市場が縮小してもシェアアップで現状を維持──シャープ 携帯電話事業の2008年
シャープは1月8日、年頭記者会見を開催した。そこで記者の質問に答えた副社長 事業担当の松本雅史氏は「2008年は出荷台数が減少すると予想しているが、シャープとしてはシェアを上げて現状並みの出荷台数を維持したい」と話した。
シャープは1月8日、年頭記者会見を開催。取締役社長の片山幹雄氏が2012年の創業100周年に向けた取り組みを紹介したほか、2008年度の重点事業と位置づける液晶テレビと大型液晶パネル事業、太陽電池事業などについて説明した。
話題の中心は、2008 International CESでも公開された65V型の次世代液晶テレビだったが、好調な携帯電話事業にも質問が及ぶと、同社副社長 事業担当の松本雅史氏が質問に答えた。
2008年は端末出荷台数が減少
国内の携帯電話市場について問われた松本氏は「2007年度の市場規模は、およそ4740万台程度と予測している。これに対して2008年度は、場合によっては4200万台程度まで落ち込む可能性もあると見ている」と説明。販売台数が減少するのは、販売奨励金制度の見直しや分離プランの導入による2年契約の普及などが影響するからだという。ただ、4200万台という数字はかなり悪いシナリオと見ており、「正直4200万台まで下がるほどではないようにも思う」と松本氏は言う。
シャープの携帯電話事業としては、市場規模が縮小に転じてもシェアをアップすることで現状並みの売上、出荷台数を確保したい考え。そのためには2台目需要などを積極的に開拓するほか、ユーザーの趣味嗜好に合わせて端末の選択の幅を拡げていく。なかなか普及が進まないスマートフォンについては「ユーザーインタフェース(UI)の改善などを含め、なんとかしていかないといけない」(松本氏)との考えを示した。
海外市場は“日本と傾向が近い地域”から攻める
携帯電話事業の海外展開については、「現在も細々とやっているが、大きくしていきたい」と松本氏。拡大の方向性としては、単純に安価な端末を大量に供給するのではなく「“オンリーワン”のシャープらしい携帯電話を展開していく」という。そのため、携帯電話の趣味や好みが日本と近いアジアに力を入れていく方針だ。
特に中国では、最近になって液晶テレビ“AQUOS”のテレビCMを打ち始めたこともあって、非常にAQUOSブランドの認知度が向上しており、AQUOSケータイなどを投入することで、相乗効果が見込めると松本氏は話す。AQUOSシリーズのテレビの売り上げ規模は、2007年12月の単月の数字では、日本、北米、中国、欧州の順になっており、中国が欧州を抜いたことを明らかにした。2008年の夏には北京オリンピックが開催されることもあり、AQUOSブランドを絡めた仕掛けを考えているという。
関連記事
- “勝ち組”シャープ メリハリで成長路線に弾み
「勝ち組」のシャープが、いまなお事業の「選択と集中」を加速させている。徹底したメリハリで成長路線に弾みをつける考えだが、液晶依存の収益構造がますます鮮明になるリスクを懸念する声も。 - 2008 International CES:シャープ、65V型の“次世代液晶テレビ”を披露
米シャープが初公開時よりも大画面化した、65V型の次世代液晶テレビを披露した。“次世代”でも液晶の大型化を牽引するという自負の表れか。 - 2008 International CES:シャープは次世代液晶と手裏剣少女
シャープブースで注目を集めていたのは65V型と52V型の次世代液晶。ネットワークサービス「AQUOS NET」にも対応するAQUOSの新製品も展示されており、手裏剣少女も上映。手裏剣? - ステンレスパネルと浮かび上がるLED表示を採用、最薄部16.9ミリのAQUOSケータイ「W61SH」
KDDIは、ディスプレイを90度回転できるサイクロイドボディのシャープ製ワンセグ端末「W61SH」を2008年1月上旬以降に発売する。幅48ミリ、厚さ19.9ミリ(最薄部16.9ミリ)とコンパクトなAQUOSケータイだ。 - 3.2インチフルワイドVGA液晶、TOUCH CRUISER搭載の第2世代AQUOSケータイ──「SH905iTV」
ドコモのワンセグ端末の中で圧倒的な人気を博したAQUOSケータイ「SH903iTV」がさらに薄く、さらに大画面へと進化。TOUCH CRUISERも搭載してフルブラウザ使用時の操作性も向上している。 - 3.2インチ“フル”ワイドVGA液晶を18ミリの薄型ボディに搭載したAQUOSケータイ──「920SH」
「920SH」は、3.2インチの新モバイルASV液晶を搭載したハイエンドモデル。解像度は480×854ピクセルのワイドVGAで、16:9の画面比率を実現した。AQUOSケータイとして初めて国際ローミングに対応する。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.