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第3回「どこへ行く? モバイルコンテンツビジネス」

1999年2月,NTTドコモのiモードサービス開始と共に,産声をあげたモバイルコンテンツビジネス。ブラウザフォンの急速な普及により,一般化したようだが,ビジネスの歴史としてはまだまだ日が浅い。しかしこのわずかな間で,モバイルビジネスは大きく変わったのも確かだ。今後モバイルビジネスはどこに向かおうとしているのだろう。

【国内記事】 2001年10月3日更新

 iモードサービスが立ち上がった当時,公式コンテンツプロバイダは67社。それぞれのプロバイダが1サイトずつを提供していた。それが2001年6月時点ではiモード公式サイト数は1800サイト,一般サイトに到っては4万5000万サイトにまで膨れ上がった(9月4日の記事参照)。ほかのキャリアのサイトまで合わせた国内総モバイルサイト数は10万サイトに迫る勢いだとも言われている。

代表的なモバイルコンテンツプロバイダ

 1社で数十種のサイトを展開するモバイル専門のコンテンツプロバイダも存在し,そのコンテンツ分類の明確な線引きはしにくいところであるが,図表のような分類で見ると,以下のようなコンテンツプロバイダが代表的なものとして挙げられる。

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 大別すると,デジタルコンテンツ,モバイル向け情報など,コンテンツそのものを販売しユーザーから使用料を課金する「コンテンツ分野」,会員に向けた販促などをサービスの中心に据えた「マーケティング分野」,商品の販売を目的とする「EC分野」の3分野となる。

 コンテンツ分野は,サイト数そのものは最も多い。しかし1ユーザー当たり数百円のコンテンツ課金を収益モデルに据えながら,公式プロバイダでも会員数1万人を超えるのは半数に満たない。そのため,ビジネスモデルとしては非常に苦しいものがある。着メロや待受け画像のダウンロードなど人数を稼げるコンテンツでないと,赤字体質での運営を余儀なくされてしまう。

 マーケティング分野は,無料の会員登録とその会員に向けた商品情報提供やコミュニティ提供などをサービスの基盤とする。中には有料のサイトもあるが,基本的にはユーザーからの課金は行わず,企業からの販促費を収益基盤に据えているモデルが一般的である。

 EC分野は,直接的な物販をモバイルサイト上で行なう,もしくはモバイルサイトで商品紹介や商品検索を行い,WebサイトのECサービスに導くモデルである。モバイルサイト上で直接的な物販を行っていくものは,特にMC(Mobile Commerce)と称され,今後の発展が強く期待されている。

 近年,コンテンツ分野のバンダイネットワークス,マーケティング分野のアイスタイルやメディアファクトリー,EC分野のツタヤオンラインなど,成功事例として取り上げられるものが,徐々に出始めている。

 しかし,成功と呼べるほどの実績を残しているコンテンツプロバイダはまだまだ少ないと言わざるを得ない。また,成功事例として取り上げられるコンテンツプロバイダにせよ,その投資額を完全に回収できるほどビジネスとして成功を収めているとは言い難く,今後,ビジネス展開をさらに発展させる必要があるとされている。

新たなモバイルコンテンツビジネスの方向性

 このようなビジネス環境の中,既存のモバイルコンテンツビジネスの枠組みを超越したコンテンツプロバイダが登場してきている。

 その潮流の大きな特徴は,モバイルのみでのビジネスモデルを取っていないこと。モバイルを使って既存の店舗へ誘導したり,これまで行ってきた会員サービスをモバイルでさらに発展させていく。キャンペーンとの連動や,場所とモバイルを連動させたシチュエーション型のサービスなどが出現してきている。

 つまり,モバイルコンテンツビジネスを店舗誘導,商品販売,会員化など,ほかのビジネスの中にいかに取り込んでいくか,というマーケティング的な側面で,モバイルの新たな可能性を見い出し始めているのである。そのモバイルコンテンツビジネスの方向性を,既存の代表的なコンテンツプロバイダの分類で当て込んでいくと,以下のような方向性が見えてくる。

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単独コンテンツ型からマーケティング連動型へ

 この方向性を見ればお分かりのように,モバイルコンテンツビジネスはその可能性の1つとして,単独コンテンツ型から各種マーケティングなどとの連動によるマーケティング連動型へと変化を遂げようとしている。デジタルコンテンツをユーザーに販売して事業を成り立たせるといった,コンテンツ課金ビジネスからの脱却がこの方向性の根底に流れているのである。

 モバイルコンテンツビジネスは,立ち上がってまだ数年のビジネスではあるが,その短い歴史の中で早くも,その役割やビジネスモデルが転換期にきているのだ。

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「モバイルコンテンツビジネスの方向性」

連載バックナンバー
▼ 第1回「到来する? モバイルバブルの崩壊」
▼ 第2回「見誤るな! モバイル時代のユーザーの捉え方」
▼ 第3回「どこへ行く? モバイルコンテンツビジネス」
▼ 第4回「成功の鍵は? モバイルマーケティングのキモ」
▼ 第5回「見極めよ! モバイルとマスの効果的マーケティング連動」
▼ 第6回「捉えよ!モバイルマーケティングの全体像と今後の方向性」



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