「Rakuten Linkで着信拒否できない件」を楽天モバイルはどう考えているのか 置き去りにされた基本機能の行方
無料通話が強みのRakuten Linkアプリには、特定の番号からの着信を拒否する機能が備わっていない。迷惑電話を防ぐにはアプリからログアウトして端末の標準機能を使う必要があり、無料通話の恩恵を失う。楽天モバイルは長年この課題を認識して水面下で対応を検討しているが、具体的な実装時期は未定だ。
国内通話が無料でかけ放題になるという圧倒的なメリットを武器に、多くのユーザーを獲得している楽天モバイルのコミュニケーションアプリ、Rakuten Link(楽天リンク)だが、日々の生活を支えるインフラとしてスマートフォンを利用するユーザーにとって、非常に厄介な仕様が存在している。
それは、近年社会問題化している詐欺電話や迷惑電話を防ぐための着信拒否が、Rakuten Linkアプリ上ではできないという問題だ。果たして、この問題は解決できるのだろうか。5月26日に開催された説明会で楽天モバイルが公式に言及した。
ログイン中は着信拒否が無効に――「無料」と「安心」のギャップがある仕様
現在のRakuten Linkアプリには、特定の電話番号からの着信を拒否する機能は備わっていない。公式のカスタマーサポートのFAQ(よくあるご質問)ページにも、「Rakuten Linkアプリでは、着信拒否設定ができません」と明記されている。
では、迷惑電話に悩まされるユーザーは、どうすればいいのか。公式の案内によれば、「Rakuten Linkからログアウトした上で、ご利用製品の標準電話アプリにて着信拒否設定を行ってください」とされている。だが、ここにはユーザーにとって非常に大きなジレンマがある。
Rakuten Linkにログインしている状態では、スマートフォン本体の標準電話アプリで着信拒否設定を行っていたとしても、その設定はRakuten Linkには反映されず、迷惑電話が鳴ってしまうのだ。つまり、迷惑電話を完全にブロックするためには、Rakuten Linkから常にログアウトしておかなければならない。
しかし、ログアウト状態ではRakuten Linkを経由した発着信ができなくなるため、楽天モバイル最大のメリットである無料通話の恩恵を受けることができなくなり、通常の通話料金やSMS送信料金が発生してしまうのだ。安心・安全を取れば有料になり、無料を取れば迷惑電話を防げないという、ユーザーにとっては厄介な仕様となっている。
アプリ内で対策できない理由は? 浮き彫りになるサービスの課題
他社のIP電話アプリの中には、着信拒否ができるようになっているものもある。昨今、詐欺電話などが多い中で、そうした迷惑電話対策は本来アプリ内で真っ先に行うべきことのはずだ。なぜ楽天モバイルは、アプリ内に着信拒否機能を実装しないのだろうか。
この点について、楽天グループ エコシステムプロダクト戦略企画部 シニアマネージャーの山田浩史氏は、次のように現状を語った。
「迷惑電話の対応、あるいは『急に知らない番号から電話がかかってくる……』といったお客さまの声は、われわれがサービスインした当初から把握している事象の1つだ」
このように、サービス開始当初から長年にわたってこの問題を課題として認識していることは明かされた。しかし、Rakuten Linkに着信拒否機能を実装しない理由については、「Rakuten Linkの中でやらない理由というのが、現状社内で検討しているものも一部ある中で、本日(説明会開催時点で)お話しできることはない」(山田氏)と回答するにとどまり、明確な理由は示されなかった。
基本機能よりも他機能を優先? インフラとしての優先順位
電話サービスとして絶対にやらなければならない基本機能よりも、他の機能(エコシステム連携など)を優先してしまっているのではないか? という見方もある。インフラとしての使命を果たす上で、まずは安心・安全を担保する機能の実装が急務であることは間違いない。
この基本機能の欠如に対する問題意識について、山田氏は「社内でも長いこと認識をしており、随時そうした対応も今後広げていければと思っている」と述べ、課題としての認識を改めて示している。
ユーザーが着信拒否を行うためには、ログアウトを強いられるという、先述の点に関して、楽天モバイル Link部 Platform Quality&Experience課マネージャーの渡部翼己氏は、「現時点でのアプリの仕様にはなる。ご認識の通り、携帯電話の端末内における機能(例えば、迷惑電話拒否機能)を使う場合は、現時点ではRakuten Linkからログアウトして利用する必要がある」と認めている。
さらに、「SMSの迷惑メッセージも現時点だとRakuten Linkでは特に対策はできない」点についても、「ご認識の通り」(渡部氏)と明確に認める形となった。
現状の楽天モバイルの姿勢を見る限り、具体的な解決策や、いつまでに実装するというようなロードマップは一切示されていない。結果として肝心の基本機能であるコミュニケーションよりも、楽天グループサービスとのシナジーが優先されてしまっているようにも見える。
楽天モバイルは現在、Rakuten Linkを楽天エコシステムと連携するスーパーコミュニケーションアプリへと進化させようとしている。実際、2024年10月にはAI機能、「Rakuten Link AI」を搭載し、2026年7月頃からはmy 楽天モバイルの契約管理機能も統合される予定であるなど、多機能化は着実に進んでいる。しかし、そうした華やかな機能拡充の裏で、着信拒否という安心・安全を担保する基本機能が置き去りにされていることは否めない。
“国内通話無料”というメリットを打ち出しているサービスだからこそ、ユーザーが日常的に安心してメインの電話アプリとして利用できるよう、一刻も早い着信拒否機能の実装が待たれる。無料通話と引き換えに迷惑電話のリスクを受け入れなければならないという現在のジレンマが、今後のアップデートでどのように解消されていくのか、楽天モバイルの本気度が問われている。
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