メルカリで「モバイルバッテリー」の出品を禁止すべきか──広報の回答は?
近年、山手線の列車内や駅などでモバイルバッテリーの発火事故が相次ぎ、その安全性や正しい利用方法への関心が高まっている。ネット上では、モバイルバッテリーの個人間売買自体を問題視する意見も見られる。そこで本記事では、メルカリ広報のコメントや公式サイトの情報を交えながら、モバイルバッテリーの個人間売買について整理する
近年、山手線の列車内や駅などでモバイルバッテリーの発火事故が相次ぎ、その安全性や正しい利用方法への関心が高まっている。ネット上では、モバイルバッテリーの個人間売買自体を問題視する意見も見られる。そこで本記事では、メルカリ広報のコメントや公式サイトの情報を交えながら、モバイルバッテリーの個人間売買について整理する。
メルカリの「ガイドライン改定」を振り返る
まずはメルカリのガイドラインから確認する。メルカリは2022年9月1日、Webサイト上で「バッテリーの出品に関するお知らせ」を公開し、禁止されている出品物に関する基準を改定した。これは、利用者に安心して取引してもらうために、安全性に問題がある商品をあらためて出品禁止対象としたものである。
新たに出品が禁止されたものには、膨張や破損、故障があるスマートフォンやPCなどの電化製品、新品や未使用に近い状態ではない外付け・着脱式バッテリー、そして商品状態に関わらず非純正(互換品)のバッテリー類が含まれる。改定まで対象はモバイルバッテリーや工具用バッテリーに限られていたが、改定後は車用や自転車用なども含むバッテリー全般が対象となった。
メルカリ広報によると、改定後のリストに記載のあるバッテリーについては、「2025年8月現在も出品禁止」になっている。
電化製品本体に付属する純正バッテリーは例外だが、出品者が基準を満たさない商品を出品した場合は、事務局が削除するとしている。
「モバイルバッテリー出品禁止」の判断基準は?
次に、モバイルバッテリーの出品を禁止すべきかどうか、メルカリはどのように考えているのだろうか──。メルカリ広報は「明確にこうするとは言いにくい」と前置きした上で、判断の基準を次のように説明した。
「私たちメルカリでは『安全であること(Safe)』『信頼できること(Trustworthy)』『人道的であること(Humane)』の三つを柱としたマーケットプレイスの基本原則を定めています。これはいわば憲法のようなもので、その方針に準じて判断を行っています。原則は社内だけで決めているのではなく、外部有識者を交えたアドバイザリーを定期的に開催し、レビューや見直しを重ねながら、ステークホルダーとの対話も踏まえて検討を進めます」
利用者自身も正しい使い方を意識すべき
もちろん、ガイドラインの厳格化や出品削除といった運営側の対応だけで、全てのリスクが解消されるわけではない。利用者自身がモバイルバッテリーの性質を正しく理解し、注意を払うことも欠かせない。
フリマサービスでの売買においては、ガイドラインや禁止出品物を理解することが不可欠だ。さらにフリマサービスの利用者自身も出品されているモバイルバッテリーの安全性を確かめて、慎重に購入を検討する必要がある。
加えて、出品する側としても中古のモバイルバッテリーの危険性を理解し、正しい処分の方法を知っておくべきだ。処分方法の具体的な内容については、ITmedia Mobile(本誌)の解説記事を参考にしていただきたい。
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