モノに触れた感覚を共有できる「FEEL TECH」 6Gの超低遅延で実現、ドコモらが開発
NTTドコモらは人間の感覚をネットワークで拡張可能にする「人間拡張基盤」で、モノに触れた時の触覚を相手の感じ方に合わせて共有する技術「FEEL TECH」を開発した。
NTTドコモ、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科 Embodied Media Project(研究室主宰者=南澤孝太教授)、名古屋工業大学大学院工学研究科Haptics Lab(研究室主宰者=田中由浩教授)は、1月25日にモノに触れたときの触覚を相手の感じ方に合わせて共有する技術「FEEL TECH」開発について発表した。
触覚は、力(圧力)を加えて電圧を発生させる圧電素子などのセンシングデバイスで把握。モノを触ったときの振動を計測し、振動子(磁気や電気などを加えると振動するデバイス)などのアクチュエーションデバイスを用いて再現。
アクチュエーションデバイスの振動で再現する触覚は、視覚となる映像と合わせた形で共有。この振動と映像を同期させるため、6Gの超低遅延化が必要になる。
触覚の感度に対する個人差を加味した共有を行う「人間拡張基盤」では、共有相手の触覚に対する感度特性を事前に取得。取得した感度特性を踏まえた振動を提示し、相手がより感じやすいように触覚共有を行う。個人の触覚を記録できるため、任意の相手やデバイス、n対nでの触覚共有、時間を超えた触覚共有も可能とする。
本技術により、映像や音、文字や言葉による表現だけでは伝えきれなかった感覚を相手へ共有可能になる。医療や伝統工芸などの感覚を重視する技術への活用が期待できる他、職人にしか認識できないような触覚の違いを素人が認識したり、昔触った感覚をリアルな形で思い出したりすることも可能になるという。
本技術は2月2日からオンライン上で開催する「docomo Open House' 23」、2月27からスペインで開催される「MWC Barcelona 2023」で紹介する。
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