちらは月額プラン「Gemini Advanced」(6カ月間は0円、以降月額2900円)の加入者が利用できる。「新しいアイデアについて話したり、面接の練習をしたりする」のに役立つという。
日本では現在、英語でしか利用できないが、Google Japan Blogによると、「スマートフォンからGemini ライブチャットを立ち上げた後、スマートフォンをロックしてポケットにしまい、あとはGeminiと自由に会話するだけ」だそうなので、日本語に対応したら使ってみたい。
日本語にはまだ対応していないが、Pixel Buds Pro 2で「Gemini ライブチャット」を利用できる。AIアシスタントと自然にやりとりができる。画像はGoogle Japan Blogより引用
Geminiに関しては将来的に「Google Pixel Watch 3」との連携も図ってほしい。というのも、スマートフォンを都度、取り出してイヤフォンを操作するのは面倒だし、せっかくのGemini対応ならば、Geminiに問いかけた回答を音声でPixel Buds Pro 2に、文字でPixel Watch 3に表示する、なんて使い方がかなうと便利だろう。
Pixel Watch 3とPixel Buds Pro 2の組み合わせでいうと、Pixel Watch 3の「レコーダー」アプリもPixel Buds Pro 2との連携がイマイチなところ。Pixel Watch 3のマイクから拾った音声を録音したり、Google アカウントでバックアップを行ったりできるレコーダーだが、Pixel Buds Pro 2のマイクに切り替えられないのが難点だ。
例えば、対面した際、相手に近い場所にPixel Watch 3を置き、相手の発話内容をPixel Watch 3のマイクで、自分の発話内容をPixel Buds Pro 2のマイクで拾って、聞き取りやすい音声に変換してくれる機能があるとうれしい。狭い部屋での録音ならPixel Watch 3のマイクでも十分だろうが、インタビューや会議の際に自分と相手との距離が離れている場面では、Pixel Watch 3とPixel Buds Pro 2の連携が欲しいと感じる。
音声の処理に負荷がかかりそうだし、録音はスマートフォンの「Pixel 9」シリーズに頼れば済むといえばそうなのだが、スマートウォッチとイヤフォンの組み合わせで得られる「体験」をアップデートしてほしい。全てがスマホで完結してしまうと、スマートウォッチとイヤフォンを別途購入する意義が損なわれるからだ。これはApple製品にもいえる。
ヘッドトラッキングも便利な機能の1つだ。AirPods Pro 2には「うなずき」「首振り」の動作を生かした機能がある。例えば、頭を上下に動かしてうなずくだけで、かかってきた電話に応答できる。拒否する場合には首を左右にふれば済む。音声アシスタント「Siri」とのやりとりにも、このヘッドトラッキングを利用できる。これはPixel Buds Pro 2にもほしい機能だ。
AirPods Pro 2には便利機能の1つにジェスチャー操作がある。例えば、「うなずき」「首振り」だけで、電話応答/拒否が可能だ。試すには「頭のジェスチャを試す」をタップ(画像=左)する。うまく動作すればチェックマークが表示される(画像=右)
なお、ヘッドトラッキングを利用した空間オーディオはどちらも対応している。空間オーディオはまるでその場にいるかのようなサウンドの体験を指すが、対応コンテンツやプラットフォームが限られていることに留意したい。AirPods Pro 2なら「Apple Music」「Apple TV」、Pixel Buds Pro 2なら「HBO Max」「Netflix プレミアムプラン」などのストリーミング サービスで試せるという。
Pixel Buds Pro 2はマルチポイント接続にも対応する。例えば、プライベート用のPixel 9 Pro Foldで動画を視聴している最中に、会社支給のiPhoneに着信があった場合、音声の出力先をPixel 9 Pro FoldからiPhoneに自動で切り替わるため、着信時にはユーザーによるペアリングの解除や切り替えなどの操作は不要だ。
異なるOSの端末を2台利用する場合に役立つマルチポイント接続。Pixel 9 Pro Foldで動画を視聴している最中に、iPhoneに着信があった場合、音声の出力先をPixel 9 Pro FoldからiPhoneに自動で切り替わる
AirPods Pro 2でも似たようなことは可能だが、AirPods Pro 2とペアリングする全デバイスで同じApple IDでサインインしたり、最新バージョンのiOS、iPadOS、macOSを利用したりしなければならず、いわゆるApple縛りがあって不便だ。このようなOS縛りが嫌な人にはPixel Buds Pro 2をおすすめしたい。
充電ケースの使い勝手についてはどちらもよい。どちらも手で握りやすいフォルムで大きすぎずちょうどいい。サイズはAirPods Pro 2が60.6(幅)×45.2(高さ)×21.7(厚さ)mm、Pixel Buds Pro 2が63.3(幅)×49.9(高さ)×25.0(厚さ)mm。Pixel Buds Pro 2はAirPods Pro 2より幅が2.7mm細く、高さが4.7mm低く、厚さが3.3mm薄くなっている。
イヤフォンを収納した状態の充電ケースを「探す」機能はどちらも使える。AirPods Pro 2なら「探す」アプリ、Pixel Buds Pro 2なら「デバイスを探す」アプリから利用できる。基本的な使い方も似ている。アカウントでログインし、地図上で探したいデバイスを確認でき、充電ケースのスピーカーから音を鳴らして探すことも可能だ。
イヤフォンのおおよその位置をスマートフォンで探せる機能がどちらの製品にもある。探すからAirPods Pro 2を確認する画面(画像=左)と、デバイスを探すアプリからPixel Buds Pro 2を確認する画面(画像=右)
ただ、紛失を未然に防ぐという意味でいえば、AirPods Pro 2の充電ケースに軍配が上がる。充電ケースにストラップホールがあり、ストラップを金属の穴に通して、カバンやリュックサックのチャックに取り付け、落ちないようにポケットなどに収納しておけば、紛失を防げるだろう。これはPixel Buds Pro 2にも欲しいところだ。
Pixel Buds Pro 2とAirPods Pro 2、どんな視点で選べばいいのか
ここまでの内容を踏まえると、圧倒的にスタイリッシュな見た目のPixel Buds Pro 2はANC性能が不十分で、AirPods Pro 2は筆者の耳にはフィットしづらいものの、イヤフォンだけで完結できる便利機能があり捨てがたい、といったところ。Gemini ライブチャットの日本語対応でPixel Buds Pro 2の真価はさらに高まるはずだ。
デバイスを探す機能やGeminiを含め、Googleのサービスに依存するならPixel Buds Pro 2、Apple Musicをよく利用し、ジェスチャー操作に魅力を感じるならAirPods Pro 2を選ぶといいだろう。短期間での試用だが、両モデルの完成度の高さを実感できた。それゆえ、高価な完全ワイヤレスイヤフォンでもある。
(製品協力:グーグル合同会社)
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