第1回「到来する? モバイルバブルの崩壊」キャリアが提唱していたモバイルビジネスのWin-Win関係。しかし実際には,キャリアにそのうまみが一極集中している。この状況下,技術革新の名のもとモバイルブロードバンド時代に突入することは,インターネットバブルの崩壊ならぬ,“モバイルバブルの崩壊”へ突入する可能性を秘めている。
日本発のインターネットビジネスの成功事例として取り上げられることの多い,モバイルインターネットビジネス。通話以外の通信料金の拡大が見込めるキャリアと,ブラウザフォンに向けた各種サービス・コンテンツ提供で新たな収益源を獲得するコンテンツプロバイダ,そして携帯電話でこれまでとは異なった利便性を獲得できるモバイルユーザーと,そのビジネス構造はWin-Win関係と称され,すべてが各々のメリットを享受できるビジネスモデルとしてもてはやされてきた。 キャリアの“Win”確かにブラウザフォンを有する国内のモバイルユーザーは,世界に先駆けて急速に拡大した。2001年6月時点で国内のブラウザフォンサービス契約者は,日本の世帯数と並ぶ4000万人を突破したのである(7月6日の記事参照)。電車内,街中,店舗内問わず,ブラウザフォンをながめ,親指タッチで画面をめくるユーザーの光景もそこかしこで見受けられるようになった。 この結果,その端末のブラウザ上でユーザーが何をしていようが,つまり携帯メールをしていようが,エンタメコンテンツを楽しんでいようが,生活情報を取得していようが,キャリアは通話以外のデータ通信料金の拡大といううまみを吸っていった。一方でそのブラウザフォンの利用促進により,通話料金そのものが下がったという事実もない。まさしく,キャリアにとってのモバイルインターネットビジネスは取り敢えずの“Win”を収めているということができよう。 NTTドコモの収益構造
*NTTドコモホームページより作成 予測とは違ったが,ユーザーは“Win”それではユーザーサイドはどうだろう。これまでのユーザーのモバイルインターネットの利用動向を見ていくと,ブラウザフォンを携帯メールのためのデバイスとして利用する傾向が強い。通話のように相手のシチュエーションを気にすることなく,いつでもどこでも自分本位でコミュニケーションが取れる。しかも通信料金が安い。ブラウザフォンのコアユーザーである若年世代にとってうってつけの通信ツールとして,年々定着してきている。 その反面,ブラウザフォンを利用したサービス・コンテンツへのコミット度は低いといわざるを得ない。モバイル向け有料サービス・コンテンツにお金を掛けたとしても月に300〜400円程度。しかも,その多くが待ち受け画像や着メロのダウンロードコンテンツだ。
つまりモバイルインターネットサービスが提供される際に,キャリアを中心として描かれた,モバイルを基点とした新たなコンテンツビジネスの定着には,残念ながらユーザーサイドが到っていないのが現状だ。あくまでもキラーコンテンツは通話やメールといった,ヒトとのコミュニケーション。その隙間を埋めていく,もしくはそのコミュニケーションをもっと楽しくするためのツールとして,モバイル向けサービス・コンテンツは位置付けられているのである。 次のページへ 連載バックナンバー モバイルショップ
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