京セラ本社に「オフィスローソン」が登場 KDDI社外では初の取り組み
KDDIが自社ビルで展開してきた「オフィス特化型」のローソンが、ついに事業化を視野に社外への実験的展開を開始した。その出店先は、主要株主の1社である京セラの本社だ。
KDDIとローソンは9月1日 京セラ本社(京都市伏見区)に「オフィスローソン」をオープンした。オフィスローソンのKDDI社外への展開は初めてで、両社では2027年度からオフィスローソンを本格的に事業化する方針だ。
そもそも「オフィスローソン」とは?
KDDIは本社(東京都港区)/新宿ビル(東京都新宿区)/大阪第2ビル(大阪市中央区)に、自らがフランチャイジーとして運営するローソンの「オフィス特化型店舗」を設けている。これらの店舗はオフィスの従業員がもっぱら利用することを前提としており、商品の補充/点検時以外は無人運営で、専用スマートフォンアプリ(後述)によるセルフ決済を導入している。
オフィスローソンは、オフィス特化型店舗を「より簡素に展開できるようにした」(担当者)もので、KDDI多摩センタービル(東京都多摩市)内にパイロット(先行)店舗をオープン済みだ。
簡素化のポイントは「ユニット型店舗」と呼ばれる出店方法にある。これは商品棚を丸ごとユニット化していることが特徴で、大規模な配管工事が不要な他、オフィスのニーズやスペースに応じた展開をしやすいというメリットがある。
オフィスローソンは、近隣にあるローソン店舗が“母店”となり、運営と商品の補充を担当する「サテライト店舗」扱いとなる。そのため、店舗名にはサテライト店舗を表す「S」が付く。
先述したKDDI多摩センタービルのパイロット店舗(ローソンS KDDI多摩センタービル店)では、地元でローソンを運営しているフランチャイジーが運営/商品補充を行っているが、今回の京セラ本社内の店舗(ローソンS 京セラ本社ビル店)については「KDDI社外への初展開」(担当者)ということもあって、KDDIがフランチャイジーとなった上で、小規模ながら商品の保管を行うバックヤードも設置している。
多くの店舗では店員がサーブする「マチカフェ」も、オフィスローソンではセルフサービスとなる。なお、京セラ本社内の店舗では冷たいメニュー(マチカフェアイス)の提供方法がKDDI多摩センタービルの店舗と異なり、備え付けの製氷機でカップに氷を入れてから抽出を行うスタイルとなっている
商品の購入と代金支払いは、スマートフォン用の「オフィスローソン」アプリを介して行う。現時点ではiPhone(iOS)版はApp Storeに登録されているが、Android版はKDDIのWebサイトからAPK(アプリパッケージ)をダウンロードしてインストールする形を取っている。「本格展開に向けて、Google Playにも登録する準備を進める」(担当者)とのことだ。
アプリからユーザー情報と決済方法(クレジットカードまたはau PAY)を登録後、以下の手順で買い物を進める。
- アプリで店舗にチェックインする
- チェックインは「アプリ操作」または「NFCタグ」で行える
- 購入する商品のバーコードを順次読み取ってカートに入れる
- 消費期限の切れた弁当/総菜類は、読み取るとエラーが出る
- 購入履歴がある商品は、タップ操作で登録することも可能
- 購入の確定操作を行い、決済する
現状、オフィスローソンアプリは商品の登録と決済、登録した商品に関連する商品のレコメンド機能、購入履歴などからのタップ登録機能を備えているが、今後は企業の従業員IDとひも付けることで「購入補助クーポンの配布」「生活支援」といった機能の実装も検討しているという。
オフィスローソンのアプリでチェックインをしたらバーコードを順次読み取ってカートに入れていき、最後に購入操作をすることで買い物が完了する。チェックインは測位情報に基づいてアプリ操作で行うこともできるが、備え付けのNFCタグを読み取って通知からアプリにジャンプするという方法もある
なぜ京セラ本社に出店?
今回、京セラ本社に出店するオフィスローソンは、11階の食堂フロアに大きめの売り場、12階のカフェテリアに品目をチルド軽食とマチカフェを含む飲料に絞った小さめの売り場を設けている。食堂やカフェテリアがあるのに、なぜ社内にコンビニエンスストアを設置しようと考えたのだろうか。
京セラの担当者によると、大きな要因として「勤務時間や働き方の多様化」があるという。
11階の食堂は「お昼時間(11時~14時)に一斉に昼食を取る場所」というスタイルで、12階のカフェテリア(mimosa terrace)は「基本はカフェとして営業していて、昼食時間帯に洋食ランチを提供している」という状況だ。しかし、勤務スケジュールの都合で昼食の時間が食堂やカフェテリアの供食時間と“合わない”ために、近隣にあるコンビニエンスストアなどに昼食を買いに行く従業員もいる。
京セラ本社の近くには複数のコンビニエンスストアがあるが、「往復で5~15分くらい時間を取られる」ことになるため、「本社内に食事を買える売店を設置してほしい」との声があったという。また、京セラは国内に複数の工場を設けているが、立地によっては近所に飲食店やコンビニエンスストア/スーパーマーケットがないケースもあり、特に交代制勤務の工場から「食堂の営業時間外に工場内で食事を買える手段が欲しい」との要望が上がっていたそうだ。
今回、オフィスローソンを本社内に出店することになったのは「新しい従業員サービスの提供機会の創出につながる可能性があると考え」たためで、まず本社で実証をした後、メリットがあれば工場への店舗設置も考えたいという。
ただ、オフィスローソンはサテライト店舗として展開する前提なので、近隣に母店のない地域への出店は難しいと思われる。今後、KDDIとローソンが本格的に事業展開する際には「母店を確保できるのか?」という点が課題となりそうである。
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