2月17日、東京会場となる六本木ヒルズでVodafone Business Conferenceが開催された。定員150名のところへ400名以上の申し込みがあったことからも、その盛況ぶりがうかがえる。取り上げられたトピックも、海外のモバイル動向、企業内での携帯活用の現状と課題、セキュリティといった一般的なものから、ボーダフォンが提案する3Gソリューション、具体的な事例まで、たいへん幅広いものだった。会場後方には3G体験カフェも用意され、カンファレンス終了後は、展示されている3Gの新機種を片手に、端末メーカーおよびボーダフォンの担当者に熱心に質問する参加者も数多く見られ、企業のモバイル端末への関心の高さを改めて実感できた。
また、2月21日には、大阪会場となるスイス南海ホテルでも同セミナーが開催された。

カンファレンス冒頭では、ボーダフォンの業務執行役員法人営業統括部長のマイク・ベナー氏が、日本の法人モバイル市場への期待を語った。日本のモバイル市場の特徴、つまりコンシューマ主導で成長してきた現実を確認したうえで、今後は法人ユーザーが急拡大すると予想。モバイル端末が、生産性の向上、業務を改善する必須アイテムとして、法人のあいだに急速に認知されるようになり、海外での豊富な経験・実績を持つボーダフォンが活躍できるフィールドは十分あると強調した。
端末を提供するだけでなく、または端末の使い方を説明するだけでなく、業種・会社といっしょになって、生産性向上のソリューションを考え、提供していきたい。
マイク・ベナー氏のこの言葉は、本カンファレンスを通じてボーダフォンが企業ユーザーに届けたい本質的なメッセージであろう。

続いて、壇上に立ったボーダフォン株式会社 法人営業統括部 メジャーアカウント事業部長 磯逸夫氏は、企業の生産性を高める情報ツールとしてのモバイル端末の可能性を語った。

法人営業統括部
メジャーアカウント事業部長
磯 逸夫氏
冒頭では、欧米にあって日本にないホワイトカラーのためのツールとして「ボイスメール」と「ブラックベリー(BlackBerry)」の2つを指摘。日本では、ボイスルールは留守番電話のイメージしかないが、欧米では社内コミュニケーションの強力なツールとして当たり前に利用されていること。さらに、通常のメールとボイスメールの使い分けもなされていることが紹介された。
また、欧米で"エグゼクティブのiPod"と呼ばれているResearch In Motion(RIM)社のモバイル端末「BlackBerry」に触れ、特別な装置がなくても無線を使ってバックオフィスのファイル・データベースと同期できる「クレードル・フリー」の機能が解説された。
同時に、日本のホワイトカラーの生産性が決して高くはないという海外との比較データを示しながら、こうしたモバイル端末の使い方が、あるいはその一因なのではないかという指摘は、説得力のあるものだった。
大阪講演で壇上に立った
法人営業部統括部
地域法人事業部長
白石 美成氏
後半では、モバイル端末の企業内での具体的な活用方法が紹介された。例えば、価格情報、在庫データ、顧客データ、為替データなど、バックオフィスに蓄えられているデータが、イベントに応じてサーバからモバイラーにプッシュで提供される仕組み。モバイル端末がWebサービスのクライアントとしてだけでなく、サービスのプロバイダにもなり得る可能性。通勤時間のデッドタイムの活用などによって、ホワイトカラーの生産性を向上できることが語られた。
同時に、オークションに出された携帯端末にエグゼクティブの個人情報が入っていたセキュリティトラブルの事例にも触れるなど、モバイル導入を検討している企業にとっては、海外の最新情報からモバイル端末導入のメリット・リスクまで、バランスのよい情報が得られたのではないだろうか。

最後のセッションでは、ボーダフォン株式会社法人営業統括部ビジネスイノベーション部長 久保幸夫氏により、ボーダフォンのプロダクツ・サービスにより特化した内容で、具体的なソリューションおよび技術解説が行われた。
久保氏は、まずはソリューションを提供するためのフレームワークとして、「プラットフォームとしての回線」「携帯および一部の固定電話のグループ化サービス」「データ同期を実現するプッシュ型のメール配信サービス」「ボーダフォンライブ」などを解説。さらに、これらのフレームワーク上で提供されるソリューションとして、業種・業態によらず必要とされる「ホリゾンタルソリューション」、業種・業態に合わせた「バーティカルソリューション」の2種類を挙げ、各ソリューションを構成する要素技術について解説した。

法人営業統括部
ビジネスイノベーション部長
久保 幸夫氏
業種・業態に合わせたソリューションでは、SOA(サービス指向アーキテクチャ)による企業情報システムの統合および携帯との連携を解説。業務に合わせて最適な携帯端末を選択でき、オフラインでも企業情報システムとデータ同期し、既存の企業内アプリケーションとも統合されたモバイル・ソリューションの具体像が語られた。
標準のアプリケーション基盤である「ボーダフォンライブ」では、Javaアプリケーションの事例が増えていると指摘。CLDC、MIDPのJ2ME標準クラスライブラリと独自クラスライブラリ(VSCL)を組み合わせ、機種固有の機能を吸収したアプリケーション開発ができること、および最大1MバイトのJavaアプリの実行環境はボーダフォンの特長であることが強調された。
さらにボーダフォンでは、企業のビジネス戦略および情報戦略にまで踏み込んで、最適なモバイル・コンピューティング環境を構築していきたいと強調。「情報戦略」のサブセットとしての「モバイル戦略」に関しては、ボーダフォンが積極的に立案・提案していきたいとの意欲が語られた。
このほかに、データ同期の標準規格 SyncML対応のアプリケーションが増えていると指摘。企業のグループウェアとの連携ができるSyncML標準搭載の端末 Vodafone 702NKにも話が及んだ。セキュリティ面では、情報漏洩対策へのソリューションとして、端末紛失時のデバイスロック、ファイル消去、ハードウェアリセットなどが語られると同時に、端末が見つかった場合あるいは端末が壊れた場合のデータリカバリーについても解説が行われた。
最後に、ボーダフォンが提供するモバイルセントレックス VMO(Voderfone Mobile Office)の概要および導入事例が語られた。モバイルセントレックスとは何かについては、この記事を参照してほしいが、簡単な言えば「企業の内線電話を携帯電話で取れるようにするシステム」のことだ。
ボーダフォンのVMOでは、全国どこからでも内線がかけられ、通話料を大幅に削減できるメリット、最低20台から最短10日で構築できるスピーディかつフレキシブルなシステム構築が可能である点が具体的な導入事例とともに解説された。そして、固内線定電話、会社支給および個人契約の携帯電話がすべて一本化されていく将来像も語られた。
※ セッション後は、会場後方に設置された3G体験カフェで、端末メーカーおよびボーダフォンの担当者に熱心に質問する参加者が数多く見られたのが印象的だった。東京・大阪会場、共に長時間のセッションにも関わらず、熱心にメモをとる参加者も多く、改めて企業の携帯端末ならびに企業向けモバイルソリューションへ関心度が高かったことを実感できるカンファレンスとなった。
[ITmedia]