再び音楽を携帯する気にさせた完成度の高さ――「W44T」:ITmediaスタッフが選ぶ2006年のベスト端末(ライター坪山編)
比較対象となる端末は多くないが、現在でもその完成度は一番ではないかと思えるワイヤレス音楽ケータイが「W44T」だ。随分と久しぶりに移動中に音楽を聴く楽しさを思い出させてくれた。
順位 | 端末名 | 概要 |
---|---|---|
1位 | W44T | ワイヤレス音楽再生、レシーバー付属、1Mバイト内蔵メモリ、Bluetooth、GPS |
2位 | W-ZERO3[es] | WindowsMobile5.0、2.8インチVGA液晶、スライドフルキーボード、USBホスト機能 |
3位 | D903i | スライドボディ、2.8インチディスプレイ、Napster対応、FMトランスミッタ |
付属レシーバーですべての再生操作を――ヘッドフォンも自由に選べる「W44T」
第1位に「W44T」を選んだ理由は、やはりワイヤレス音楽ケータイとしての使い勝手のよさだ。ペンダントタイプのBluetoothステレオレシーバーが付属し、本体側を接続待機状態にさえしておけば、レシーバーの操作だけで音楽再生の開始/終了、曲間移動、音量調整と、ワイヤレスならではのメリットをフルに享受できる。もちろん端末側の音楽プレーヤーも連動して起動/終了するので、リモコン操作で開始/終了しても電池を無駄に消費することはない。音楽ケータイとして理想的な動作だ。
事実上、付属レシーバー以外は使えない(著作権保護のSCMS-Tに対応する必要がある)のは難点だが、ステレオミニプラグのヘッドフォンなら自由に利用できるため、不満には感じない。最初は小型の密閉式を使っていたものの、さすがに夏場は汗をかくのでイヤーフック式に変更。秋には再度密閉式に戻して使っている。
再生できるのは「着うたフル」もしくはau Music Port経由でPCから取り込んだ音楽ファイルのみだが、ファイルサイズが小さいので、内蔵の1Gバイトメモリだけでも、十分音楽プレーヤーとして利用できる点もポイントが高い。
もちろんワイヤレス音楽再生でも使われるBluetooth機能も魅力。ヘッドセットはもちろん、内蔵カメラで撮影した画像もさっとPCなどに転送できる。「W41T」に続いてのBluetooth端末の利用になったが、もはやBluetoothなしの端末なんて使いたくない、と言う思いをさらに強くさせてくれた。
スマートフォンの敷居を低くした――「W-ZERO3[es]」
2位に選んだのは「W-ZERO3[es]」。発表時、既に「W-ZERO3」を所有していたため、こんな中途半端な端末は要らないよ、とタカをくくっていたのだが、2.8インチでもVGAディスプレイのメリットが思った以上にあることや、日本語入力環境が大幅に改善されていたことから、ためらうことなく買い増し。インセンティブの依存度が低いウィルコムなので、端末のみ、つまり回線契約なしでもさほど割高感がなかったのも、購入の大きな理由になった。
音声端末としての使い勝手はまだまだケチを付けたい部分がいっぱいあるが、W-ZERO3からは大幅に改善されており、11月のファームウェアアップデートでさらにケータイっぽく使えるようになった。フルブラウザに加えてPCでのデータ通信も定額で利用できるのが、ウィルコムというキャリアのメリットだ。W-ZERO3[es]という端末とウィルコムというキャリアの結びつきが、国内におけるスマートフォンの敷居を下げてくれたのは間違いない。
スリムなスライドケータイの完成形――「D903i」
3位に選んだのは「D903i」。三菱電機製の端末は、フリップタイプをやめてから一時期は迷走ぎみだったが、「D902i」でフリップデザインをほうふつとさせるスリムなスライドケータイのアイデンティティを確立し、その後の「D902iS」とD903iで着実に中身の改善を進めてきた。デザインとギミック、D903iではNapster対応などが目立ってしまうものの、スライド式かつ時間設定で自動的にオンになるキーロックなど、使ってみて便利と思える機能も多数搭載している。
D902iSではなくD903iを選択したのは“完成度の高さ”。アドレス帳での数字キーの母音移動に対応したり、待受画面にも表示しておけるメモ機能がToDoとしても利用可能になるなど、D902iSまでは“もったいないな”思っていた不満点がほぼ改善された。次モデルがどのようなスタイルで登場するのかは分からないが、スリムなスライドケータイとして、さらに熟成されるのではないかと思う。またスリム化の恩恵として、ディスプレイ側とダイヤルキーの段差が小さくなり、キー操作もより違和感がなくなっている。
音楽再生に関してはNapster対応もさることながら,FMトランスミッターという実用的なワイヤレス音楽再生機能もポイントとなる。一切の追加投資なしで、Napsterの聴き放題を車内に持ち込めるのは大きな魅力だ。
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