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3社そろい踏みの「Starlink Direct」 料金で仕掛けるドコモとソフトバンク、先行するKDDIは“サービス”で差別化石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)

KDDIとSpaceXの衛星通信サービスで先行するauが新施策を発表した。ソフトバンクとドコモが追随する中、KDDIは救助要請を支援するSOSセンターやエリア拡大で対抗する。UQ mobileでの実質無料化も進め、運用実績とサービス面での差別化でリードを狙う。

 2025年4月にスタートしたKDDIとSpaceXの「au Starlink Direct」は、上空300キロを飛ぶ低軌道衛星(LEO)とスマートフォンが直接通信するサービス。当初はメッセージサービスのみの対応だったが、通信可能な衛星の数を増やすなどして、一部アプリのデータ通信も利用可能になった。

 一方で、KDDIとSpaceXの独占期間が終わり、4月10日にはソフトバンクが「SoftBank Starlink Direct」を開始。ドコモも4月27日に「docomo Starlink Direct」のサービスインを控えており、楽天モバイル以外の3社が衛星とスマホのダイレクト通信で並ぶ形になる。


KDDIは、au Starlink Directの新サービスを発表した。1年のリードタイムをどう生かせるのかに、注目が集まる

 このような状況の中、サービス運営で1年先行してきたKDDIが、新たなサービスやUQ mobileへの拡大を発表し、差別化を図ろうとしている。同じStarlinkを使うサービスだが、それぞれのキャリアごとにやや味付けが異なる印象だ。ここでは、KDDIが打った先手を解説するとともに、Starlink Directで競争する3社の特徴を比べていきたい。

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ユニークユーザーは400万を突破、料金で追うドコモとソフトバンク

 KDDIは、2025年4月にau Starlink Directを開始した。直後の5月には、データ容量無制限の「使い放題MAX+」に「Pontaパス」をセットにした「auバリューリンクプラン」を発表。対価として料金を値上げしつつ、空が見えればどこでもつながることを訴求してきた。人口カバー率は99.9%を超える大手3キャリアだが、国土カバー率は6割程度にとどまる。衛星との直接通信は、その残り4割をカバーできるサービスとして注目度が高い。


KDDIは、1年前の4月にau Starlink Directを開始している

 当初はメッセージサービスのみの対応だったが、2025年7月にはサービスを改善しており、SMSの送受信を30秒以内に短縮している。これは、43度の軌道傾斜角を飛ぶ衛星を追加したためで、衛星の数を増やすことで通信品質を向上させている。さらに、2025年8月には衛星通信対応のAPIを組み込んだアプリのデータ通信に対応。マップや天気、防災、アウトドア、ニュースなどが利用可能になった。3月には、米T-Mobileとの海外ローミングにも対応している。


当初はメッセージサービス限定だったが、すぐにデータ通信にも拡大。海外ローミングも利用できるようになった

 また、KDDIは他社やサブブランドのUQ mobile、オンライン専用ブランドのpovo2.0を契約するユーザーにもau Starlink Directを提供するため、データ通信専用の1GBプランで同サービスを利用できる「au Starlink Direct専用プラン+」を提供。UQ mobileとはセット割引も用意し、1650円のプランを550円で利用できるようになっている。


サービス開始の翌月には、UQ mobileや他社ユーザー向けに専用プランの提供を開始した。現在も、au以外のブランドにはこの仕組みを活用している

 こうした取り組みが奏功し、サービス開始から1年でau Starlink Directを利用したユニークユーザー数は400万を突破。対応端末も89機種、1100万台に広がった。2026年1月に北海道で発生した遭難事故では、au Starlink Direct経由で知人に連絡を取り、110番通報してもらうことで救助につながったとのことで、クリティカルな場面で利用されるシーンが広がっていることがうかがえる。


au Starlink Directを利用したことがあるユニークユーザーは400万を突破。対応端末も1100万台を超えた

 一方で、Starlinkの衛星通信はあくまでSpaceXが提供しているサービス。独占期間が切れれば、他キャリアもこれを利用できるようになる。実際、4月10日にはソフトバンクがSoftBank Starlink Directを開始しており、対象をサブブランドのY!mobileにも広げた。6月までは、オンライン専用ブランドのLINEMOでも、SoftBank Starlink Directを無料で利用できるなど、KDDIとは料金面で差別化を図ってきた。


ソフトバンクは、サブブランドのY!mobileでもSoftBank Starlink Directを無料化。料金で差別化を図っている

 また、ソフトバンクはSoftBank Starlink Directの開始に合わせ、傘下の事業者が運営する“キラーサービス”のアプリを、衛星との直接通信に対応させている。LINEやPayPayなどがそれだ。アプリ自体はどこのStarlink Directなのかまでは判別しておらず、他キャリアでも利用可能なため差別化にはつながらないものの、グループ一丸となってSoftBank Starlink Directに取り組んでいることをアピールした格好だ。


グループの持つキラーサービスの衛星対応も開始したソフトバンク。LINEやPayPayなどは、他社ユーザーの恩恵も大きい

 さらに、ドコモも既にdocomo Starlink Directを4月27日にサービスインすることを発表済み。ドコモは、ソフトバンク以上に料金面で踏み込んでおり、データ容量無制限の「ドコモMAX」だけでなく、小容量プランの「ドコモmini」やオンライン専用プランのahamoでも、無料で利用できることをアピールしている。ドコモにはいわゆるサブブランドがないため、対象者を一気に広げられる見込みだ。


ドコモは、全料金プランを対象に当面無料で提供する予定だ
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