FOMA SH901iS

AV機能と使い勝手に磨きをかけたFOMA® SH901iS

Photoカメラ機能や操作性の良さで高い評価を得ているFOMAのSHシリーズ。最新製品となる「FOMA SH901iS」(以下、SH901iS)は、901iSシリーズ共通機能となる、FeliCa、PDF対応ビューアに対応することはもちろん、前機種である「SH901iC」の高度なAV機能やビューアポジションを継承。機能強化しつつ、使い勝手にもさらに磨きをかけている。

SH901iCのすべてを継承し、AV機能と使い勝手をブラッシュアップ

 SH901iSはSHとしては第3世代となるFOMA端末だ。前モデルのSH901iCで画質での評価が高かったカメラ機能は2.02Mピクセルから3.2Mピクセルに進化。カメラ利用時やビューア利用時に便利なビューアポジションも継承し、画質面で定評の高いモバイルASV液晶のメインディスプレイは2.4インチへ大型化された。


アルミパネルにヘアライン加工を施したブラックコスモと、サンドブラスと加工を施したシルバーサンド。いずれもさらにディンプルが打たれている

 デザイン面ではよりスクエアなイメージとなり、アンテナを完全に内蔵するタイプとなった。液晶裏側の表面にはアルミ素材を採用。しかも、4色のボディカラーに応じてアルミ表面加工処理を変え、カラーだけでなく質感にもバリエーションを持たせている。

 クラス最強ともいえたSH901iCのAV機能もほぼすべてが引き継がれ、さらに強化されている。カメラが高画素化されただけでなく使い勝手の点でも大幅に改善されている。もちろんビデオデッキと連動して予約録画も可能なテレビ録画機能、テレビでの再生機能(AV入出力)も継承されている(SH901iCの記事参照)

FOMA初の3.2Mピクセル+スポットオートフォーカス

 SHといえばやはり期待するのがカメラ機能だ。SH901iSは最大1536×2048ピクセルでの撮影が可能な3.2Mピクセル(有効画素316万)のカメラユニットを採用し、さらにオートフォーカス(AF)も採用。3.2Mピクセル+オートフォーカスはFOMA初だ。

 CCDユニットは単に3.2Mピクセル化されただけではなく、フレームインターライントランスファ型CCDを使い、強力な光源が原因で発生するスミアを緩和している。また周辺部でもゆがみの少ない非球面レンズを採用し、光学系も3.2メガピクセルに相応しいアップグレードが施された。

 静止画のスポットAFも初採用の機能。AFモードをスポットAFに切り換えると画面を3×3に9分割した任意の部分の被写体にピントを合わせることができる。ショートカット機能も充実しているので、ディスプレイを開いた状態なら[3]ボタンを押すだけでAFモードの切り換えも可能だ。

 デジカメスタイルの場合、端末上部の4方向ボタンでスポットAFも使えるが、フォーカスロックが非常に扱いやすいため、中央以外の被写体にピントを合わせたい場合にはシャッターボタンを半押しするフォーカスロックを使ったほうが使いやすい。縦スタイルでの撮影ではスポットAF、デジカメスタイルではフォーカスロックと使い分けると良さそうだ。


「使えるボタンはすべて使う」、というくらい豊富にショートカットが準備されている。ズームの両端へ一気に移動できる機能も便利


画像の編集機能「スピーディラボ」は極めて豊富。編集前、編集後を同時に確認できる機能は非常に便利だ


 使い勝手は従来のSHシリーズ同様、数字ボタンをショートカットとして積極的に活用できるほか、デジカメスタイルでもAVコントローラのおかげで撮影から設定変更までスムーズに行える。デジカメスタイルではシャッターボタンのAF動作と撮影のクリック感が非常にハッキリしており、しっかりとピントを合わせてからの撮影が非常にやりやすい。またシャッターを一気に押し込んでもAF動作後に撮影が行われるため、ピンボケの写真になってしまう心配がほとんどない。

 編集前、編集後を同時に表示して確認しながら、「スピーディラボ」という極めて多機能な編集機能が使える。1.2M(960×1280ピクセル)以上の解像度でも、QVGAサイズ以下のへのリサイズ、トリミングができる。トリミング時にはズームも併用できるので、単純にトリミングサイズで切り出すだけでなく、任意の部分をリサイズしてのトリミングも可能だ。

 画像のEメール送信は、高解像度撮影した画像に関してはQVGAサイズ(240×320ドット)に自動リサイズが可能。また解像度をそのままにiモードメールで送信できるサイズまで再圧縮する機能も備えており、高解像度のままPCなどへiモードメールとして送信することも簡単だ。一覧からのEメール作成でも、Eメール作成画面からの添付ファイル指定でも同様で、miniSDメモリカードに保存した画像も直接指定できる。

 また動画撮影機能では手ぶれ補正機能が追加された。hQVGAサイズ(240×176ドット)に撮影サイズが限定されるが、撮影者が動いていたりしても安定した撮影が可能だ。

 使い勝手には不満はないものの、やはり気になったのは撮影後の保存に要する時間だろう。最大解像度(1536×2048ドット)、ノーマル画質で撮影した場合、保存先が本体メモリでもminiSDカードでも10秒程度を要する。ファイルサイズが500Kバイト前後と画質優先で圧縮率が低いということもあるだろうが、高解像度での撮影は“ここぞ!”というときに活用したい。

高解像度な静止画をiモードメールに添付しようとすると、待ち受け画面サイズ(QVGA)に変更するかどうかを確認するアラートが出る。「いいえ」を選択すると、解像度を変更せずにiモードメールとして送信できるサイズ(送信時で500Kバイト)まで再圧縮してくれる

大画面化とAVコントローラでさらに使いやすくなったビューアポジション

 SH901iCで採用されたのが、閉じたコンパクトな状態でメインディスプレイを活用できるビューアポジションだ。SH901iSではディスプレイサイズが2.4インチと一回り大きくなり、右側面には4方向ボタンも持つ「AVコントローラ」を装備した。またビューアポジションで机上に置くと8度上方に傾くようになっており、専用スタンドなどがなくてもビューアスタイルでコンテンツを楽しめるよう工夫されている。


右側面(デジカメスタイルでは上部)に装備されたのが「AVコントローラ」。4方向ボタンも備えることで、ビューアポジションでもさまざまな操作を可能にしている

 「AVコントローラ」は4方向ボタンと決定ボタン、iモードボタンとカメラボタン、クリアボタンをそのまま右側面にも装備したと思えばよく、感覚的にも分かりやすい。4方向ボタンは操作しやすいように十分なサイズが確保され、シャッターボタンも兼ねる決定ボタンはストロークも十分。カメラのオートフォーカス(AF)動作のための半押しもしっかりしたクリック感があり操作しやすい。

 ビューアポジションのままでも、メニュー操作やショートカットメニューの利用が可能なほか、マナーモードのオン/オフ、メール問い合わせなども1ボタン操作で行える。もちろんカメラ起動もワンタッチだ。



このように数字、英字、カタカナを一覧から選択する形式で入力が可能だ

 直感的に使えるように4方向ボタンの機能が必要に応じて入れ替わるといった配慮もされている。動画再生時には横長スタイル(全画面表示)でも縦長スタイルでも、画面の正立方向に対して左右(前後)が巻き戻し、早送り再生となり、ボリュームは前後(上下)になるよう機能の割り当てが変化する。

 面白いのはビューアポジションのまま文字入力が可能になっている点だ。日本語変換はサポートしないが、画面に表示された一覧から側面の4方向ボタンで選択する方式で数字、英字、カナが入力可能になっている。iモードサイトでパスワードを入力する程度なら十分実用的に利用できる。

 またディスプレイを開いた状態や内側に向けて閉じた状態、つまり「AVコントローラ」を特に必要としない状態では操作が無効になるようになっており、誤操作への配慮も十分だ。

 ビューアポジションで携帯する場合は、右側面にあるクリアボタンの長押しでビューアポジション連動のキーロックもオン/オフ可能。音声着信時にはキーロックがオンのままでも一時的にキーロックが解除され、即座に音声通話を開始できる。もちろんテレビ電話もビューアポジションのままで受けられる。

 SH901iCではビューアスタイルで前面下部に「AVコントローラ」に相当する「フロントコマンダー」が位置していた。フロントコマンダーも便利だが、ビューアスタイルでは本体の下の部分を持つ必要があり、少々不安を感じることがあった。SH901iSでは片手でもしっかりと保持して操作できるようになり、安定して使えるようになった印象を受ける。これはデジカメスタイルでのカメラ利用時も同様に感じた。

SHならではの使い勝手もすべて継承



アドレス帳は一般的なタブ付一覧だが、一覧のままカナ入力を行うとインクリメンタルサーチに移行する。独立した読み検索機能よりもシームレスで便利だ

 AV機能やスタイル以外の部分ではSH901iCから大きな変更はないものの、使い勝手の良さは健在だ。アドレス帳は一般的なタブを用いた一覧タイプだが、インクリメンタルサーチもサポートしている。例えば「かわい」さんを呼び出す場合、読みの先頭は“か行”だか、か行の中では後ろの方に表示されている。こんな場合も、一覧のまま「2」「0」(カワ)とボタン操作することで素早く到達できる。

 文字入力は日本語変換機能こそ変更されていないが、より基本的な文字入力の部分で改善が進んだ。同一ボタンで入力するカナを連続入力する場合、従来は右ボタンでカーソル位置を移動させる必要があったが、SH901iSでは文字入力したボタンを再度長押しするだけで、入力した文字を確定、次の文字を入力可能になった。

 例えば「あい」とかな入力したい場合、「1」ボタンを1度押して「あ」を入力。次に「1」ボタンを長押しするとカーソルが次の入力に移動し、「あ」が表示されるので、さらに「1」ボタンを押せば「あい」となる。必要なボタン操作数は変わらないが、慣れてくるとやはり指を動かす頻度を減らせる分便利だ。

 SHシリーズは以前からかな入力モードのまま英文字、数字入力を行う機能を備えていたが、数字入力はさらに便利になった。従来は「2005」と入力するには「2」「0」「→」「0」「5」とボタン操作し、「カナ英数」ボタンを押す必要があったが、SH901iSでは「2」「0」「0」「5」とボタン操作して「カナ英数」ボタンを押せばよくなった。

 901iSシリーズではPDF対応ビューアこそ共通機能になってしまったが、WordやExcelのファイルも表示可能なドキュメントビューアはやはり便利だ。

 また音声通話中、メール利用中、iモード利用中などいつでも「VIEW」ボタンを押せばアシスタントビュー機能を起動可能で、PIM機能やメール、電卓機能などを呼び出せる。音声通話中やメールの作成中にスケジュールを確認したり、作成中のメールにほかのメールの内容をペーストしたりも面倒な操作なしに行え、マルチタスク的な使い方ができる。

かな入力モードで「1」「1」「2」「5」と操作し、「カナ英数」ボタンを押したところ。従来は「125」になってしまったが、SH901iSではボタン操作がそのまま数字入力として反映されるようになった

カメラ利用時、動画再生時などごく一部の状態を除き、「VIEW」ボタンを押せばアシスタントビューが起動する。従来のSHシリーズ同様メニュー操作などもテキパキと動作し、今時の多機能ケータイに散見される緩慢な動作を感じないのも魅力。AV機能を重視する人から、携帯電話としての基本機能を重視する人まで幅広く対応できる端末に仕上がっている。


FOMA SH901iS