3社そろい踏みの「Starlink Direct」 料金で仕掛けるドコモとソフトバンク、先行するKDDIは“サービス”で差別化:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)
KDDIとSpaceXの衛星通信サービスで先行するauが新施策を発表した。ソフトバンクとドコモが追随する中、KDDIは救助要請を支援するSOSセンターやエリア拡大で対抗する。UQ mobileでの実質無料化も進め、運用実績とサービス面での差別化でリードを狙う。
1年のリードタイムをどう生かす? サービスで差別化するKDDI
ドコモやソフトバンクがStarlink Directにキャッチアップしてきた中、1年先行して提供してきたKDDIはどのように差別化を図り、サービス面でリードしていくのか。KDDIのパーソナル事業統括本部兼事業戦略本部長の執行役員、門脇誠氏は「サービスを先に提供することで、データやお客さまの声が集まり、それを見た上で何が必要かを考えて提供できる」と話す。
その具体例として新たに追加されたのが、「au Starlink Direct SOSセンター」だ。このセンターは、対応するアプリから送信されたSOS情報を受け、警察や消防、海保といった緊急通報受理機関への通報を行う。24時間365日休まず稼働しており、ユーザーの安全を守る。こうしたサービスは、「先にやっているからこそ提供できる」(同)ものだという。
対応アプリは「auナビウォーク」や「auカーナビ」といったKDDI純正アプリの他、サードパーティーの「ヤマレコ」にも対応する。au Starlink Direct接続時に表示される「衛星SOS」のボタンを押すと、救助に必要な情報を簡単に入力できるフォームが現れ、それを埋めていくとSMSにデータが引き継がれて送信できる仕組みだ。
iPhoneの「衛星経由の緊急SOS」の場合、Appleが運営する中継センターに直接メッセージを送信でき、緊急通報受理機関に取り次いでもらえるが、au Starlink Directにはこうした仕組みがなかった。KDDIがアプリ側にそれを実装することで、au Starlink Directの安心感を高めた格好だ。また、海上の情報を提供する「マリンコンパス」や、山岳捜索サービスの「COCOHELI」が提供するサービスも「KDDIが開発をサポートした」(同)。
この発表に先立ち、KDDIはau Starlink Directのエリアを24海里に拡大しており、12海里にとどまるdocomo Starlink DirectやSoftBank Starlink Directよりもエリアが広い。これも、「当初は領海12海里でサービスを開始したが、その後、漁業関係者の皆さまとお話ししたところ、12海里では足りない、24海里であれば十分だというお声を受け、拡大を実施した」(パーソナル事業統括本部 事業戦略本部 事業企画部長 秋田翼氏)からだという。
現時点で、Starlink Directの海外ローミングに対応しているのも、au Starlink Directのみ。4月23日の会見では、先行提供している米T-Mobileに加え、カナダのROGERS、フィリピンのGlobe、ニュージーランドのSparkに拡大していく方針が明かされた。これにより、米国に加え、カナダ、フィリピン、ニュージーランドでの利用が可能になる。
日本では、国土カバー率が6割にとどまるものの、人が頻繁に訪れる観光地などはへき地でもモバイルネットワークのエリアになっていることが多い。一方、海外では、広大な国立公園やそこに至る道のネットワークが整備されていないケースも見受けられる。その意味では、日本にいるときよりも海外ローミングの方が活躍する機会が多いサービスになるかもしれない。この点で先行しているのも、KDDIの強みになる。
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