インタビュー

mineo料金プラン改定の真相 最安狙わず「データ増量+低速使い放題」で“ちょうどいい”を追求MVNOに聞く(3/3 ページ)

オプテージのmineoが、データ容量の大幅改定やサービスの追加を行った。3GBと7GBのコースには、1Mbpsでデータ通信が使い放題になる「パケット放題 1Mbps」を無料で利用可能とする。データ容量の増量やパケット放題の新設、増速によって、大きく競争力をつけた形のmineoの戦略についてインタビューした。

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低速使い放題を拡充後も、帯域はしっかりコントロールしている

―― 今回、パケット放題 1Mbpsが加わり、常時使えてしまうようになりました。ダラダラと長時間占有されてしまう形になりますが、帯域コントロールは大丈夫なのでしょうか。

松田氏 帯域に関しては、しっかりコントロールしています。今回の容量アップもそうですが、3Mbpsのサービスを作るにあたっては、一度9月にトライアル的なキャンペーンをやってみました。そういった結果も見ながら、これなら大丈夫と判断しています。3Mbps化のトライアルも3月まで続きますが、そういったところをしっかり見ながら、極端に品質が悪くなったと言われないよう、増強もきちんとやっていきます。

―― マイピタ全てにパケット放題がついてくると、速度ごとに料金を切った「マイそく」との差別化をどうするのかが気になります。

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松田氏 マイそくは、お昼の時間帯をものすごく制限している違いがあります。POI(Point of Interface=キャリアとの接続点)の帯域が決まっている中でトラフィックがピークになる時間帯なので、そういったところでは大きな制限があります。ですから、お昼に使うか使わないかを主眼に選んでいただけると思います。

―― なるほど。確かにお昼は使いたいときですからね。となると、やはりマイピタの方がユーザーは多いのでしょうか。

岩佐氏 多いのはやはりマイピタですね。

松田氏 ただ、マイそくも申し込まれていないかというとそうではなく、定常的に申し込みがあります。


月曜~金曜のお昼を除き、低速でデータ使い放題の「マイそく」。マイピタの低容量プランでも低速使い放題が無料になったことで、マイそくと競合する部分が増えたといえる

―― 大手キャリアのメインブランドが無制限になっていく中で、今後は容量で区切ったプランではなく、使い放題で速度制限があるというのが主流になるのかもしれないと考えて導入したのかと思っていましたが、そうではないのでしょうか。

松田氏 どちらもそれぞれの使い方がありますので、一方に寄っていくものではないと考えています。

キャリアが値上げも、MVNOとはユーザー層が異なる

―― 25年はキャリアの値上げや料金改定が相次ぎました。MVNOにとっては追い風になっているような印象もありますが、いかがでしょうか。

松田氏 「大きな波が来たぜ」という状況ではないですね(笑)。キャリアのメインブランドのお客さまとは、層が明確に違うのだと思います。サブブランドのプランがもっと変わっていくと違うのかもしれませんが、現状では波が来たわけではありません。

―― 現状、MVNOだとシェア2位ですが、1位になるための施策は何か考えられているのでしょうか。

松田氏 大きく伸ばすにはどうすればいいかは、日々考えています。ただ、コンシューマーのお客さまが劇的に伸びる状況ではないとも思っています。その中では、法人のお客さまにも目を向けていかなければなりません。だからと言って、コンシューマーをほったらかしにするのではなく、安心して使っていただくにはどうすればいいかという施策はこれからも継続していきます。

―― ホワイトレーベル的に法人に対してサービスを提供するMVNOも徐々に増えていますが、そういったこともお考えでしょうか。IIJのJALモバイルのようなサービスはいかがですか。

松田氏 私たち自身が提供しているMVNEのようなサービスはあります。MVNEもそうですし、IoTもそうで、法人向けはまだまだあると思っています。(JALモバイルのようなサービスは)ありえると思っています。私たちのサービスブランドを変えてご提供するのもありえますし、独自プランをやる中で裏側をやることもあります。MVNOはまだまだ少ないですから。

―― 市場的にはまだまだ伸びるとお考えですか。

松田氏 まだ10%ぐらいですからね。通信料金を高いと思っている方は多い。MVNOを選択していただくにはどうすればいいのかを考えたとき、入口はもっとたくさんあってもいいのではないでしょうか。入ってきやすくするには、どうすればいいのかは考えています。

取材を終えて:派手さよりも実利を取ったmineoの改定

 ユーザーのトラフィックが増加しているのはmineoも同じだが、その対策として、単純に容量を加算しただけでなく、通信速度を絞った使い放題のオプションをつけているのが同社の料金プランの面白いところ。容量と価格だけを抜き出した際の比較では他社のリードを許してしまうのが難点だが、ユーザーが実利用する上ではよく練られた料金プランといえる。派手さよりも、実利を取った印象だ。

 同じ3GBという容量で比べてしまうと、依然として他社より割高に見えるが、速度制限後やオプションを有効にしたときだけ、データ容量を消費せず、1Mbpsで使えるのは大きい。この点まで加味すると、高いとは感じなくなる。少々分かりづらいのは事実だが、それをどうかみ砕いて使えていけるかが今後のmineoの勢いを左右しそうだ。

 一方、マイピタの全プランが使い放題になり、パケット放題Plusも3Mbpsに増速されたことで、相対的にマイそくの価値が落ちてしまったことは否めない。例えば、2000円前後であれば、5Mbpsのマイそく プレミアムより、30GB使えて、制限後も3Mbpsになるマイピタの30GBコースを選んだ方が使い勝手はよさそうだ。玉突き的に、マイそくもサービスを改定していく必要が出てくるだろう。

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