UQ mobile「コミコミプランバリュー」にクレカ割を導入したワケ 背景にahamoとY!mobileの“板挟み”も:石野純也のMobile Eye(1/2 ページ)
KDDIはUQ mobileの新プラン向けに、13カ月間月額660円を割り引く新施策を開始した。この施策はau PAYゴールドカード保有で永続化し、事実上のクレジットカード割引が導入された形だ。背景には値上げ路線を維持しつつも、競合のahamoやY!mobileに対抗せざるを得ないジレンマがある。
KDDIは、6月25日にUQ mobileの割引である「UQコミコミおトク割」を開始した。同ブランドの「コミコミプランバリュー」を契約したユーザーが対象。回線そのものを契約した場合はもちろん、他の料金プランからコミコミプランバリューに変更した場合も適用される。期間は13カ月間だ。
期間を区切った割引は、どちらかといえば新規契約のキャンペーン的に実施されることがあるが、UQコミコミおトク割は、KDDIのau PAYゴールドカードを保有していると、14カ月目以降も割引が継続する点に違いがある。シンプルな料金体系だったUQ mobileのコミコミプランバリューだが、事実上のクレジットカード割引が導入されたといえる。
一方で、KDDIは価値を訴求しながら値上げを実施しており、ARPUも上昇していた。このタイミングでの割引導入は、その方針に反しているようにも見える。単純な料金の安さやポイントバックを売りにした獲得合戦からは一歩引いたKDDIだが、こうした割引を導入した背景には、サブブランド間の競争環境が依然として厳しいこともありそうだ。
“素の料金”で勝負してきたコミコミプランシリーズ、ゴールドカードで割引延長も
コミコミプランバリューは、2025年6月に導入されたUQ mobileの新料金プラン。それまでの「コミコミプラン+」にメインブランドのauでも展開していた「Pontaパス」をセットにしたもので、データ容量も33GBから35GBに増量されている(ただし、コミコミプラン+も既存プランの値上げに伴い、データ容量は35GBにそろえられた)。これまでのコミコミプランと同様、1回10分の音声通話定額が付くのも特徴だ。
料金は3828円。旧料金プランのコミコミプラン+は220円値上げされ3498円になったが、それよりもやや高い料金水準になっている。これは、上記のようにPontaパスがセットになったためだ。一方で、Pontaパスを単独で契約すると548円かかるため、値上げ後のコミコミプラン+に同パスを付けた金額の4046円よりは安い。音声通話だけでなく、サービスもコミコミにしてお得さを打ち出したというわけだ。
振り返ると、コミコミプランバリューやコミコミプラン+の前身ともいえる「コミコミプラン」は、ドコモのahamo対抗で生まれた料金プランだった。そのため、料金の建て付けもメインブランドであるauはもちろん、UQ mobileのもう1つの料金プランである「トクトクプラン2」と比べてもシンプル。固定回線や家族契約などの割引は一切なく、“素の料金”一本で勝負してきた。
ここに追加された割引が、UQコミコミおトク割だ。ただし、その建て付けや料金プランのメニューリストに載る永続的なものというより、年齢などの対象を絞ったユーザー向けに一定期間、提供されるキャンペーン的な割引に近い。割引期間は13カ月で、額は660円。これを適用すると、コミコミプランバリューが3828円から3168円まで下がる。1年間、旧料金プランのコミコミプラン+の値上げ前より安い金額で利用できるというわけだ。
ただし、これは各社がメインブランドやサブブランドに取り入れているクレジットカード割引に近い性格も併せ持っている。au PAYゴールドカードを保有している場合、この660円割引が14カ月目以降も継続するからだ。一般的なクレジットカード割引とは違い、料金をそのカードで支払うなどの条件はない。単純な660円割引のため複雑さはないが、これまで素の料金一本だったコミコミプランとしては異例といえる。
狙う他社ユーザーの獲得、背景にある中容量プランの競争環境とは
では、なぜKDDIはコミコミプランバリューに割引を導入したのか。同社によると、先に発表されたpovo2.0の年1.32TBトッピングに理由は近いという。「昨今、スマートフォンのご利用にあたっては、料金だけではなく通信品質や安定性に対するお客さまのニーズが高まっている」のが背景にあるという。
こうしたユーザーに対し、「UQではauの高品質な通信を利用できることから、通信品質にお悩みのお客さまも、そうでないお客さまもおトクにご利用いただきたいと考え、本施策を提供することとした」という。コミコミプランバリューに加入したユーザーが対象になっているのは、そのためだ。その意味では、他社からの獲得を重視した割引といえる。
背景には、サブブランド同士の料金競争が沈静化していないこともありそうだ。競合として大きいのは、ソフトバンクのY!mobile。同ブランドも、6月2日に「シンプル3 S/M/L」を220円値上げしていたが、UQ mobileのコミコミプランバリューにデータ容量や金額が近いLプランは、割引を適用すると3058円で利用できる。
最安の料金で使うには、2つの割引が必要になり、具体的には「おうち割 光セット(A)」で1650円、「PayPayカード割(ゴールド)」で550円だ。ここに、PayPayカード割のゴールドカード割増特典が加わって220円の割引になり、上記の金額まで料金が下がる。素の料金の値上げはしたものの、ゴールドカード保有者にはそれを帳消しにする割引を提供し、影響を緩和した格好だ。
この金額まで下げるにはゴールドカードだけでなく、SoftBank光などの光回線も必要になるため、モバイル回線以外での支払いも発生してしまうものの、データ容量35GBで、かつ10分の音声通話定額がつく料金プランとしては割安だ。秋からは、2GBだが海外でのデータローミングも無料になる。割引適用の有無にもよるが、コミコミプランバリューよりおトクに使えるケースも多い。
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