ドコモ社長「iPhone通信不能になった」eSIMトラブルを謝罪 「対応が必ずしも十分ではなかった」
NTTドコモの前田義晃社長は11月4日の決算説明会で「eSIMトラブル」について謝罪した。前田氏は「iPhone発売時のeSIMトラブルについて、想定を上回る多くのお客さまからお申し込みがあった」とした。「われわれの対応が必ずしも十分ではなかったと反省している」と謝罪した。
NTTドコモの前田義晃社長は11月4日の決算説明会で「eSIMトラブル」について謝罪した。前田氏は「iPhone発売時のeSIMトラブルについて、想定を上回る多くのお客さまからお申し込みがあった」とした上で、「われわれの対応が必ずしも十分ではなかったと反省している」と謝罪した。
ドコモでeSIMの開通手続きができない不具合は9月19日に起きた。影響は同日発売の「iPhone 17」シリーズ3機種と「iPhone Air」にも及んだ。新型iPhoneが登場した初日と重なったことで、手続きを試みた多くのユーザーが影響を受け、X(旧Twitter)などでは混乱や不満の声が相次いだ。
原因はドコモの設備故障だった。問題は9月19日16時30分から20日9時36分までに生じたとし、22日には、返金対応に応じることを案内した。
ドコモのeSIMトラブルにより、SNS上では「障害の情報を手続きページの冒頭に掲示してほしい」といった指摘や、「ふざけんな、店舗に行っても後日予約になるのか」と怒りをあらわにする声が見られた。一方で、「中の人、頑張って…!」とシステム担当者を気遣う投稿や、「障害発生自体は理解できるが、発表の遅さは問題」と冷静に指摘する声も上がった。
eSIMとは「embedded SIM」の略称で、端末内部にあらかじめ埋め込まれた通信モジュールのことを指す。従来の物理SIMカードと異なり、ネットワーク経由で契約情報を書き換えられるため、店舗へ行かずに通信プランを変更できるなどの利点がある。9月に発売されたiPhone 17シリーズとiPhone Airは、日本で初めてeSIM専用仕様を全面採用したモデルであり、物理SIMに対応していない。
そのため、キャリア側のシステム障害が起きると、開通手続きができずに通信がまったく使えない状況に陥る。SIMカードを差し替えて使うこともできないため、Wi-Fi環境下での利用しかできず、事実上「通信できないiPhone≒ただの高級iPod」となってしまう。
eSIM専用端末は米国などではすでに普及が進んでいるが、日本ではこれまで物理SIMとeSIMの併用モデルが主流だった。今回のiPhone 17シリーズは、国内市場がeSIM時代へと移行する大きな転換点といえる。ただ、eSIMの利便性を浸透させるには、通信事業者側の安定したシステム運用と迅速なサポート体制が不可欠だ。今回の障害は、利便性の裏に潜むリスクを浮き彫りにした形となった。
前田氏は11月4日の決算説明会で「今後はこのようなことがないよう、しっかりと備えていく」と宣言したが、eSIMの問題はドコモだけでなく、今後キャリア各社がどのように改善に取り組むかが問われている。
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