ドコモ、他者と“痛み”を共有できる「FEEL TECH」披露、脳波データを解析 どんな利用シーンがある?(2/2 ページ)
NTTドコモが脳波から痛みを数値化し他者と共有する世界初の技術を発表、CEATEC 2025で経済産業大臣賞を受賞した。これまで言語化が困難だった身体的・心理的痛みを相手の感度に合わせて疑似体験させることが可能で、2028年頃の商用化を目指す。
AI節電コーチで家庭の省エネを最適化
ドコモブースでは、サステナブルテックとして2つの環境技術も展示した。
家庭の節電を促進するAIエージェント技術では、各家庭の電力使用パターンを学習し、ユーザーの性格に合わせて節電方法を提案。キャラクターが「電気を消しなさい」と命令調で伝えるか「消した方がいいと思うよ」と提案調にするかをユーザーごとに最適化し、無理のない節電行動を促す。
節電効果の可視化にも取り組んでおり、エアコンの温度調整による50ワット程度の変動も検出可能とする。節電の成否を判定しながら提案方法を改善していくという。
AIが節電の判断をできるなら自動で家電を制御すればよいようにも思えるが、担当者によれば「将来的には全ての家電がHEMS(Home Energy Management System)でつながり自動制御される理想はあるが、現状はメーカーごとに制御方法が異なるため、まだユーザーのリモコン操作に頼る段階」だという。AI演算による電力消費の懸念については「実運用ではスマートフォンアプリとして提供し、演算はクラウド上で行うため、全体として省電力になる設計」と説明した。
自転車でCO2を回収するDAC技術
CO2を回収するDAC(Direct Air Capture)技術も紹介された。小型の装置を自転車などに取り付けて、走行中の風を利用してCO2を回収する。有孔構造の金属でCO2を吸着する仕組みで、電力を使わずに大気中のCO2を回収できる。
ただし現段階では、CO2の吸収量を定量化する技術が確立されておらず、ドコモ自身もDAC技術を保有していないため、技術を持つ企業との連携を模索している段階だ。
ドコモがこの技術に着目した背景には、グループ企業のドコモ・バイクシェアが展開する自転車シェアリングサービスがある。バッテリー交換時にCO2回収装置も同時に交換する運用を想定しており、既存のサービスインフラを活用したカーボンクレジット創出を狙う。ただし装置のコスト低減など実用化への課題は多く、2040年のネットゼロ実現に向けて、排出削減だけでなく大気中からCO2を除去するネガティブエミッション技術として開発を進めている。
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