2009年度中をめどにスーパー3Gの開発を完了させたい──ドコモの中村氏:ワイヤレス・テクノロジー・パーク2007
ドコモのロードマップの中で、現行3Gから4Gへの架け橋的な役割を担う「スーパー3G」。NTTドコモ 無線アクセス開発部の中村氏は、2009年度中をめどに開発を完了させる見通しだと話した。
7割近くがFOMAの加入者になるなど3Gへの移行が順調に進み、2006年8月末に3.5Gと呼ばれるHSDPAの導入を開始したドコモ。ワイヤレス・テクノロジー・パーク2007で講演を行ったNTTドコモ 無線アクセス開発部の中村武宏氏が、その先に控えるスーパー3Gと4Gへの取り組みについて説明した。
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下り100Mbps、上り50Mbpsのスーパー3G、2009年度中をめどに開発を完了したい
スーパー3Gは、下り100Mbps/上り50Mbpsというピーク時の通信速度を目指す次代の通信規格で、下りにOFDMA、上りにシングルキャリアを採用。現行FOMA(HSDPA)の下り最大3.6Mbps、上り384Kbpsに比べて飛躍的な高速化が実現する規格だ。標準化団体の3GPPではLTE(Long Term Evolution)と呼ばれており、9月にも主要な仕様がリリースされる予定。こうした流れを受けてドコモは、2006年7月にスーパー3Gの装置メーカーの募集を開始している(2006年7月の記事参照)。
1Gbpsレベルのサービスを実現するためには新たな広帯域の周波数帯を必要とし、周波数の利用効率を最大限に高める必要がある4Gに対し、スーパー3Gは既存や追加の3Gの周波数帯を使って展開するというコンセプト。長期間にわたって周波数帯を有効利用するためのものという位置付けになる。
スーパー3Gは、スムーズな4Gへの移行に向けた土台としての役割も担っていると中村氏。3Gから4Gへの移行をどうするかという議論の中では、「3Gとは別なシステムとして4Gを展開する」「3Gから4Gへとソフトに変更する」といったシナリオが考えられるが、前者ではコスト面などさまざまな問題があり、後者では3Gシステムの制約を4Gに与えることになるため、4Gのよりよい性能やサービスを提供する上で足かせになりかねないと指摘。3Gと4Gの間にスーパー3Gというコンセプトを置くことで、スムーズに4Gへの移行を図れるとした。
ドコモは2009年度中をめどにスーパー3Gの開発を完了したい考えで、サービス開始当初の端末は「3G/スーパー3Gのデュアルモードを考えており、スーパー3Gのエリア外では3Gを使えるイメージ」(中村氏)。短期間で展開するのではなく、サービスの連続性を保ちつつ、マーケットの動向を勘案しながら徐々に展開することになるとした。
スーパー3Gの周波数帯については「今のところ、(ドコモが使っている800MHz、1.7GHz、2GHzの3バンドのうち)2GHz帯を使うことを考えている」と中村氏。最初は5MHz幅から導入し、スーパー3G端末の普及度合いを見ながら帯域幅を10MHz〜20MHzと増やしていくような展開になるだろうと見ている。
4Gへの取り組みについては、同規格での目標とされる高速移動時100Mbps、低速移動時1Gbpsによるデータ通信の実現に向けた実験を開始しており、2006年12月に屋外実験での下り最大約5Gbpsのパケット信号伝送に成功している(2007年2月の記事参照)。ITUが行う標準化の作業については2008年2月以降、各国からのインタフェース提案が受付開始されるとし、提案の内容に関する評価が始まるとした。
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