ティム・クックCEOが「もはや限界」と値上げに言及――すでにAndroidでは値上げラッシュが始まる:石川温のスマホ業界新聞
Appleのティム・クックCEOが海外メディアの取材に対して自社製品の値上げに言及した。その主因はメモリの価格高騰だが、Androidスマートフォンにもその影響が及びつつある。
今週、アップルのティム・クックCEOが、ウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューで「残念ながら値上げは避けられない」と語ったという。昨今のメモリ高騰が原因なのは明らかだ。
この記事について
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2026年6月20日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。
クックCEOは「大幅な値上げを最小限に抑えるために最善を尽くし、ユーザーに影響が及ばないよう努めてきたが、もはや限界に来ている」と白旗を上げてしまったようだ。
クックCEOは間も無く退任し、9月からはジョン・ターナス氏がCEOに就任する。
「値上げしなくては」と言いつつ、後任に全てお任せする様子はKDDI・高橋誠社長(当時)が松田浩路次期社長にバトンタッチした時と重なる。
それはさておき。
メモリ高騰の影響はすでにAndroidスマホに出始めている。
ソニー「Xperia 1 VIII」は23万円を超えている。
先日、発表となったAQUOS R11はチップの違いはあれど、前モデルから5万円ほどの値上げとなっている。
Xiaomi 17 Ultra対抗として期待の高かった「OPPO Find X9 Ultra」も27万4800円と、購買意欲を削がれる値付けとなってしまった。
総務省が設定した端末割引施策のために作られたとされるFCNT「arrows We」でも新製品「arrows We3」が発表となった。ただ、2万2000円という値付けは不可能だったようで、SIMフリーモデルは、RAM 4GB/ROM 64GBモデルで、4万2000円程度と、RAM 8GB/ROM 128GBモデルで5万6800円程度となっている(いずれもオープン価格)。
NTTドコモでは、1円スマホとして他キャリアからユーザーを奪うつもりのようで、半ば強引に2万2000円という値付けがされている。
昨年末ぐらいから各メーカー担当者と雑談をしていると、こぞって「メモリ高騰がやばい」という話になっていた。「商談している途中にも何倍にも上がっていく」とボヤいており、その結果が、ここ最近の値段に反映されているのだろう。
調達量の多いはずのアップル、さらに中国メーカーをもってしても限界に達しており、ここ数年はこの傾向が続きそうだ。
メーカーとしては、ラインナップを絞りつつ、メモリ容量の少ないモデルを増やすことで、できるだけ高く見せないという工夫をしていくことだろう。
ただ「RAMを小さくする」ことで面倒となるのがAndroidへの対応だ。
グーグルとしても、Geminiでできることを増やすなど、Androidの機能を盛り盛りにしようとしている。当然、今後は求められるRAM容量が増えていくことが予想される。
しかし、メーカーとしてはできるだけRAM容量をコスト面で増やしたくない。
将来的なことを考えると「軽く動くAndroid」が求められるはずだが、Geminiで差別化していく中で、Androidはもっと重たくなっていくだろう。
グーグルとしてはメーカーに「RAM容量を増やせ」と号令をかけるが、それではスマホの値段が上がっていき、ユーザーの買い替え需要が落ちることになる。結果、Geminiで便利なスマホは売れなくなっていく。
スマホのAIが全盛になろうとする中、メモリを増やせば、端末価格は高騰し、ユーザーが離れていくというジレンマをグーグルやアップル、メーカーは抱えることになりそうだ。
関連記事
au/UQ mobileが「事務手数料」を順次改訂 多くの手続きが値上げもWebでのeSIM関連手続きは無料化
KDDIと沖縄セルラー電話が、各種事務手数料の改定に踏み切る。多くは値上げ方向の改定だが、一部は完全無料化と値上げの緩和措置が実施される。ソフトバンク、「Airターミナル6」を約9.5万円に値上げ、7月15日から ただし割引増額で“実質0円”は維持
ソフトバンクは、ホームルーター「Airターミナル6」の端末代金を値上げすると発表した。素材高騰が理由だが、毎月の割引額も同額引き上げるため、49カ月間の利用で実質0円となる仕組みは維持される。なぜ? ソニーが語る「Xperia 1 VIII」大幅値上げの理由 約24万~30万円の価格は受け入れられるのか
ソニーは最新フラグシップスマートフォンとなるXperia 1 VIIIの報道関係者向け体験会を開催した。市場想定価格は約24万~30万円と非常に強気だが、3眼全ての暗所性能をフルサイズ一眼並みに高めている。前モデルで発生した重大な不具合への警戒感を払拭(ふっしょく)し、クリエイター層からの支持と市場の信頼を得られるか。ドコモの値上げは「簡単な話ではない」と前田社長 実施を検討も、時期は明かさず
NTTドコモの前田義晃社長は2026年5月8日の決算説明会で、通信料金の値上げを検討していることを明らかにした。対象は「ahamo」単体ではなく全体の料金プランとなる。一方で、同社に存在する約25のプランの整理やシステム改修コストがハードルになるとし、具体的な実施時期の明言は避けた。ソフトバンク値上げの背景に「通信品質維持の限界点」 Y!mobileは収益重視で改定、LINEMOは据え置き
ソフトバンクが6月から既存・新料金プランの値上げと付加価値サービスの拡充を順次実施する。背景には通信トラフィックの増大や原価高騰があり、通信の安定性と事業基盤の維持を優先した形だ。一方でオンライン専用のLINEMOは料金を据え置き、シンプルさを求める層の受け皿として残された。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.