Apple幹部がEUのデジタル市場法に「公平な競争ではない」と猛反発 “過激な解釈”で日本の「スマホ新法」に影響も?(2/2 ページ)
欧州連合(EU)で施行されたデジタル市場法(DMA)により、欧州でAppleが提供する機能の一部を使用できなくなっている。AppleにはOSや課金システムの開放、相互運用性の確保を求めている。この状況に、ジョズの愛称で知られるAppleのワールドワイドマーケティング担当上級副社長 グレッグ・ジョズウィアック氏が不満を爆発させた。
サムスンやXiaomiに規制がないのは「公平な競争ではない」 日本のスマホ新法に影響も?
日本ではトップシェアを誇るAppleだが、欧州ではサムスン電子に次ぐ2位で、スペインなどでシェアの高い3位のXiaomiに猛追されている。この状況で、Appleにのみ、こうした規制が課されていることもジョズウィアック氏が疑問視している点だ。
「このルールはサムスン電子には適用されませんし、急速に成長している中国のメーカーにも適用されません。私たちにのみ、適用されます。これでは、公平な競争ではありません。非常に偏った競争の場です」
Appleの幹部が実名を出し、ここまで踏み込んだ発言をするのは非常に珍しい。ジョズウィアック氏が、あえて日本のメディアにこの話をするのは、12月に全面施行される「スマホ新法(スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律)」が念頭にありそうだ。実際、同氏は「私たちは他の政府が同じ過ちを犯すのではないかと懸念しています」とも語っている。
日本のスマホ新法には、セキュリティやプライバシー保護が必要なものを除外する規定が設けられており、DMAの副作用を踏まえて制定されたといえる。ただ、一般的に法律の解釈には幅があり、どのように運用されるかは未知数だ。Appleが警戒しているのは、こうした点だ。実際、日本ではパブリックコメントなどを通じてガイドラインの明確化を求めてきた。「過激な解釈」で、厳しすぎる規制になってしまった欧州の二の舞を避けたい狙いがあるとみていいだろう。
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