「JAPANローミング」で災害時の通信はどう変わる? 発動条件の周知やMVNOへの対応に課題も:石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)
キャリア4社が災害時に通信網を相互利用する「JAPANローミング」を4月1日から開始する。通信制限はあるが音声やデータ通信が可能な方式と、緊急通報に特化した方式の2種類が運用される。自動接続が基本だが、一部端末では設定が必要であり、MVNOへの対応や周知方法に課題が残っている。
緊急通報のみ方式は端末の制約も、MVNO対応やユーザーへの周知には課題も
ただし、緊急通報のみ方式は制約が多いだけでなく、ユーザー側での設定も必要になる。手動で他社のネットワークに接続設定をした上で、さらに圏外になっていてもそのまま発信し続けなければならない。また、フルローミング方式と比べると特殊な接続方法になるため、現時点では対応端末も少ない。
2026年春以降に販売を開始した端末は技術基準の適合試験にこの方式が含まれているため利用可能だが、過去モデルは非対応のケースが多い。例えば、ドコモが公表している対応機種リストを見ると、Galaxyでも25年モデルの「Galaxy S25」や「Galaxy Z Fold7」などはいずれも「更新予定」になっており、それ以前の機種には「×」がついている。iPhoneやXperia、AQUOSなどのシリーズも同様の状況だ。
対応端末の数や設定の容易さ、さらにはローミングとしてできることを踏まえると、やはり基本になるのはフルローミング方式といえる。緊急通報のみ方式は、そのフルローミングも提供できないような厳しい状況に陥った際に、“最後の手段”として用意されるものと捉えておけばいいだろう。
どちらを発動するかはキャリアの状況判断次第だが、日本は台風などによる水害で局地的な通信障害が発生しやすいことを踏まえると、フルローミング方式の方が出番は多くなりそうだ。
フルローミング方式は、ユーザー側のハードルをなるべく減らすよう、技術仕様が検討されてきた。自動接続が可能だったり、データローミングをオフのままでも使えたりするのは、そのためだ。一方で、設備の改修が必要になるため、MVNOによって対応の可否が分かれてしまうのは課題といえる。
また、普段はオフの状態になっているため、災害発生から発動までには時間もかかる。そのため、キャリア側の復旧が早くなりそうなケースではJAPANローミングが提供されないこともある。事業者間ローミングの導入に向け行われた過去の会議では、能登半島地震で仮にローミングを提供した場合の有効性が検証されていたが、発動条件の具体例をもう少し挙げた方がユーザー側も“自分ごと”にして受け入れやすくなるはずだ。
基本的には自動で接続されるフルローミングも、一部ケースでは手動の設定が必要になる。こうした操作に慣れるためにも、防災訓練などの一環として体験できる場があった方がいいだろう。会見では、110、119への緊急通報の体験は「技術的に難しい面が大きい」(電気通信事業者協会 企画部長 吉川智之氏)としていたが、フルローミング提供時のネットワークサーチやデータローミングの設定変更を疑似体験してもらうことは不可能ではない。誤解が起きないような周知をどう進めていくかも、今後の課題といえそうだ。
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