“スマホ新法”で好みのブラウザを選ぶ時代に 設定方法などを公取委が解説
公正取引委員会は12月1日、チョイススクリーン解説サイト「選ぼう!じぶんブラウザ」を公開した。「スマホ特定ソフトウェア競争促進法」全面施行を控えた施策となる。公取委だけでなく通信事業者も、法の施行に向けて利用者への周知活動を本格化させている。
公正取引委員会が2025年12月1日、チョイススクリーンを解説する特設サイト「選ぼう!じぶんブラウザ」を公開した。2024年6月に成立した「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアにかかる競争の促進に関する法律」は、2025年12月18日に全面施行を控えており、公取委だけでなく通信事業者も利用者への周知を本格的に進めている。
公正取引委員会は12月1日、チョイススクリーンを解説する特設サイト「選ぼう!じぶんブラウザ」を公開した。「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアにかかる競争の促進に関する法律」は18日に全面施行を控えており、公取委や通信事業者は利用者への周知を本格化させている
これまで、多くのスマートフォンでは初期設定の段階で特定のブラウザや検索サービスが自動的に選ばれてきた。利用者が意識しなくてもそのまま利用を続けることが一般的で、長年にわたり少数の事業者が市場を占める状況が続いていた。新法は、こうした状態を是正し、ブラウザや検索エンジン、モバイルOS、アプリストアといった「特定ソフトウェア」の分野で競争を促すことを目的としている。複数の事業者が参入しやすい環境を整えることで、利用者が選べるサービスを増やし、その品質向上につなげようとする狙いがある。
新法の施行にあわせて導入されるチョイススクリーンは、端末の初期設定やOSアップデート後に必ず表示される選択画面で、利用者がブラウザや検索エンジンを明確に選ぶ操作を行う仕組みとなる。これが、今回公取委が特設サイトで説明している内容の中心だ。
チョイススクリーンで何が変わるのか
2025年12月以降、スマートフォンの初回起動やOSを更新した後に、ブラウザと検索エンジンを選ぶ画面が自動的に表示されるようになる。利用者は画面の案内に従い、使いたいブラウザや検索エンジンをタップしてデフォルトアプリとして設定する。デフォルトに設定されたアプリは、Webページのリンクを開く際に自動的に起動する。従来は端末側が標準ブラウザを固定していたケースが多かったため、今回の変更により選択の機会が大幅に増えることになるという。
2025年12月以降、スマートフォンの初回起動時やOSを更新した直後に、利用者が好みのブラウザと検索エンジンを選択できる画面が自動的に表示されるようになる。公正取引委員会は特設サイトにて、実際の操作手順はiPhoneとAndroidで異なると説明している
公取委は、特設サイトで各ブラウザの特徴を挙げながら、利用者に合った選択ができるよう促している。サクサク動作するものやセキュリティに重点を置くもの、通信量を節約しやすいものなど、利用者によって基準は異なるとした上で、自分に合ったブラウザを選ぶことで、日常の利用体験が変わる可能性を示している。
導入後の注意点も
チョイススクリーンは全端末で同じタイミングで表示されるわけではなく、機種やOSのバージョンによっては表示時期が前後することがある。また、表示される内容や手順が端末ごとに異なる場合もあるため、利用者はそれぞれの操作画面に従う必要がある。
一方、チョイススクリーンの導入を悪用した詐欺についても警鐘を鳴らす。公取委や総務省が電話やSMSで連絡することはなく、もしそのようなメッセージが届いた場合は詐欺の可能性が高いとして、個人情報や金銭を渡さないように注意を促している。
公取委は特設サイトを通じ、利用者が新たな仕組みを正しく理解し、不安なく選択できる環境づくりを目指す。スマートフォンの基本的な使い方の1つであるブラウザや検索エンジンの選び方が大きく変わることになり、スマホ利用体験に確かな転換点が訪れることになりそうだ。
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