コラム

「私のデータ、AIの学習に使われる?」LINEの新機能「Agent i」の疑問をLINEヤフーに聞いた

LINEヤフーはLINEやYahoo! JAPANから呼び出せる新AIブランド「Agent i」を提供している。過去の個人情報漏えい問題への懸念に対し、同社の広報担当者はデータが主に国内サーバで保管されると回答した。ユーザーが入力したデータが、外部の大規模言語モデルの技術の学習用途に使用されることはないと明言した。

 LINEアプリを開くと、見慣れないアイコンに気づいた方も多いのではないだろうか。4月20日、LINEヤフーが満を持して公開した新AIブランド「Agent i(エージェント アイ)」への入り口だ。


LINEアプリに突如出現した謎のアイコン。実はこれが「Agent i(エージェント アイ)」を使い始める際にタップするアイコンだ

 Agent iは、私たちが日々使っているLINEやYahoo! JAPANからワンタップで呼び出せる身近なAIエージェントだ。最大の特徴は、指示文(プロンプト)を入力しなくても、直感的に操作できること。例えばレシピの機能では、自宅の冷蔵庫の中身をスマートフォンで撮影して送信するだけで、AIが食材を認識し、今あるもので15分以内に作れる献立を提案する。


LINEアプリからワンタップで呼び出せる新AIブランドAgent iの画面のイメージ

 面倒な毎日の献立作りから解放される便利な機能だ。しかし、この画期的な便利さを前に、ふと立ち止まってしまう人もいるかもしれない。「自分の生活空間の写真や、個人的な悩みをAIに送信しても、本当に大丈夫なのだろうか」と。

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記憶に新しい過去の個人情報漏えい問題

 ユーザーがプライバシーへの不安を抱くのは無理もない。LINEヤフーは2023年秋、大規模な個人情報漏えい問題を起こしているからだ。

 当時、同社の関係会社である韓国NAVER Cloudの委託先企業がマルウェアに感染。そこからネットワークを伝って不正アクセスを受け、ユーザーのサービス利用履歴などを含む約52万人分の個人データが漏えいする事態となった。

 この事態を重く見た総務省や個人情報保護委員会からは、厳しい行政指導や勧告が行われた。現在LINEヤフーは、当時のシステム構造の弱点であったNAVER側とのネットワークの分離や、システム運営の委託終了など、根本的な再発防止策を段階的に進めている段階だ。


総務省が2024年3月にLINEヤフーの出澤剛社長に宛てた行政指導文書

 こうした背景がある中で、冷蔵庫の中身といった極めてプライベートな情報をやりとりするAgent iが新登場した。警戒する声が上がるのも当然といえる。

新AIで送信したデータはどこで管理されるのか

 では、私たちがAgent iにアップロードした写真や、やりとりした相談履歴といったデータは、一体どこでどのように管理されるのだろうか。この疑問をLINEヤフー広報に直接ぶつけてみた。

 まず、最も気になるデータの保管場所について。LINEヤフー広報によると、Agent i上での利用履歴や生成された回答などのデータは、「主に日本国内のサーバで保管している」という。

 ただし、全てが国内で完結しているわけではない。「一部のデータについては、弊社のプライバシーポリシーに基づき、厳格な安全管理措置を講じた上で、米国子会社でも保管している」とのことだ。海外のサーバを利用している部分は残るものの、少なくとも過去の流出問題の舞台となった韓国のサーバではなく、厳格な管理下における米国拠点での運用を明言した形だ。

「AIの学習データにはならない」と広報回答

 そしてもう1つ、生成AIを使うにあたって多くの人が懸念するのが、自分のデータがAIの学習に使われ、どこかで他人の回答として出力されるのではないかという疑問だ。

 これについても、LINEヤフー広報は明確に否定した。Agent iの裏側では、OpenAIやGoogleなど、世界トップクラスの複数の大規模言語モデル(LLM)の技術を機能に応じて使っている。しかし、「ユーザーが入力したデータがLLMベンダー側の学習用途に使用されることはない」と断言している。

 つまり、私たちが今夜の献立のために送信した冷蔵庫の写真や、個人的な悩みのチャット履歴が、知らない間にAIを賢くするための学習データに使われる心配はない。


LINEヤフー広報によると、同社のAIサービスではOpenAIやGoogleなどのLLM技術が使われているが、ユーザーが入力した画像やチャット履歴などのデータがベンダー側の学習用途に利用されることはないという

利便性とプライバシーのバランスは重要

 今後、Agent iは複雑なタスクを代行したり、LINEのトークルームの空気を読んだりといった新機能が続々と追加される予定だ。

 一方、利用時のプライバシーはどう確保されるのか……という不安に対して、データの国内保管(一部米国)や学習データへの非利用といった明確な線引きを示した今回のLINEヤフーの姿勢は、ユーザーにとって大きな安心材料となるはずだ。

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