スマホで呼べる空飛ぶクルマ構想、SkyDriveがJapan Mobility Showで想起させる
SkyDrive(愛知県豊田市)が、東京ビッグサイトで開催されているJapan Mobility Show 2025に出展した。来場者には空飛ぶクルマを“都市における移動手段”として体感してもらう。会場には「自動改札機」を模したゲートが設けられ、乗車の手軽さを象徴するように、まるで電車に乗るかのようにタッチして利用できる未来の移動体験を提案する。
SkyDrive(愛知県豊田市)が、東京ビッグサイトで開催されているJapan Mobility Show 2025に出展した。来場者には空飛ぶクルマを“都市における移動手段”として体感してもらう。会場には「自動改札機」を模したゲートが設けられ、乗車の手軽さを象徴するように、まるで電車に乗るかのようにタッチして利用できる未来の移動体験を提案する。
一見すると車ではなくヘリコプターのような見た目の空飛ぶクルマ。正確にはeVTOL(電動垂直離着陸機)と呼ばれる。電動化による静音性や環境性能、垂直離着陸による都市内での運用性、さらに将来的な自律運航を見据えた操縦の容易さなどが特徴だ。SkyDriveはこの技術を活用し、空の移動をタクシーや地域輸送、プライベート利用など多様な形で社会に広げる構想を描いている。
鉄道会社4社と協力 他社路線と地域を結ぶ
SkyDriveは、鉄道との連携による新たな移動インフラの実現を目指し、国内の主要鉄道会社4社と資本業務提携を締結している。近鉄グループホールディングスとは伊勢志摩エリアを結ぶルートを、大阪市高速電気軌道(Osaka Metro)とは大阪市内4カ所をつなぐ「大阪ダイヤモンドルート」を計画。さらに、JR東日本とは盛岡と小岩井(AZUMA FARM KOIWAI)間の運航ルートを、JR九州とは別府・湯布院など大分県内をつなぐルートを構想している。各地域の特性を生かした運航計画を通じ、観光振興や地域発展への貢献を目指す。
SkyDriveは、鉄道と連携した新移動インフラ実現に向け、国内鉄道4社と資本業務提携を締結。近鉄とは伊勢志摩、Osaka Metroとは大阪市内、JR東日本とは盛岡・小岩井、JR九州とは大分県内のルートを計画。観光振興や地域発展への貢献を目指す
スズキとの製造協力、量産体制を確立
安全で高品質な機体の安定供給を実現するため、SkyDriveは2022年にスズキと事業・技術連携の協定を締結した。2023年には製造子会社「Sky Works」を設立し、2024年から静岡県磐田市にあるスズキグループの工場で量産を開始している。さらにスズキはSkyDriveに出資し、インドでの事業展開も支援。スズキ代表取締役副社長の石井直己氏が社外取締役として参画するなど、両社の連携は製造面だけでなく経営面でも強化が進む。
自動車業界との技術融合
SkyDriveの空飛ぶクルマには、自動車業界の技術が多く取り入れられている。スズキに加え、自動車部品メーカーの日本発条(ニッパツ)の技術や製造ノウハウを活用し、軽量化や耐久性の向上など、航空機としての信頼性を高めている。こうした日本のものづくりの強みを結集することで、グローバル市場に通用する品質と安全性の確保を目指している。
スマホ連携はまだ先 今後の発表に注目
スマートフォンの連携はまだ先のようだ。SkyDriveの広報は「スマートフォンアプリによる搭乗管理や予約システムなどの具体的な仕様は今後検討が進む段階」との見解を示す。
SkyDriveの福澤知浩CEOは、公式サイトでも具体的な構想を次のように述べている。
「スマホで予約した時間に、自動運転で空飛ぶクルマが迎えに来てくれ、空をひとっ飛びして、どこでも行きたいところに連れて行ってくれる。今のタクシーレベルの価格で。1日2回の新聞配達によるニュースが、インターネットによりいつでもどこでも手に入るようになったのと同じように、オンデマンド・インフラレスで、ヒト・モノがタイムリーに、簡単に楽しく環境に優しい移動できる。そんな世界を目指し、具体的なステップを刻みながら、事業と機体の開発を全速力で進めています」
ただ、単純にスマートフォンアプリを利用した乗降では従来の公共交通機関と何ら変わらない。複数の交通事業者が運航する路線を跨ぐ際に、アプリを一本化してシームレスに利用できるような仕組みに期待したい。今後の発表次第では、鉄道と空飛ぶクルマの垣根を越えた“統合型モビリティ”が現実のものとなるかもしれない。
駅を降りたらタクシーに乗り目的地へ移動する――というルートをよりシームレスにするためには、スマートフォンアプリの一本化も欠かせないはずだ。
関連記事
シャープのEVは“止まっている時間”に着目、クルマが第2のリビングルームに 2027年度に本格参入へ
シャープは10月24日、オンラインで説明会を開催し、電気自動車(EV)の新しいコンセプトモデル「LDK+(エルディーケープラス)」の第2弾を発表した。同社が提唱する「AIoTによる新しい暮らしのかたち」を象徴するプロジェクトであり、今回のテーマは「止まっている時間」だ。これまでの自動車が移動を目的とした「走るための空間」であったのに対し、シャープは“止まっている時間にこそ価値がある”と考え、車を家のリビングルームや書斎のように活用する提案を打ち出した。スマートカー「BYD SEAL」は500万円弱でもコスパ抜群 ガジェット愛好家も“新しいカーライフ”に大満足
スマートフォンマニアでもある筆者がBYD SEALを導入し、数週間にわたり通勤や買い物、長距離移動などに使用した。そこで感じたのは、スマートカーと化したEVとはただのクルマではなく、生活を便利にしてくれるスマートデバイスに近い存在だった。BYDの車両の大きな強みの1つが、スマートフォンとの高い連携性にある。スマホをドライブレコーダーとして使う方法と注意点 役立つ機能はコレだ
自宅に使っていないスマホが眠っている人も少なからずいるだろう。そんなスマホの活用例として、ドライブレコーダーがある。古いスマホは画質が低く難しい面もあるが、近年発売されたハイエンド機なら暗がりも正確に撮影できて便利だ。ソニー・ホンダ、新EV「AFEELA 1」発表 エージェントとの対話に立体音響も 約1423万円からで26年納車へ
ソニー・ホンダモビリティ(以下、SHM)は、米国ラスベガスで開催中の「CES 2025」で、電気自動車(EV)の「AFEELA 1」を発表した。AFEELAブランドの初の製品で、納車開始は2026年を予定する。価格は車両、各機能、5G対応のデータ通信サービスを含めて8万9900米ドル(約1423万円)からとなっている。「Xiaomi 15T」シリーズはオープン市場のみだが「キャリアの採用も重要」 EVの市場参入は「勉強中」
シャオミ・ジャパンが秋葉原で21モデルを一挙発表。FeliCa搭載「Xiaomi 15T Pro」をオープン市場向けに投入したが、キャリア採用は見送られた。鄭彦副社長は「日本ではキャリア経由の販売が9割以上」として、通信事業者との連携に積極姿勢を示した。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.