ドコモが「さらに設備投資」 鉄道やイベントでの通信品質を改善へ 都営地下鉄の全駅で“5G化”を完了
NTTドコモは好調な業績推移を背景に設備投資計画を9000億円へ増額し、通信品質の向上に向けた対策を強化する。2026年度上期だけで5GとLTEを合わせて7000局を新設し、通勤や通学で使われる主要鉄道路線や地下駅での通信環境を改善した。さらに大規模イベントなどの混雑エリアに向けて最新の通信装置や自律型最適化システムを順次導入している。
NTTドコモは11月4日、2026年度第2四半期決算説明会において、好調な業績推移を背景に業績予想の上方修正を発表するとともに、通信品質の向上に向けたネットワーク投資のさらなる強化方針を明らかにした。ドコモはこれまでに提供してきた高度な通信インフラの安定的な運用と、顧客の体感品質の向上を最重要課題の1つとして掲げており、今回の決算発表においてもその具体的な施策と進捗状況を詳細に示した形だ。
営業利益の通期予想を従来予想から200億円増額して9630億円へ上方修正する一方で、増益分や好調な事業収益を原資として、安定したサービス品質を継続的に提供するための設備投資計画を従来の8570億円から9000億円へと430億円増額した。この追加投資は、主に5G基地局の急速な展開や都市部・交通動線における通信環境の改善、さらに最新技術を活用した混雑エリアでの品質対策に充当される。
具体的な基地局の構築状況としては、2025年度下期に推進した積極的な基地局設置のペースを2026年度上期においても継続して維持しており、2026年度上期の半年間だけで4500局の5G基地局を新たに構築した。この5G基地局には、Sub6帯や28GHz帯のミリ波といった高周波帯に加えて、既存の4G周波数を5Gに転用した基地局も含まれている。さらにLTE基地局についても上期で2500局を新たに構築しており、5GとLTEを合わせた2026年度上期の構築基地局数は合計で7000局に達した。
これにより、ドコモの累計基地局数は、2024年度末の31万1500局(うち5Gが5万2500局、LTEが25万9000局)、2025年度末の31万9400局(うち5Gが5万9300局、LTEが26万100局)から、2026年度第2四半期末時点では32万3900局(うち5Gが6万3300局、LTEが26万600局)へと順調に拡大を続けている。こうした地道なインフラ基盤の拡充が、全国津々浦々における接続の安定性を支える土台となっている。
特に顧客の日常生活に直結する取り組みとして注力されているのが、鉄道利用時における体感品質の改善だ。利用者が非常に多く、通勤や通学の時間帯において通信品質改善のニーズが特に高い全国主要の59路線を主要鉄道動線として設定し、線路沿いや地下駅構内における通信環境の抜本的な強化を進めている。本取り組みでは、現地調査端末を用いた測定で、乗車中の全区間のうちHD画質の動画リアルタイムストリーミングを快適に視聴できる下り通信速度3Mbps以上を80%以上の区間で維持できる状態を快適利用の水準として定義している。この水準を満たす路線数は、2023年度の18路線、2024年度の23路線、2025年度の28路線から、2026年度第2四半期末時点には30路線へと順調に拡大した。ドコモは2026年度末までにこの目標を39路線以上へと引き上げる計画を掲げており、移動中における動画視聴や音楽ストリーミング、SNS閲覧などの体感品質向上を実感できるエリアを着実に広げている。
NTTドコモは、駅構内や地下空間における通信環境も改善している。都営地下鉄においては全98駅全てで5Gの導入を完了し、導入率100%を達成した。2026年度第1四半期時点と比較して16ポイントの大幅な向上となった。東京メトロにおいても対象となる121駅のうち74%で5Gの導入が完了しており、第1四半期から3ポイント上昇した。さらに、東京都以外の札幌、愛知、大阪、広島、福岡などの主要都市を含む全国の地下駅325駅においても、5G導入率は46%に達しており、第1四半期から4ポイント増加している。朝夕のラッシュ時や駅ホーム、改札周辺といった人が集中する場所での通信混雑を解消するため、アンテナ配置の最適化や最新設備の導入を加速させている。
通信密度が非常に高いイベント会場や都市部の混雑エリア・時間帯に対しては、最先端の無線通信技術を積極的に導入することで体感品質の向上を図っている。世界初の取り組みとして、ノキア製の最新基地局装置であるLevanteおよびPonenteを導入し、異ベンダー間のマルチベンダー接続を実現した。この最新装置をノキア製のMassive MIMO(多重入力多重出力)アンテナと接続することで、無線ネットワーク最適化技術であるDual Boostが適用され、データの送信・受信スループット(通信速度)が従来と比較して約20%から30%向上することが確認された。なお、同技術は9月12日に開催された第59回常総きぬ川花火大会などの大規模イベントにおいて先行導入され、現地での実証調査において優れた通信パフォーマンスを発揮した。
さらに国内初の技術導入として、ノキア製のMantaRay SON(Self-Organizing Network:自律型ネットワーク最適化システム)の運用を開始した。このシステムは、リアルタイムでエリア全体の通信トラヒックや混雑状況を分析し、複数の基地局間や異なる周波数帯の間でネットワークリソースを自動的かつ動的に配分・調整する先進的な技術だ。10月17日に開催された第38回なにわ淀川花火大会などのイベントにおいて順次導入が開始されており、一箇所に多数のスマートフォンが集中する極限状態においても、通信の切断や速度低下を最小限に抑える成果を上げている。
NTTドコモは2026年度第2四半期決算において、設備投資の増額を通じたインフラ基盤の拡充、主要鉄道動線や地下駅での体感品質向上、そして最新のネットワーク制御技術やマルチベンダー装置の導入という多角的なアプローチにより、通信品質の向上に取り組んでいることを示した。ネットワークの品質向上は、MNP(番号ポータビリティ)における転入超の維持やARPU(1ユーザーあたり平均売上)の成長を力強く支える基盤であり、同社は今後も安定した高品質通信の提供に向けて継続的な投資と技術革新を推進していく姿勢を示している。
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