車内ネットワークからUWBまで〜フリースケール ラボを公開
元Motorolaの半導体部門であるフリースケール。自動車向けから無線技術、半導体まで、東京ラボの研究内容を公開した。
54年の歴史を持つMotorolaの半導体部門が、スピンアウトして設立したのがFreescale(9月3日の記事参照)。その日本法人であるフリースケール・ジャパンの東京ラボが12月2日、報道関係者向けに公開された。
同社が注力する市場は、ワイヤレス、ネットワーキング、そしてオートモーティブ(自動車関連)。各分野で優位性を持つ同社の技術とはどのようなものなのか。自動車から無線技術、半導体までデモの様子を紹介していこう。
こちらは、LINネットワークを通じて、ステアリングからライト、ダンパーなどを制御する「LIN Car」。
自動車用ネットワークとしては1Mbpsの速度を持つCAN(Controller Area Network)が駆動系制御用に実用化されているが、20Kbpsとより低速なLIN(Local Interconnect Network)がデバイスコントロール用として世界標準になりつつある。
フリースケールでは、LIN制御チップを2チップ・ワンパッケージで提供しており、2002年から日本車のエアコン、リモートキーレスエントリー、ドアなどに使われているという。
LINを使うメリットの例がドアミラー。LINを使ったドアミラー(右)と従来のドアミラー(左)を比べると、配線数が圧倒的に少ないのに気付く。
昨今、高級車のドアミラーは電動で動作しウインカーやフットライトが組み込まれ、カメラまでも搭載されようとしているなど電子部品が詰め込まれている。従来品では個別に制御していたため20本近くの制御線が必要だったが、カスケード接続できるLINの場合、3本で済む。LINチップはモーターとの一体化も可能なため、スペースも削減できる。
UWBのデモでは、実際に電波を出し、HDTV映像2本を、5メートル離れたテレビに同時に送信して再生してみせた。DS-UWB方式で110Mbpsのスピードを出す。周波数帯は3.1G〜4.9GHz帯を使った。
3センチ程度離れれば出力は-60dbとなり、「携帯電話に影響を与えない」出力だとフリースケール。今後1Gbpsをターゲットとし(6月8日の記事参照)、2005年末をめどにオールCMOSプロセスへの移行を進める。
AAA(アダプティブアレイアンテナ)の制御チップのデモ。AAAは、ユーザーがいる方向に向けて電波の出力が強くなるよう制御する技術だ。
PHSでは既にDDIポケットが基地局向けに実用化しているが、処理が複雑な携帯電話ではこれまでのところ採用例はない。デモでは12個のアンテナを制御して、指向性を持たせた。HSDPA以降の商用化を目指している。
ポータブルHDDプレーヤーのリファレンスキット。MP3/WMA/AAC/MP3 Pro/Ogg Vorbisなどのデコードが可能で、Windows Media DRM10にも対応している。MPEG-4動画なら映像も再生できる(左)。車載用の音源チップ。SRSなどの仮想サラウンド技術が動作するDSPで、ソフトウェアとして後から機能を追加できるのが特徴(右)
FTTH向けのPON(Passive Optical Network)(2001年11月19日の記事参照)。B-PON対応のONU(Optical Network Unit)用LSI。今後は、ギガビットスピードのG-PONなど高速ソリューションを開発していく
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