メルカリモバイルが料金プランを刷新した理由 iPhone商戦にらみ“メルカリがお得になる”仕掛けも(1/2 ページ)
メルカリが9月1日から「メルカリモバイル」の料金プランを刷新し、新たな特典プログラムを提供する。40GBプランを追加したことで、余ったギガの出品がさらに増えてギガの売買が活性化する可能性がある。メルカードを持っていない人がお得になる仕組みも検討しているという。
メルカリが9月1日からMVNOサービス「メルカリモバイル」の料金プランを刷新し、新たな特典プログラムを提供する。
2025年3月から提供しているメルカリモバイルは、余ったギガ(データ容量)をメルカリ上で売買できることが特徴のサービス。料金プランは2GBと20GBというシンプルな内容だったが、なぜ改定したのか。また、新特典プログラムは、どのような狙いで設計したのか。
多様なニーズに応える4つのデータ容量
メルカリモバイルの料金プランでは、9月からは2GBを料金据え置きで4GBに増量し、新たに10GBと40GBのデータ容量も用意する。月額料金は4Gが990円、10GBが1730円、20GBが2390円、40GBが3700円だ。
プランを改定した理由について、メルカリ 執行役員 CEO Fintech 兼 MVNO事業責任者の永沢岳志氏は「まずは2GBか20GBという、一番少ないところから始めた。増やそうと思えば1GB単位でも増やせるが、お客さまの声を聞き、他社とも比較した上で、4つに増やすのがバランスをいいと判断した」と話す。2GBを4GBに増量したのも、他社のサービスを比較した上で決めたそうだ。
10GBと40GBを追加した理由については、5GB前後の小容量、10~20GBの中容量、30GB超を大容量と考え、それぞれの容量帯で選べるようにしたかったためだという。メルカリモバイルユーザーのデータ使用量が増えているというよりは、競合プランと比べて見劣りしないことを重視したようだ。40GBは、MVNOのサービスでは多い方だが、例えばこれまで20GBのプランを契約している人が40GBに変更し、余ったデータ容量をメルカリで売るといった使い方ができることも想定している。
メルカリをお得に使える特典も提供 「メルカード ゴールド」を優遇
新特典プログラムとして、メルカリと連動した「買う特典」と「売る特典」を9月から提供する。買う特典では、メルカリでの買い物に使えるポイントを月最大1000ポイント還元する。売る特典では、メルカリでの出品時にかかる販売手数料を50%オフにするクーポンを月最大5枚(上限1000円)もらえる。
いずれの特典も、契約しているプラン(データ容量)と、メルカード ゴールドの有無で還元ポイントや手数料の免除額が異なる。
買う特典では、メルカードを持っているまたは持っていない場合は+5%(上限月200~600ポイント)の還元になり、メルカード ゴールドを持っている場合は+10%(上限月200~1000ポイント)の還元になる。上限1000ポイントの還元を受けるには、メルカード ゴールドと40GBプランを契約する必要がある。メルカード ゴールドを使ってメルカリで買い物をすると、1~4%のポイントが還元されるため、今回の特典プログラムを合わせると、最大14%還元となる。
還元されたポイントは、メルカリモバイルの支払いに使えるので、そのポイントを引いた金額を「実質負担額」として打ち出す。ただしポイント還元を受けるには、メルカリで買い物をする必要がある。例えば4GBプランなら2000円の買い物で上限の200ポイントが還元されるが、最上位の40GBプランで上限の1000ポイント還元を受けるには、メルカリで1万円買い物する必要がある。カードを持っているだけではポイントは付与されないので注意したい。
売る特典では、メルカードを持っているまたは持っていない場合は月1~3枚、メルカード ゴールドを持っている場合は月1~5枚の販売手数料50%オフクーポンが配布される。最大5枚(上限1000円)のクーポンをゲットするには、メルカード ゴールドと40GBプランを契約する必要がある。
つまり、メルカード ゴールドを契約し、契約プランのデータ容量が増えるほど還元額やクーポンの上限も上がるというわけだ。
メルカリモバイルのサービスを発表した2025年3月当初、「メルカリやメルカードを使っているとモバイルがお得になるといったプログラムも展開する予定」としていた(メルカード ゴールドは、メルカリモバイル開始後の3月17日に発表した)。今回の新特典プログラムは、当初の発表を形にしたものだ。
しかし永沢氏によると、2025年3月当初は特典について構想すらしておらず、この半年間、急ピッチで実装してきたという。「急いでいるからといって分かりづらいものにしては意味がない」との考えから、プログラムの内容は、極力シンプルになるよう努めた。
特典を「買う」と「売る」で分けたのも、シンプルさを追求したため。この2つをミックスさせ、メルカリで買った場合と売った場合、それぞれでポイントを還元する/販売手数料を割り引くとなると、仕組みが複雑になり、実装に時間がかかる。
シンプルな実装にした反面、月によって買う特典と売る特典を切り替えることは現時点ではできない。特典を変更するには、一度メルカリモバイルを解約→再契約して特典を申し込む必要がある。月によって出品が増えたり、買い物が増えたりすることがある人なら、特典を切り替えたいニーズはあるはず。そのため、特典の切り替えについては検討しているとのこと。
もう1つ、特典について検討しているのが、他社のクレジットカードを利用しているケースだ。「他社のカードでメルカリを使っている人に対して、メルカリモバイルを使ったらメルカリがお得になる、といったことはやりたい」と永沢氏は話す。メルカードを持たないユーザーへの特典は「実装に時間がかかる」(同氏)ため、今後検討していくことになる。
関連記事
「メルカリモバイル」の料金プラン刷新 4GBで月額990円から、メルカリで最大14%還元の特典も
メルカリが、MVNOサービス「メルカリモバイル」の料金プランを改定する。9月1日以降、2GBの料金を据え置きで4GBにデータ容量を増やし、10GBや40GBのプランを新設する。10月1日以降、メルカリをよりお得に利用できる新特典プログラム「買う特典」と「売る特典」を提供する。「メルカリモバイル」なぜ“最低限の機能”で開始? ギガを繰り越せない理由は? サービス責任者に聞く
フリマアプリ最大手のメルカリが、MVNOとしてモバイル事業に参入し、「メルカリモバイル」の提供を開始した。根底にあるのは「あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる」というメルカリのミッション。3月に間に合わせるため、ミニマムな状態でサービスをスタートさせた。「メルカリモバイル」を契約して“ギガの売買”にチャレンジしてみた お得度や通信速度も検証
メルカリモバイルは、データ通信量や請求額をメルカリのアプリ上で管理できる点に加え、特にデータ容量(ギガ)が売買できる点が話題になりました。筆者も早速契約し、通信速度の検証や、実際にギガを売買してみました。通常のメルカリとは異なるフローであることが分かりました。メルカリがMVNO事業に参入したワケ 売買したギガは「繰り越せない」が、ニーズを満たせると判断
メルカリが3月4日、MVNO事業に新規参入し、「メルカリモバイル」の提供を開始した。メルカリモバイルは、フリマアプリのメルカリで誰でも簡単に申し込みを完結でき、データ容量をメルカリのように出品、購入できる機能が大きな特徴。同日開催の記者発表会場には、メルカリ 執行役員CEO Fintech 兼 新規事業責任者 永沢岳志氏が登壇し、新サービスの概要やMVNO事業への参入意図を語った。「メルカード ゴールド」提供 街の買い物で最大2%還元、利用限度枠が最大300万円に
メルペイが、新たなクレジットカード「メルカード ゴールド」を3月17日から提供する。「メルカード」の特徴をベースに、利用限度枠やポイント還元、付帯サービスなどを拡充した。年間200万円を利用すると1%のボーナスポイントが追加され、メルカリ以外での買い物が最大2%還元になる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.