Google Pixelに搭載されるも捨てられた“革新的な機能” soliから温度センサー、最新「HiLight」への系譜
Google Pixelシリーズには歴代モデルで多様な独自機能が搭載されてきた。Motion Senseや温度センサーなど先進技術の試みが続けられている。世代ごとの機能刷新からGoogleのスマホ開発思想を探る。
「Google Pixel」の一部機種には、他メーカーにはあまり見られないユニークな機能が搭載されてきた。単に基本性能を高めるだけでなく、最先端技術を取り入れることで、新しい操作方法や利便性を模索している。画面を触ることなく操作できる機能や、背面のセンサーで日常の状態を計測、確認できる機能など、特徴的な技術がそれぞれの世代で導入されてきた。
触れずに操作するモーションセンスとソリレーダーの革新
振り返れば、2019年に発売された「Pixel 4」に搭載された「Motion Sense(モーションセンス)」という機能が独自機能の始まりだった。これは、周囲の動きを正確に検知する「soli(ソリ)」と呼ばれる小型レーダー技術を活用して実現したものだ。飛行機などの追跡用と原理が類似しており、極小サイズのセンサーチップへと小型化することに成功したものだ。センサーは、ディスプレイ上部のベゼル内、上部スピーカー右側に埋め込まれている。
有効にすると、チップから周囲に向けて無線信号が発信される。信号が周囲の物体に反射して戻り、その反射を検知、処理することでユーザーの手の動きを感知する。これにより、画面に触れず手を左右に振るだけで、音楽の曲送り、アラームのスヌーズ、着信音のミュートが可能だ。また、空間認識は顔認証の速度も高める。半径0.6m以内に人が近づくと検知し、顔認証センサーを自動起動して準備を整えるため、持ち上げる動作とほぼ同時にロックが解除される。さらに、ユーザーが遠ざかったことを検知して画面をオフにするため、バッテリー消費を抑える役割もある。
日本での機能解禁の遅れとその背景
一方で、Motion Senseは日本国内における提供が遅れた。米国などでは2019年の発売当初から利用できたが、日本ではセンサーが使用する60GHz周波数帯の電波利用において、法令による認可プロセスを待つ必要があったためだ。そのため、日本向けモデルは発売当初は機能が無効化されていたが、翌年となる2020年2月4日から提供されたシステムアップデートによりようやく日本でも解禁され、タッチレス操作や高速な顔認証が利用可能となった。
背面に搭載された温度センサーの測定機能と変遷
Pixelの新機能として、他にユニークだったのが2023年発売の「Pixel 8 Pro」で初めて導入された温度センサーだ。このセンサーは、背面カメラバー部分、望遠カメラのすぐ横、LEDフラッシュのすぐ下に搭載されている。「温度計」アプリを起動し、測定したい対象物に背面のセンサーを向けて画面上の「タップして測定」をタップするだけで、物体の表面温度を計測できる。
正確に測定するにはセンサーと対象物の距離を5cm以内に保つ必要がある。対象物が小さい場合はさらに近づけないと精度が下がる。測定可能な温度範囲はマイナス20度〜150度だ。アプリでは食品や飲料、ガラス、プラスチック、木といった材質を指定できる。これにより、材質ごとの放射率を適切に補正し、測定精度を高める。発表会では、調理中のフライパンや赤ちゃん用の哺乳瓶があたたまっているかどうかの測定に役立つと紹介された。
画面を伏せたまま情報を伝えるハイライトの新たな役割
この温度センサーは、その後発売された「Pixel 9 Pro」や「Pixel 10 Pro」といった上位モデルに受け継がれたものの、2026年発売の「Pixel 11 Pro」で廃止された。その代わりに、Pixel 11 Pro/11 Pro XLやPixel 11 Pro Foldでは、通常モデルにはない新機能が搭載された。アウトカメラ近くにあるLEDライトをマルチカラーの「HiLight(ハイライト)」として機能させることで、情報の確認をしやすくした。
HiLightは、スマートフォンを伏せた状態、すなわち画面を伏せたままタイムリーな情報を視覚的に確認できる機能だ。例えば、AIアシスタントの「Gemini」を起動した際、Geminiがユーザーの声を聞いている状態、思考している状態、あるいは応答を出力している状態などのステータスに応じて、LEDライトが異なる色やパターンで発光する。また、特定の重要な相手からの着信に対してカスタムカラーを個別に割り当てることもできる。これにより、スマートフォンを伏せた状態で机の上に置いている場合でも、背面のLEDライトが光る色を確認するだけで、誰から電話がかかってきたのかを一目で判別できる。
「Gemini」を起動した際の点灯イメージ。この画像は、スポットライトが当たり明るい撮影環境だったため、LEDライト部分とその周囲を手で覆って視覚的に分かりやすいように撮影している。なお、暗い場所でははっきりと分かるようになっている
なお、発売時点では標準の電話アプリによる通話着信時のみ利用可能だが、今後のアップデートによって、「Google メッセージ」などの他のアプリでもこの機能が順次利用可能になる予定だ。
世代を超えて入れ替わる新機能と開発思想
Pixelシリーズの歴史を振り返ると、Motion Senseや温度センサー、そしてHiLightといった数々の独自機能は、スマートフォンの利便性を向上させるための斬新なアプローチとして輝きを放っていた。しかし、これらの機能は必ずしも数世代にわたって搭載し続けるとは限らない。限られたスマートフォンの本体サイズの中に最新のハードウェアを全て搭載することは現実的ではない。
また、毎世代同じ機能を搭載していては消費者に届けるトピックが代わり映えしないため、Googleは世代ごとに重要視する機能を選択し、入れ替えを行っている。毎世代同じ機能を踏襲するのではなく、新しいトピックを提供し、スマートフォンの体験に新しさをもたらそうとする開発姿勢が、これらのユニークな機能の変遷からみて取れる。
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