Galaxyスマホで「SAMSUNG」ロゴが復活、さらに製品名が「Samsung Galaxy」になった理由は? サムスン電子ジャパンに聞いた(1/2 ページ)
Androidスマートフォンの黎明(れいめい)期から、サムスンは自社のグローバルブランドをいかに確立するかという課題と向き合ってきた。その過程で、日本市場では他国とは異なる独自のアプローチをとってきた経緯がある。そして、いま、企業名を前面に出す方針へと転換している。
スマートフォンやタブレットに詳しい人、あるいはデジタルデバイスが好きな人にとって、Galaxyブランドのスマホやタブレットが韓国Samsung Electronics(サムスン電子)製であることは“当たり前”の話だ。Galaxyスマホやタブレットは世界中でさまざまなモデルが販売されており、ボディーには「Samsung」ロゴも刻まれている。日本も当初は例外ではなく、ハイエンドスマホでいえば「GALAXY S4」まではSamsungロゴ付きで販売されていた。
しかし、その次の世代の「GALAXY S5」では、日本の一部キャリア向けモデルにおいてSamsungロゴが省かれた。そしてリブランドされた「Galaxy S6シリーズ」からは、日本向けの全モデルでSamsungロゴが省かれるようになった。それ以来、日本向けのGalaxyスマホやタブレットでは、販路を絞って販売されたWi-Fi版のGalaxy Tabシリーズなどを除いてSamsungロゴは付記されていない。
日本国内でのプロモーションにおいても、海外では「Samsung」とされていた部分が徹底的に「Galaxy」に置き換えられた。メーカーのプリインストールアプリも、例えば「Samsung Notes」が「Galaxy Notes」というように名称が変えられている。そして企業名義も極力「サムスン電子ジャパン」ではなく「Galaxy」としてきた。日本におけるGalaxyブランドは、まさに「Samsung」を徹底的に“隠す”方針を貫いてきたといえる。
日本ではGalaxy S23から「SAMSUNG」ロゴが復活
もともとGalaxyシリーズは、グローバルでは全て大文字の「GALAXY」表記で展開されていた。Galaxy SやNoteシリーズなど、スマートフォン市場のけん引役として存在感を示すなかで、このGALAXYという文字列は言うまでもなくブランドの象徴でもあった。しかし、現在は頭文字のみ大文字とした「Samsung Galaxy」が正式な表記となっている。サムスン電子ジャパン広報は、「これはグローバル全体での統一ルールであり、頭文字SとGのみを大文字とするのが正しい」と打ち明ける。
サムスン電子ジャパン広報によれば、「日本ではこれまで『Galaxy』というプロダクト名の認知を優先して活動してきた」という。つまり、Samsungという企業名よりも、製品そのもののブランドイメージを浸透させる戦略をとっていたわけだ。その結果、Galaxyは日本でも一定の知名度を得ることとなり、製品名として独り立ちした存在となった。
だが2023年を境に、その方針は大きく転換する。サムスン電子ジャパン広報は、「おかげさまでGalaxyの認知が日本でも向上した」と振り返った上で、「Global企業としてSamsungの企業姿勢をきちんとお届けすべく、会社ブランド名はSamsung、製品ブランド名はSamsung Galaxyシリーズとして使い分けている」と説明する。
この方針転換を最も分かりやすく象徴した出来事が「製品ロゴの変更」だ。これまで日本仕様のGalaxy端末にはGalaxyの刻印のみが入っていたが、Galaxy S23シリーズ以降、背面ロゴが全て大文字の「SAMSUNG」ロゴに変更された。国内発表当時、サムスン電子ジャパンは「日本でもGalaxyの認知度はある程度向上したこと」「SDGs(持続可能な開発目標)に対する意識が高まっており、グローバル企業としてサステナビリティ活動に取り組む姿勢を示し、Samsungという社名を前面に出していくこと」を挙げていた。
再び自社名を前面に押し出す判断は、単なるデザイン変更ではなく、ブランド戦略上のメッセージとも読み取れる。日本だけが独自の表記とするのではなく、世界共通の統一感を持たせることで、企業としての信頼を高める狙いがあるようだ。
Galaxy S23シリーズで再びSAMSUNGロゴに戻った理由として、サムスン電子ジャパンは「日本でもGalaxyの認知度はある程度向上したこと」「SDGs(持続可能な開発目標)に対する意識が高まっており、グローバル企業としてサステナビリティ活動に取り組む姿勢を示し、Samsungという社名を前面に出していくこと」を挙げていた(参考記事)
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