OPPOが3年ぶりハイエンド「Find X8」を投入する真意 カメラはライカと競合せず、折りたたみはキャリアとの協業がマスト(3/3 ページ)
OPPOのスマホやタブレットなどを日本で手掛けるオウガ・ジャパンは、約3年ぶりとなるハイエンドモデル「OPPO Find X8」を発売した。ハイエンドモデルを望む日本ユーザーの声に応えた形だ。とはいえ、なぜ3年ものブランクが空いてしまったのか。
iPhoneユーザーにOPPOならではの体験価値を提供していきたい
―― 周辺機器に関しては、OPPOに限らず使えるものというアナウンスがありました。これはiPhoneなどで使えるものをサードパーティーとして出していくということなのでしょうか。
中川氏 アクセサリーのご要望は非常に多くいただいていたので、OPPOに限らず、iPhoneでもお使いいただけるようなものは拡充していきたいと考えています。AndroidとiOSの垣根を超えたものを出していきたいですね。
河野氏 充電器もそうですし、モバイルバッテリーもそうです。海外だと、携帯電話ショップの中に自分だけのスマホケースを作れるようなコーナーがありますが、グローバルではそういうこともやっています。
―― なぜそこまで広げていくのでしょうか。単純にもうかるからというだけではなさそうですが。
河野氏 1つには、iPhoneからの乗り換え需要が高まっていることがあります。私どもの製品にもiOSからの移行アプリがありますが、iPhoneからAndroidに乗り換えたいというニーズがあり、その中で候補として知っていただくためにはOPPOを“どこかで見たことがあるメーカー”にする必要があります。モバイルバッテリーを使っていたので、だったらスマホも触ってみようといったきっかけになればいい。
もともとOPPOのスマホを使っている方に、より使いやすくなるようなアクセサリーを提供する目的で開発していたものですが、そこから一歩踏み出し、iPhoneをお使いの方にもOPPOならではの体験価値を提供していきたい。その1つにソフトウェアがあり、もう1つとしてハードウェアに踏み込んだ形になります。
折りたたみスマートフォンをSIMフリー単体で売ることはない
―― 実際にFind X8を出してみて、反響はいかがでしたか。
河野氏 2つあります。1つは、既にOPPOというメーカーを知っていた方からの反響です。Reno AシリーズやAシリーズを使っていた方に、「OPPOにはこんなスマホもあるんだ」と喜んでいただけました。「Reno7 A」から「Reno9 A」で目立つようなスペックアップをしなかったこともあり、「OPPOがいいよ」とReno9 Aをご家族などに勧めた人の中には、あまり変わっていなかったことにガッカリされた方がいます。これはFind X8を日本に持ってきた目的のほんのごく一部ではありますが、この端末を見て「こういう製品もあるんだ」と認知していただけたのは非常に大きかったと感じています。
もう1つはカメラ好きの方々からの反響です。発表会でも「ライカ対ハッセルブラッド」のような質問が出ましたが、先ほど申し上げたように方向性が異なるため、万人がライカ好きというわけではありません。確かにライカで撮れる絵はエモいですし、個人的にもすごくいいなとは思います。こういうように撮れていたらいいなという絵作りをしてくれる。ただ、それとは違う絵がほしい方もいます。Find X8を見たそういう方々からは、「ハッセルブラッドなら触ってみたい」「買ってみたい」という声をいただいています。
―― ちなみに、前回のハイエンドから3年たちましたが、次回はさすがに3年待つことはないですよね。
河野氏 こち亀(こちら亀有公園前派出所)に日暮というキャラがいますが……(笑)
―― いやいや、それだと4年に1回になっちゃうじゃないですか(笑)。Findシリーズにはフォルダブルもありますが……。
河野氏 はい。Findには縦型と横型、両方の折りたたみがあります。ただ、少なくとも折りたたみはSIMフリーで単体販売することはないですね。語弊があるかもしれませんが、半ば壊れることが前提の端末は出せません。キャリアショップであれば、持ち込んでその日のうちに修理してもらえますし、そういった安心感があれば買ってもらえる。実際、縦折りのものについては極端に壊れやすいということもないのですが、折りたたみに関してはキャリアとの協業がマストだと思っています。
キャリア側の想定しているお客さまと、私どもの端末が提供できる価値が合えば、ぜひ採用していただきたいですね。一方で、メーカーとして見せていきたいものがあれば、Find X8を単体で出したようにやっていきたい。Find X8は非常に好評でありがたい限りですが、そういったお声をいただきながら次期モデルも発売できればいいなと思っています。
取材を終えて:Find X8の投入は将来のAI拡充に向けた布石
3年ぶりにハイエンドモデルを投入したオウガ・ジャパンだが、その背景には、AI搭載に本腰を入れたOPPOの方針があった。AI対応はスマホのゲームチェンジになる可能性があるといわれているだけに、タイムリーにそれを市場に示していくことが重要になるというわけだ。逆にいえば、このタイミングでAI機能に先行するメーカーにキャッチアップできなければ、先細りしてしまう可能性もある。
OPPOはクラウドで処理するAIにも注力しているため、今後、同様の機能がReno Aシリーズに搭載されていく可能性もある。それを最高のパフォーマンスで動かすなら、現時点ではハイエンドモデルが最適解だ。その意味で、Find X8の発売は将来の拡大に向けた布石と捉えることもできる。ただし、肝心の日本語への対応がアップデートになる点は少々残念。3月以降のアップデートで、この機種の真価が発揮されることを期待したい。
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