フルブラウザ搭載してもゲートウェイモデルは崩壊せず〜KDDI高橋氏
「フルブラウザは定額制ならでは。実際に検討している」。携帯向けフルブラウザに積極的なKDDIは、既存のゲートウェイモデルを壊さずにフルブラウザ導入が可能だと見ている。
KDDIのコンテンツビジネスの責任者である高橋誠氏は6月28日、「決してゲートウェイビジネスとコンフリクトするものではない。ポジティブに検討していく」と話した。
携帯専用サイトに限らずインターネット上のWebサイトが見られる“フルブラウザ”の採用が進み始めている。DDIポケットは京セラ製端末「AH-K3001V」でフルブラウザ「Opera」を採用(5月27日の記事参照)。
ドコモは年末に投入予定の無線LAN搭載FOMA端末「FOMA N90xiL」には、フルブラウザを搭載する予定だ(2003年12月2日の記事参照)。KDDIは「モバイル用のフルブラウザについて、ある意味で言うと搭載するつもりはある」(小野寺社長)と話すなど、搭載には積極的な姿勢を見せている。
一方で、基本的に無料となるインターネットコンテンツが携帯から閲覧できるようになると、コンテンツ課金の仕組みである「ゲートウェイモデルが崩壊するのではないか」という懸念もある(5月14日の記事参照)。
これに対し、高橋氏は「ゲートウェイモデルが崩壊するかというと、全くそう思っていない」とした。
「コンテンツビジネスを支えているのは、ほとんどが(着メロ、壁紙など)カスタマイズ系とダウンロード系。7割から8割を占める。Web系は2割程度で、HTMLビューワの導入で逆に表現力が強化できる」
カスタマイズ系、ダウンロード系のコンテンツはある程度著作権保護の仕組みが作られていることもあり、フルブラウザが導入されても影響は小さい。影響が大きいと見られる、ニュース/地図/電車の乗り換え系のコンテンツの場合は逆に表現力強化に生かせるのではないかという考えだ。
そうしたサイトでゲートウェイモデルを守る仕組みとしては、端末のユーザーエージェントなどの情報を使い、「有料で見られるものと無料で見られるものをコンテンツプロバイダ側で調整し、(有料コンテンツに)HTMLビューワから来たら弾いてしまえばビジネスになる」(高橋氏)。
「HTMLビューワ(フルブラウザ)の世界は定額制ならでは。実際に検討している」(同)
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