PayPayと三井住友カードの“大連立”が生まれた背景 ソフトバンクの携帯料金値上げも抑えられる?(4/4 ページ)
三井住友カードとソフトバンクは5月15日、デジタル分野における包括的な業務提携に合意したと発表した。三井住友カードのOliveやPayPayなどの連携によって、新たな取り組みを展開していく。三井住友カードとソフトバンクの連携においては、まずはソフトバンクがヘルスケアサービスをOlive向けに提供する。
提携で携帯料金を値上げをせずに済む?
携帯各社は現在、携帯料金値上げに向けた取り組みを進めている。先行して値上げしたNTTドコモ、KDDIに対して、楽天モバイルは値上げを否定。そしてソフトバンクは、早期の値上げではなく慎重に検討する構えを見せている。
今回の提携によって、同社の金融連携プランである「ペイトク」に三井住友カードとの連携を加えるかという問いに対して、宮川氏は「まだ議論のスコープから外れているが、いいアイデアをいただいた」と笑い、まだ検討に至っていなかったようだ。
料金値上げに関して、宮川氏自身は「値上げしなくて済むなら本当は値上げしたくない」と正直なコメント。今回の提携のような工夫を実施していくことで、携帯料金以外の収益源を拡大することで、インフレに対応できるようになれば、値上げを避けられる可能性がある。「値上げの話が1回ペンディングになることがベストなので、色んなトライをしていきたい」(宮川氏)
今回の提携では、PayPay残高の出金が三井住友銀行口座に対しては手数料無料になる。特にTrunkが狙う中小規模の事業者であれば、PayPayでの仕入れの決済などをしている場合もある。そうしたときに無料で出金できるTrunkをメリットとする、というプロモーションも考えられるだろう。中島氏は、「言われて初めて気付いた」としつつ、「Trunkは非常に好調に(予約が)積み上がっているので、PayPayとの提携で、これまでリーチできなかった層にも可能性が出てくるかもしれない」と話す。
PayPayに三井住友カードをひも付けたときのキャンペーンの扱いなども決まってないということで、今回の提携発表では、方向性が示されただけで、具体的な内容に関しては今後詰められるということのようだ。
例えばヘルスケアポータルは2025年度中にも提供開始とされているが、それ以外は具体的な時期が明言されておらず、今後詳細を決定してからサービス提供につなげていく見込みだ。
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