飲食店でのスマホ注文に物議、LINEの連携必須に批判も 「客のリソースにただ乗りしないでほしい」
飲食店でスマホを使って注文をする機会が増えているが、「客のリソースにただ乗りしないでほしい」という声が挙がっている。LINEを使ったスマホオーダーにも否定的な意見が多い。テーブルのQRコードを読み取って、初めてLINE連携が必要だと分かった店舗もあった。
飲食店に入ったら、テーブルに設置されているQRコードを読み取って、自分のスマートフォンで注文をする――そんな注文方法を導入している店舗が増えつつある。筆者自身も、飲食店で、自分のスマホから注文する機会が増えている。
店員を呼ぶ必要がなく、自分の好きなタイミングで注文できるので、便利ではある。また、店舗によっては備え付けのタブレットで注文するケースもあるが、不特定多数の客が触ったタブレットよりも自分のスマホの方が衛生上、安心できるという感覚もある(実際に衛生的かどうかはさておき)。
一方、SNS上では、「スマホ注文はやめてほしい」という声が挙がっている。どういうことか。要は、「客のリソースにただ乗りしないでほしい」というものだ。
自分のスマートフォンで注文をするということは、その際にデータ通信を利用することになる。しかしそういう飲食店に限ってフリーWi-Fiを用意しておらず、客は自分のデータ容量を消費して注文する形になる。スマホで注文をするのに消費するデータ容量は微々たるもので、大容量プランや無制限プランのユーザーにとっては気にならないだろうが、1〜3GBなどの小容量プランを契約している人にとっては、小さくない問題だ。
細かいことをいえば、注文をする際にスマホのバッテリーも消費する。もしもスマホのバッテリーが尽きていたら、注文できないことになる。
客のスマホで注文をさせるなら、「安心して使えるWi-Fiサービス」と「あらゆるスマホを充電できる環境」を用意してほしいというわけだ。備え付けのタブレットの方が分かりやすいし、店舗側も食い逃げの心配がなくてよい、との意見も挙がっている。
LINEで友だちを追加して注文することに批判も 何が問題?
そして問題に拍車を掛けているのが、最近増えている、LINEを経由したスマホオーダーだ。飲食店のテーブルに設置されているQRコードを読み取ったら、LINEの友だち追加を要求され、LINEアプリを通して注文をする。
LINEは確かに便利なツールだが、基本はコミュニケーションをするためのもの。飲食店で注文をするだけなのに、なぜLINEの友だちに追加しないといけないのか。こうした不満を抱いている人は多いようだ。確かに、LINEのトーク一覧には、ただでさえ多くの知人や利用サービスなどが並んでおり、この一角に(一度しか使わない可能性もある)飲食店が入り込んでくるのには違和感がある。
なお、LINEと店舗の認証画面で、「友だちを追加する」のチェックを外せば、友だちを追加せずに注文はできる。ただし、デフォルトでは友だちの追加はオンになっており、筆者も指摘されるまで気付かなかった。
【訂正:2025年12月4日19時30分 初出時、LINEを経由すた注文について、「友だち登録が必須」としていましたが、正しくはオフにできます。おわびして訂正いたします。】
ある店では、友だち追加後に、性別と生年月日の登録を求められた。「おすすめのメニュー表示のため」との説明があったが、なぜ、注文するだけでこのような登録をする必要があるのか疑問に思った。
それだけならまだしも、注文した後は、こちらが求めていないキャンペーン情報やクーポンなども送られてくる。行きつけのお店ならいいかもしれないが、一度きりか、めったに訪れないお店だとしたら、強制的にメッセージが送られてくるのは迷惑だろう。友だち追加後のメッセージ送付は「必要」「不要」かをユーザーに選ばせてほしい。

LINEで友だちになったら、今後、最新情報を配信するとのメッセージが。いや、いらないんですけど……(写真=左)。スペシャルクーポンも送られてきたが、再訪する予定のないお店なら無用の長物だろう(写真=右)注文した後は飲食店のアカウントをブロック、削除すればいいわけだが、その手間をユーザーに強いている時点で優しい仕組みとはいえない。
このLINE登録については、SNS上で「スマホ注文ギリ許せるけどLINE登録させてくるのは全然許せない」「スマホ注文は許せたとしてもLINEで友達にならないと注文できないのは本当にやめてほしい。おれは注文したいのであって友達になりたいわけではない」など、否定的な意見が見られる。
筆者も何度かLINEで注文をしたことはあるが、テーブルのQRコードを読み取って、初めてLINE登録が必要だと分かった店舗もあった。「LINE登録が必要だったら、入店しなかった」という意見もあるように、LINEのモバイルオーダーのみを採用しているのなら、店舗の入口や店内のテーブルなどに、その旨を分かるように明示すべきではないだろうか。
スマホオーダーにLINEを導入するのはいいとして、その他の注文方法も用意してほしいところ。もちろん、LINEなら注文内容を一括で管理できるメリットはあるので理解はできるが、それなら、「LINEの連携必須」といった告知は行ってほしい。
また、LINEで友だち登録をすることで、自分の個人情報が店舗側に渡っているのでは? と心配になる人もいるだろう。飲食店向けにLINEを利用したモバイルオーダーを提供している「ダイニー」のプライバシーポリシーを見ると、「LINEとの連携」の項目に、以下の通り記載されている。
本サービスは、LINE株式会社が提供するコミュニケーションアプリ、「LINE」のアカウントと連携しています。これにより当社は、第2条(1)に定める項目に加えて、ユーザーのLINE ID、住所、電話番号、アイコンに個人の写真が利用されている場合にはその肖像を取得します。これらの情報も、利用者情報に含みます。ユーザーは、LINE株式会社のプライバシーポリシーにも同意の上、本サービスを利用してください。
こうした情報が悪用されることは考えにくいが、一度スマホで注文しただけで、これらの個人情報が店舗側に渡ることに違和感を覚える人は多いだろう。
一方、リクルートの「Airレジ オーダー」では、テーブルのQRコードを読み取って注文するだけで、LINEのような個人情報を提供する必要はない。もちろんその後、メールやメッセージが送られてくることもないので、個人的にはこちらの方が安心できる。
スマホオーダーは確かに便利な手段ではあるが、“その場限りで終わらない”LINEと連携させるのであれば、他の注文方法も用意してほしい。それが難しければ、「LINEの連携必須」は分かりやすく告知してほしい。
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