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“普通のメガネ”を目指したスマートグラス「Even G2」発売、リアルタイム翻訳や会話サポートも 9万9800円

Even Realitiesは11月19日、ディスプレイ付きスマートグラスの新モデル「Even G2」および専用アクセサリーのスマートリング「Even R1」を国内発表した。普通のメガネと同様の装着感を目指した。リアルタイムでの翻訳や、テレプロンプト機能、ナビゲーション機能などに対応している。

 Even Realitiesは11月19日、ディスプレイ付きスマートグラスの新モデル「Even G2」および専用アクセサリーのスマートリング「Even R1」を国内発表した。現在、公式ストアから購入できるが、海外発送となり米ドルでの決済となる。


スマートグラスEven G2とスマートリングのEven R1 G2は丸形のAタイプと角形のBタイプの2種類あり、カラーはそれぞれグレー、グリーン、ブラウンが用意されている

 日本国内では、JUN GINZAおよびJUN GINZAヒルトンプラザ名古屋の2店舗で購入可能。価格はEven G2が9万9800円(税込み、以下同)、Even R1が4万1800円。Even G2とR1を同時に購入すると、R1が50%オフになる。

 Even G2は、2024年に発売されたEven G1の後継モデル。米ドル決済でのオンライン購入しかできず、かつ、プロジェクターの映像をレンズに反射させるという仕組みのため、パートナー店でないとレンズを作れないという高いハードルもあったため、日本国内ではあまり知名度は高くなかった印象がある。

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 この点、Even G2では、各種ARグラスなどのインサートレンズも手掛けているJUN GINZAとパートナーを組み、実店舗での購入が可能になったのは大きい。他にもパートナー契約の話が進んでいるようなので、地方の人でも気軽に買えるようになるかもしれない。

一見すると普通のメガネ、驚くほど薄型・軽量

 Even G2は見た目がシンプルなメガネで、一見するとスマートグラスには見えない。CEOのWill Wang氏は発表会で、「日常生活に寄り添うディスプレイスマートグラス」ということを強調しており、まさにその通りの製品といっていいだろう。


Even G2 Aタイプ。よく見ると、レンズ上部にうっすらと投影用の加工がされているのが分かるが、それ以外は普通のメガネという印象だ

 前モデルと比較してテンプルの厚みが53%薄くなり、幅も20%減少。テンプル先端とフレーム部分も15%小型化されている。また、日常使用を想定し、人間中心設計の理念に基づき、外部カメラやスピーカーはあえて搭載していない。このことが製品の小型化にも一役買っているのだろう。


横から見ると、テンプルの先端(先セル)が太くなっているだけで違和感はない。なお、この先セル部分のタッチで操作が行える

 テンプルの先端部分、メガネのパーツでいうと智(ヨロイ)と呼ばれる箇所の裏側にマイクロLEDプロジェクターが搭載されており、その映像をデジタル加工レンズに投影するHolistic Adaptive Optics(HAO)という仕組みで映像を表示する。このHAOも第2世代となり、前モデルと比較して映像サイズが75%拡大。ディテールも50%向上したという。


HAO 2.0は、前モデルから表示サイズの拡大や鮮明さの向上などが図られている

リアルタイム翻訳や会話サポートなど実用機能が充実

 機能としては、リアルタイムでの翻訳や、テレプロンプト機能、ナビゲーション機能などに対応している。新機能として「会話サポート」も搭載。これは、会話の内容をAIが理解し、専門用語や人名などについてその説明を表示してくれるというもの。会話の内容を記録し、あとで要約することもできる。


表示はグリーンの単色だが、これは消費電力が最も小さく、視認性がいいという理由とのことだ

 Even G2の操作は、テンプル先端(先セル)のタッチ操作でも行えるが、新たに操作用のスマートリング、Even R1をリリースした。表面のタップやスワイプでEven G2を操作できる他、心拍数や心拍変動、血中酸素濃度、表体温、睡眠などを計測できるヘルスケア機能も備えている。

 なお、R1は今のところEven G2としか連携できないが、今後のアップデートでG1でも利用可能になる予定だとしている。


Even G2は専用ケースに入れて充電。Even R1は充電台で充電を行う。バッテリー持ちはG2が2日間、R1が最大4日間

「シンプルで本質的」を追求する製品哲学

 Even Realitiesの創業者でCEOのWill Wong氏は、発表会の冒頭で同社が考える製品哲学について語った。「AR、VR、MR、XR、AIなど、この業界には多くの複雑な用語が飛び交っていますが、顔に装着するデバイスは複雑であってはいけない。シンプルで本質的であるべきだ」と強調する。


CEOのWill Wang氏。Even G2を装着しており、記者からの日本語の質問をリアルタイムに翻訳して表示、即座に英語で回答するというパフォーマンスも見せていた

 同氏によれば、顔に装着する最も本質的なもの、既に多くの人が日常的に使っているものこそが「普通のメガネ」だという。「正しいスマートグラスを作るには、メガネにとって本当に重要なものに立ち返る必要があります。それはレンズ、フレーム、そして機能だ」とWong氏は説明した。

 この理念に基づき、同社は2024年8月に初代モデル「G1」を発売。予想を上回る成功を収め、UAE政府関係者や著名な投資家、起業家、セレブリティなど影響力のある人々が重要な会議で日常的なツールとして使用しているという。

 AppleやMeta、Samsung、Googleなど、大企業がスマートグラス分野に参入する中で、Even Realitiesの居場所はどこにあるのか。この問いに対し、Wang氏は自動車市場におけるTesla(テスラ)や、AIの分野におけるOpenAIの名前を挙げ、「スマートグラスは破壊的技術(disruptive technology)であり、大企業ほど身動きが取りづらい」と説明する。

 「iPhoneからiPadへの移行のように、技術が持続的である場合、大企業が自動的にカテゴリーを支配する。しかし、破壊的な変化の場合は異なる」と説明した。


Wang氏は、スマートグラス分野のTeslaやOpenAIになれると自信を見せていた

 具体的な強みとして、Wang氏は「装着性」と「実用性」を挙げた。「MetaのOrion Displayなど他の製品と比較すると、Even G2ははるかに軽量でスリム、装着しやすく、バッテリー持続時間も大幅に長い。そして機能もより実用的だ」と自信を示す。

 今回、JUN GINZAでの販売を開始したが、他のパートナーとの話し合いも進めているという。「このプレスリリースイベントを日本で開催した大きな理由の1つは、小売パートナーに対して日本市場拡大への私たちの自信を示すため」とWang氏は語り、2025年にかけてさらに販売網を拡大していく計画を示した。

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