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楽天モバイルの「ホッピング」対策に違和感 「5回線目から」の手数料では止まらないワケ

MNPと短期解約を繰り返して特典を狙う「ホッピング」が携帯業界で深刻な問題となっている。楽天モバイルは契約事務手数料で対策を図るが、十分な対策とはいえない。地道な顧客獲得による健全な市場形成が求められる。

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 携帯業界で問題視されている「ホッピング」。これは、MNPによる乗り換えと短期間の解約を繰り返す行為のこと。携帯キャリア各社は、MNPで乗り換えたユーザーを対象としたポイント還元キャンペーンを実施しており、ガイドラインの上限である2万2000円まで還元できる。

 この還元目当てで契約し、即解約されてしまうと、キャリアにとっては大損になる。現状、契約継続を条件とした還元は禁止されており、ユーザーが特典を得た後に即解約できてしまう。これは総務省の有識者会議でも議題に挙がっており、キャリア各社はルールの見直しを訴えている。

 2026年2月に開催された各社の決算会見でも、このホッピングに関する質問が相次いだ。2月12日の楽天グループの決算会見で、ホッピングの対策について問われた三木谷浩史会長兼社長は、「5回線以上の契約については、事務手数料をいただいている。業界にとってよいことではないので、対応が進んでいくことを望んでいる」とコメントした。

三木谷浩史
決算会見でホッピング対策について語る三木谷浩史氏

 楽天モバイルでは、2025年11月19日以降、累計5回線目までの契約から回線ごとに3850円の契約事務手数料を徴収している。三木谷氏は、これが現状のホッピング対策だと認識していると分かる。ただしこれは裏を返すと、累計で4回線目までは、契約事務手数料なしで契約できるということ。ドコモ、KDDI、ソフトバンクの3キャリアは、1回線目でも契約手数料を徴収している。

 楽天モバイルのMNPを対象としたポイント還元キャンペーンは、初めて申し込んだ人を対象としたものが多いが、2回線目以降でも対象になるキャンペーンもある。その代表例が、楽天従業員からの紹介キャンペーンだ。

 このキャンペーンでは、楽天モバイルの従業員から紹介されて契約すると、高額な楽天ポイントをゲットできる。MNPだと1万4000ポイント、新規契約だと1万1000ポイントが付与される。

楽天モバイル
楽天モバイルの従業員紹介キャンペーンでは、最大5回線にポイントが付与される

 SNSで検索すると、楽天モバイル社員がキャンペーン専用のURLを案内している。つまり知り合いに楽天モバイルの社員がいない人でも、調べればこのキャンペーンに申し込める。2024年6月1日以降は、特典は1人あたり5回まで適用でき、5回線をMNPで申し込むと、合計で最大7万ものポイントが手に入る。

 ここから5回線目の契約事務手数料を差し引いたとしても、6万6150ポイントが残る。なお、楽天モバイルでは現在、1年以内に解約をすると、1078円の契約解除料を徴収している。仮に5回線をMNPで申し込んで1年以内に解約した場合でも、6万760ポイントが残る。これだけのポイントがゲットできるのなら、事務手数料や解約料を差し引いても、かなりの金額が稼げてしまう。

 こうした状況を見ると、5回線目以降の契約事務手数料がホッピングの抑止手段になっているとは到底思えない。キャンペーンの対象回線を1回線に絞る方が健全だが、楽天モバイルは「2025年内に1000万契約」という目標を掲げており、是が非でも契約を取りたい思惑があった。「なりふりかまっていられなかった」というのが実情だろう。

楽天モバイル
楽天モバイルは、かねて公約として掲げていた1000万契約を2025年12月に達成した

 その一方、楽天モバイルをはじめとするキャリア各社は総務省の有識者会議で、短期解約したユーザーに対しては特典を提供しない、あるいは一定期間経過後に特典を提供する、といった内容にルールを見直すよう訴えている。ただ、契約のハードルが低く、複数回線も対象のキャンペーンがある楽天モバイルがホッピングの温床になりやすいのも事実だ。

楽天モバイル
「用者視点を踏まえたモバイル市場の検証に関する専門委員会(第2回)」で楽天モバイルが提出した資料より。短期解約を抑止するためのルール変更を訴えている

 三木谷氏は決算会見で、次の2000万契約に向けて「若年層は比較的強いが、ご高齢の方のマーケットシェアは低いのが事実。そういった方々に対しても、地道に伸ばしていく」と述べていた。三木谷氏の言葉を借りるのなら、派手なキャンペーンを乱発するのではなく、「地道」なプロモーション活動こそが、ホッピング低減につながるのではないだろうか。

楽天モバイル
画像のように、キャンペーンは1回線目までを対象とする方が健全だ

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