バルミューダがスマホ連携時計「The Clock」発表、5万9400円 針がなく文字盤が光って時刻を表現(2/2 ページ)
バルミューダは光と音で新しい時刻表現を提案する新製品「The Clock」を2026年3月18日に予約販売開始する。懐中時計を模したコンパクトなボディーにステレオスピーカーやリラックス効果をもたらす光の演出機能を備える。専用アプリとの連携で詳細な設定ができ日常の時間を豊かにする新感覚の時計だ。
「BALMUDA Connect」アプリとの程よい距離感に――あえてできることを制限したワケ
スマートフォンアプリ「BALMUDA Connect」との連携も可能で、アプリで行った設定情報はBluetooth経由でThe Clockと同期する仕組みだ。
例えば、本体のみでは1つしか設定できないアラームを最大3つまで登録できる。平日と休日で起床時間を変えたい場合などに便利だ。また、文字盤の光り方を「Amount(アマウント)」または「Simple(シンプル)」の2種類から選べる。リラックスタイムの音源を切り替えたり、盤面の表示スタイルを変更したりする機能も備えており、個人の好みに合わせた柔軟な設定が可能だ。
スマートフォンとの時刻同期、任意の地域の時刻設定に加え、「セカンドタイムゾーン」としてもう1つの地域の時刻を登録することが可能だ。任意のセカンドタイムゾーンを設定すれば、本体のクラウンを1回押すだけで現地の時間に切り替わる。午後の時刻表示はライトが反転して光る仕様となっており、プロダクトデザイン部 UXチーム マネージャーの高荷隆文氏は「午前と午後を直感的に判別できるような工夫も凝らしている」と話す。細部にまで配慮が行き届いた機能設計といえる。
バッテリー残量が残り6分の1になると自動的に省電力モードが発動し、明るさや音量を制限する。リラックスタイムなども動作しなくなるが、これは残り少ない電力で時計表示と翌朝のアラームという最も重要な機能を死守するためだ。
あえてアプリの役割を基本的な設定と説明書の閲覧に限定したそうだ。その狙いについて、高荷氏は「テクノロジーと人間の良い関係性を重視した」と説明する。あえてアプリの役割を設定と説明書に限定し、寝室にスマートフォンを持ち込む原因を作らないよう工夫したという。
「スマートフォンとの距離感と主従関係について特に意識し、The Clockの開発では、スマートフォンとの距離感を強く意識した」と高荷氏。「主体はあくまで人間であり、機能を詰め込みすぎてしまうと、アプリ側の主従関係が曖昧(あいまい)になり、道具としての本質が損なわれてしまう」ため、あえてできることを絞り込んだと説明する。
とはいえ、今後を見据えた仕様もある。The ClockはWi-Fi経由でのソフトウェアアップデートに対応し、「継続的な機能向上や新しいサウンドの追加を予定する」と高荷氏。具体的なアップデート予定日や追加機能は決まっていないが、バルミューダとして利用者の体験価値を向上させるアップデートを検討しており、今後製品自体がさらに進化していくことに期待できる。
スマートフォン事業で得た知見は生かした
バルミューダにおける時計とアプリの連携……と聞くと、かつてバルミューダが手掛けていたスマートフォン「BALMUDA Phone」を想起する人もいるはずだ。バルミューダは2021年11月26日にBALMUDA Phoneを発売し、2023年5月12日に携帯端末事業の終了(撤退)を発表した。
当然、スマートフォンの新製品は世に出ないが、その分野で得た知見はThe Clockに生かされている。
技術面においては、携帯端末事業の終了時に表明された「インターネットテクノロジー関連の知見を生かす」という方針を具現化。スマートフォン開発で培ったソフトウェア技術や通信機能、音声認識のチューニングといった高度なノウハウはBALMUDA Connectによる緻密な連携の土台となった。かつてのスマートフォン開発という挑戦がなければ、これほどスムーズなコネクテッド体験を時計というプロダクトで実現することは難しかったに違いない。
ただ、真に重要な継承は「テクノロジーと人間の良い関係性」という設計思想にある。プロダクトデザイン部の高荷隆文氏が語る通り、この哲学はスマートフォン開発時から一貫している。かつて寺尾玄社長が掲げた「人生の重要なことは画面の外で起こる」という信念は、今回のThe Clockにおいて、あえてアプリでできることを制限し、寝室にスマートフォンを持ち込ませない工夫を凝らすという逆説的なアプローチに結びついているようだ。
バルミューダは「(当時の)事業環境において総合的に検討した結果」、スマートフォン市場からの撤退に至ったが、そこで磨かれた技術力と「主体はあくまで人間である」という哲学は捨て去らなかったといえる。それらは今、バルミューダが新たな価値を提供するための不可欠な糧として、製品の細部にまで確かに刻まれているようだ。
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