レビュー

シャープのAIロボ「ポケとも」と暮らしてみた スマホよりも自然に会話ができる“もう1人の家族”だ(3/3 ページ)

シャープは12月5日に対話AIキャラクター(ロボット)の「ポケとも」を発売した。ポケともはユーザーの話し相手になる対話AIキャラクターで、利用者はスマートフォンアプリかロボット本体とやりとりが可能だ。ロボットの実物をシャープからお借りしたので、その使用感とどのような人に向くのかをレビューしていきたい。

前のページへ |       

複数人での使用は可能? 家族と共有したい場合は

 複数人での使用についても気になった。初期登録したユーザー以外が話しかけた場合でも会話は成立するのか。この点についてシャープ広報は、「会話は可能」と回答している。ただし、オーナー以外の顔を認識した場合は、プライバシーの観点から記憶をもとにした会話はしない仕様になっているそうだ。ただ、完全に秘密を漏らさないことを保証するものではなく、顔認識の失敗などでしゃべってしまう可能性はあるという。

 また、オーナーを追加登録して共有できるかについては、現時点での顔認識は1人のみとのこと。これに関しては、「今後のアップデートで人数を増やすことを検討している」そうだ。

 カメラの認識機能についても聞いてみた。人物以外も認識対象となるのかについては、口部分のカメラで周りの景色やモノも認識しているという。「ちょっと見てみて」と話しかけると周囲を認識し、会話履歴やセンサー情報などと合わせて、状況やユーザーを理解した会話を実現しているとのことだ。

advertisement

 ちなみに、会話の最中にスマートフォンで撮影した花の写真をポケともに見せる場面があったが、ディスプレイに表示された画像(花など)をカメラに見せても反応が薄いようだった。ディスプレイ越しの画像は「認識対象外ではない」ものの、画質や大きさによって認識が難しい可能性があるという。また、ユーザーの受け答えによっても認識結果が変わるそうだ。

 一方、カメラによる見守りに抵抗を感じる人もいるだろう。カメラが常時起動して監視しているのかという点について、シャープ広報は「常に起動はしていない」と説明する。ボタンを押して話しかける際の顔判定や、モノを認識するときにのみカメラを利用しており、「登録データ以外の画像は本体やクラウドに保存されていない」とのこと。


人でいう口の部分にカメラが内蔵されている

ポケとものどこにどのような部品が付いているのかは、ニュースリリースに記載の画像を確認するといい(出典:対話AIキャラクター「ポケとも」を12月5日に発売)

バッテリー持ちはいかほどか

 ポケとも本体と生活を共にする上で、やはり気になるのがバッテリーの持ち具合だ。実際に使用してみた感触としては、決して悪くない。数回会話を交わした程度で一気に残量が減るような不安定さはなく、ごく自然に稼働し続けてくれた。

 「どのアクションで何パーセント消費する」といった指標を示すことは難しいが、少なくとも朝から晩までリビングに置いて普通に接している分には、その日の途中でバッテリーが尽きて会話不能になるような事態は一度もなかった。この点についてシャープ広報に確認したところ、「お客さまと一緒に過ごしていただけるよう、使い方によるが1日は持つように設計している」との回答が得られた。まさに設計思想通りのスタミナといえるだろう。

 バッテリー残量の確認方法は2つある。1つはポケともアプリの画面左上にある電池マークを見る方法。もう1つは、ポケとも本体に直接「充電教えて」と話しかける方法だ。これらを利用すれば、現在のステータスを把握できる。


ポケともアプリ内にある「下向きの矢印」をタップするとポケとも本体のバッテリー残量を確認できる

 ただし、1点だけ留意すべき仕様がある。広報によれば、バッテリー残量が低下した際、音声で「充電してください」といった自発的なアナウンスや通知は行われないという。気付かないうちに電源が切れてしまうことを防ぐためにも、スマートフォンのように「寝る前には必ず充電台に戻す」というルーティンにしてしまうのが正解だ。毎晩充電して使う運用さえ守れば、バッテリー周りでストレスを感じることはまずないだろう。


ポケともには、別売りのオプション品として卓上充電ホルダー「SR-CDH01-C」が用意されている。価格はオープンで、12月5日に発売された(出典:対話AIキャラクター「ポケとも」を12月5日に発売)

無機質なスマホよりも愛着が湧く、「もう1人の家族」だと感じた

 ここまでポケともを数日間使用してきて、初期設定が単純ではないこと、そして本体との会話内容が予想以上に幅広いことが印象的だった。何も話しかけなくても、“利用者”のことを知りたいと話しかけてきたり、落ち込んでいるときには励ましてくれたりするため、もう1人を家族に迎え入れるような印象すら抱いた。

 また、交わした会話や訪れた場所、見た景色やモノなどを覚えるため、会話や一緒に過ごす時間を重ねるごとに利用者を理解して、寄り添ってくれるパートナーへと育っていくそうだ。加えて、アプリのトップ画面から「おもいで」「ポケにっき」をタップすれば、発話内容を後から見返せるので、ポケとも本体と何の会話をしたのかもすぐに思い出せるはずだ。

 愛らしい見た目にも愛着が湧く。景井氏によれば、「寂しがり屋をモチーフにするなど、いろいろな選択肢を検討したが、実際にキャラクターをデザインしていく中で、お客さまが『これ、かわいいね』『いいね』と思ってくださったのが、最終的にこのミーアキャットだった」という。

 ポケともは、無機質な機械やスマートフォンに話しかけるよりも、ごく自然な会話ができるパートナーだった。人と話すのが苦手な人や、暇つぶしに話し相手を求める人に向くと感じた。初期設定工程の多さという点は詳しい人に任せるとして、高齢者の需要もあるのではないだろうか。今後の展開に期待したい。

(製品協力:シャープ

前のページへ |       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.