「Suicaがないと死ぬ」──SNSで共感呼ぶ利便性とは? 将来は「改札機」すら消える(2/2 ページ)
SNSで「Suicaがないと死ぬ」と話題だが、現代の都市生活において不可欠なインフラとなっている。車社会から上京した人にとって、公共交通をつなぐSuicaの利便性は衝撃的で、まさに「生命線」である。Suicaがこれほど重宝される理由は何なのか、そして今後どのように進化を遂げるのかを深掘りする。
Suicaは今後どう変わる? “コード決済”にタッチレスの“ウォークスルー改札”も
SNSで話題になったSuicaは今後、さらなる進化を遂げることになる。東日本旅客鉄道(JR東日本)は2024年12月10日、交通系ICカードとしてのSuicaの今後10年間を見据えたロードマップ「Suicaの当たり前を超えます~Suica Renaissance~」を公表した。これは、現状のICカード内に残高情報を記録する仕組みから、サーバ上でデータを管理する方式へと根本から刷新する壮大な計画といえる。
まず直近の展開として、2026年春には長野県松本市周辺のアルピコ交通が運行する路線バスにおいて、Suicaの技術をベースとした「地域連携ICカード」の導入が予定されている。また、モバイルSuicaやSuicaアプリにおいて、これまで対応していなかった東京モノレールの通学定期券の購入も可能になる予定だ。
東日本旅客鉄道(JR東日本)は12月10日、今後10年のロードマップ「Suica Renaissance」を公表した。残高のサーバ管理移行など、現行システムを大幅刷新する方針を掲げている。これまでの常識を超える進化が期待される(出典:JR東日本が2024年12月10日に発出したニュースリリース)
さらに注目すべきは、2026年秋頃から導入が計画されている「コード決済」の機能だ。これはSuicaのチャージ上限額である2万円を超える高額決済での利用を想定したもので、バリューを送り合う機能やクーポン機能の搭載も視野に入れている。これにより、小規模な店舗や地域限定の電子マネーである地域バリューの発行にも対応できるようになり、Suicaの経済圏はさらに拡大する。
2028年度をめどには、新しいSuicaアプリの配信が開始される予定であり、そこでは個人番号カードとのひも付けによる「ご当地Suica(仮)」の提供も検討されている。これにより、居住自治体に最適化されたサービスの提供や、商品券、給付金の付与といった行政サービスとの連携も可能になる。さらには、一定額の支払いで鉄道運賃が大幅に割引されるサブスクリプション型のサービスや、施設利用特典としての鉄道クーポンといった、サーバ管理型ならではの柔軟なサービス展開も期待されている。
JR東日本やPASMO協議会らは2026年秋、新コード決済「teppay(テッペイ)」を開始する。モバイルSuicaとPASMOの既存アプリに機能が追加する形での提供となり、利用者による新アプリのインストールは不要だ(出典:2025年11月25日に開催された発表会の記事)
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Suicaの真の進化は、2035年度までに計画されているバリューの完全センターサーバ管理化によって完成する。これは、ICチップにデータを記録するというSuica誕生以来の前提を覆す、過去最大のシステム変更といえる。変革を象徴するのが「ウォークスルー改札」だ。これは物理的な改札機を設置せず、駅の構内と構外を識別して自動的に入出場処理を行う仕組みだ。これに位置情報を組み合わせることで、従来はコスト面でICカード対応が難しかった無人駅などにおいても、スマートフォンの位置情報に基づいて改札処理を行えるようになる。
加えて、利用者にとって最大のメリットとなり得るのが「後払い」機能の導入だ。事前にクレジットカードや銀行口座とひも付けることで、運賃を後日一括して請求する仕組みが検討されている。これが実現すれば、残高を気にしながらチャージを行うという手間から完全に解放される。チャージ不足で改札機に止められるというストレスがなくなり、Suicaは文字通り「持っているだけで意識せずに使える」インフラへと昇華する。
2035年に向けて描かれているこのビジョンは、移動という行為そのものをより自由で、シームレスな体験へと作り変える挑戦だ。“Suicaがないと死ぬ”とまで言わしめる現在の利便性は、今後さらに高まるだろう。
SNSで話題のSuicaは、新ロードマップにより劇的な進化を遂げる。ウォークスルー改札や後払いなど、従来の常識を覆す施策を導入。Suicaの利便性はさらなる高みへと向かう。画像はSuicaの今後を示す図(出典:JR東日本が2024年12月10日に発出したニュースリリース)
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