Androidスマホの“AirDrop互換”を拡大、ホーム画面の移行も容易に Google幹部が語る2026年の戦略
Googleは台湾拠点を公開し、2026年に強化するAI機能について語った。AirDrop互換の共有機能をPixel 10シリーズ以外へ拡大する他、ホーム画面の配置まで移せる移行ツールも提供する。独自チップによる垂直統合を強みに、AIを意識せず使える体験と7年間の長期サポートを今後も追求していく。
Googleは、2月5日(現地時間)に台湾のハードウェア開発拠点を世界各国の報道陣に公開した。台湾は、ハードウェアの研究開発では同社の本国である米国外で世界最大の拠点になっており、スマートフォンのPixelシリーズもここで設計や試験が行われている。2017年にHTCからエンジニアリングチームや設計チームを買収しており、その拠点が現在も重要な役割を果たしている。
イベントでは、GoogleのVP(バイスプレジデント)でAndroidプラットフォームのエンジニアリング担当のエリック・ケイ氏と、VPでプロダクトマネージャー、Pixelエコシステム担当のベンカット・ラパカ氏が、PixelシリーズやGoogleのAIに関する狙いや、今後の展開について報道陣からの質問に答えた。
デバイスがより先回りして提案するようAIを拡充
2026年の展望としてケイ氏が挙げたのが、デバイスがより「プロアクティブ(能動的、先回りすること)」になるということ。このコンセプトに基づいた機能として、Pixel 10シリーズは会話に基づいてアプリや航空券の予約などを提示する「マジックサジェスト」を搭載しているが、こうした機能をより拡充していくことを示唆した。
その一例として、自動車に接続するAndroid Autoを挙げて、会議に遅れそうな際に「遅れそうなことをメッセージで送信しますか」といったことを先回りして提案するような機能をサポートしていく方針だ。
AirDrop互換の「クイックシェア」対応機種を増やす
また、Googleでは、OSの垣根を越えたシームレスなユーザー体験の創出にも注力しているという。その1つに、2025年にPixel 10シリーズの「クイックシェア」がiOS、iPadOSなどの「AirDrop」に対応したことがある。ケイ氏によると、同機能も台湾で開発されたという。
Pixelは、Googleがプロセッサの設計からOS、AIモデルの統合、さらにはAndroidのソフトウェアやハードウェアまでを垂直統合的に手掛けているスマホだ。さまざまなレイヤーが統合され、かつ「かなりの時間と労力を費やした」ことで実現した機能だ。
ケイ氏によると、このAirDropとの互換性を持ったクイックシェアに対応したデバイスは、間もなくPixel 10シリーズ以外にも拡大されることになるという。対応する端末がPixelなのか、それ以外のメーカーのスマホなのかは明かされなかったが、Android全体に広げていきたい機能であることは間違いないようだ。
相互運用の体験はファイルの共有だけにとどまらず、ホーム画面のアプリ配置を移行できるような仕組みに取り組んでいるという。この機能がiOSも含まれるのか、Android同士で異なるメーカーだけにとどまるのかといった詳細には言及されていないものの、これまでよりも機種変更が楽になることは確かだ。
「昨年(2025年)、AirDropとの相互運用を開始し、ローンチしたことはご存じだと思いますが、2026年にはこれをより多くのデバイスに拡大していく予定です。また、機種変更を決めたユーザーがより簡単にデータを移行できるように取り組んでいます。以前の端末から全てのデータ――ホーム画面の配置に至るまでの全て――を確実に移行できるようにすることです」
GoogleがPixelシリーズを手掛ける意義
グループインタビューでは、GoogleがPixelシリーズを手掛ける意義も改めて強調された。かつて同社は、リードデバイスとしてNexusシリーズを展開していたが、Nexusは手掛けるメーカーがバラバラだった。この経験を経て、「真に高度なスマホを開発するためには、複数年に渡る投資が必要という考えに至った」(ラパカ氏)という。
かつてGoogleはNexusシリーズを手掛けていたが、開発メーカーがバラバラで長期的な投資が難しかったという。これがPixelにかじを切った理由だ。写真は2015年発売の「Nexus 5X」(LGエレクトロニクス製)と「Nexus 6P」(Huawei製)
プロセッサのTensorから開発し、先に述べたような垂直統合型のアプローチを取るようになったのは、そのためだ。また、ケイ氏によると、Pixelの開発がAndroid全体の底上げにもつながっているという。
Gemini NanoをAndroidに統合している他、いち早くGeminiにも対応してきたAndroidだが、Googleが重視しているのは、AIそのものではなく、AIによって生み出されるユーザー体験だという。ケイ氏は、その一例として「かこって検索」や「盗難検出ロック」、メッセージの詐欺検出などを挙げる。
これらは、ユーザーがAIだと意識せずに起動や設定をするだけでよく、リテラシーを問わずに利用できる。これは、Googleが「AIは物事をよりパワフルにするための魔法のツールにすぎない」(ケイ氏)と考えているからだ。Googleが「○○Intelligence」や「○○AI」といったAIを前面に打ち出した名称をつけていないのも、そのためだろう。
また、「Pixel 8」以降のPixelはOSのアップデート保証を7年間と長期化している。これも、GoogleやAndroidにとっての重要なテーマだという。一方で、長く使うには、ソフトウェアだけでなくハードウェアの耐久性も重要になる。それを実現するために台湾で行われている試験は別記事で紹介していく。
(取材協力:Google Japan)
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