povoが仕掛ける“ネットワーク不満層”の取り込み ahamoや楽天を狙い撃ち、ローミング終了も追い風に:石野純也のMobile Eye(1/3 ページ)
KDDIのpovo2.0は新規契約でデータ使い放題を10回分付与するキャンペーンと新トッピングを発表した。背景には他社の通信品質に不満を持つ層をサブ回線として取り込み、その後にメイン回線化させる狙いがある。特にドコモやローミング終了が迫る楽天モバイルのユーザーをターゲットに据え、攻勢を強める構えだ。
KDDIのオンライン専用ブランドとしてpovo 2.0を運営するKDDI Digital Lifeは、同サービスの新たなトッピングを2つ発表した。1つ目が、合計容量が1.32TBになる大容量の1年間トッピング、もう1つが毎月0.5GBと低容量のサブスクトッピングだ。これらの新トッピングと合わせて、6月19日から、新規契約時に24時間のデータ使い放題トッピングが10回分もらえるキャンペーンを開始した。
キャンペーンではMNPの必要なくサブ回線としてau回線のネットワーク品質を体感できることを訴求する一方、新しいトッピングは、こうして獲得したサブ回線のユーザーがpovoを“メイン化”することに主眼が置かれている。唐突に導入されたように見えた新トッピングや新キャンペーンだが、背景にはある事情が透けて見える。アクセルを踏むpovoの戦略や、その市場状況を解説する。
KDDI Digital Lifeは、povoの新キャンペーンを開始した。トッピングも入れ替えを行い、1年間で1.32TBの大容量トッピングを導入する。中央はKDDI Digital Lifeの濱田社長
10日間使い放題のキャンペーンを開始 サブ回線でユーザーの懐に飛び込む
6月19日に、povoは新たなキャンペーンを開始した。新規契約の際に、データ使い放題(24時間)のトッピングを10回分もらえるというのが、その中身だ。契約時に「AUKAITEKI」(注:au快適)というキャンペーンコードを入力するだけで付与される。povoは基本料無料のため、10日間は無料でお試しできるのがこのキャンペーンの魅力。狙うのは、メイン回線の通信に不満を持つユーザーだ。
キャンペーンのキャッチコピーに、「つながりにくいならau回線のpovo」と銘打っていることからも分かるように、ターゲットはauやUQ mobile以外のユーザー。povoがau回線で、そのauがOpensignalの体感品質調査で4年連続1位になっていることも改めて訴求している。auの通信品質や、その通信品質によって高まったブランドを武器に、改めて他社ユーザーにアピールしているというわけだ。
実際、povoは、デュアルSIMで使われるケースが1年前から1.5倍に増加しているという。KDDI Digital Lifeを率いる代表取締役社長の濱田達弥氏は、自社で実施した調査結果を踏まえ、「『メインで使っていたSIMがどうしてもつながらない』『回線の品質が悪い』『バックアップとしてpovoを入れておこう』という声をいただいている」と語る。
他社の回線品質に不満があるので、つながらないときのためにpovoを入れておく。そんなユースケースを捉え、さらに広げていくのが上記のキャンペーンだ。その上で、「品質が使ってみたらめちゃくちゃいい、ニーズに適した小容量や長期間のトッピングもあるということで、メインで日々ご利用いただくことにつなげていく」(同)のが、povoの戦術。サブ回線としてユーザーの懐に入り込み、徐々にメインの地位に上り詰めていく道筋だ。
こうした戦術を取れるようになった背景には、市場環境の変化があるという。濱田氏は、2018年にeSIMに対応した「iPhone XS」が登場したことを挙げ、スマホに「複数のSIMを挿すことができるようになった」としながら次のように話す。
「21年には携帯電話事業者が販売する端末のSIMロックがなくなり、ちょうどその頃、povo2.0が誕生した。当初よりeSIMでの提供をメインに行っていたが、その後、MNPのワンストップ申し込みが始まり、25年のiPhone 17シリーズに至ってはeSIMのみになった。こういった近年の流れが、21年に誕生したpovoのコンセプトにフィットした」
サブとして使ってもらい、メインに昇格してもらう戦術は、成果も出ている。濱田氏が「最近ではメイン回線としてpovoをご利用いただくお客さまが、非常に増えてきている」というように、MNPで電話番号を移してpovoを契約するユーザーは、2024年下期から2025年下期にかけ、1.9倍に拡大。「日常的な、メインのスマホにご利用いただくことが広がっている」(同)という。
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