子供の約半数が「フィルタ導入しても事故や犯罪は減らないと思う」
IMJモバイルが、ケータイサイトのフィルタリングサービスに関する意識調査の結果を発表。保護者の約9割が“フィルタリングサービスは必要”としているが、理由によってはフィルタを解除するという回答も半数を占めた。フィルタされる側の子供は、「導入しても事故や犯罪は減らないと思う」という回答が約半数を占めるなど冷めた見方だ。
IMJモバイルは2月18日、「携帯サイトフィルタリングサービスに関する意識調査」の結果を発表した。同調査は、15歳から18歳の男女と12歳から18歳の携帯電話を利用している子供を持つ保護者に、携帯サイトの利用やフィルタリングサービスに関する意識を聞いたもの。調査期間は2月5日、6日の2日間で、有効回答数は1032サンプル。
調査によれば、子どもが利用している携帯サイトは、「着メロ・着うたサイト」が49%で最多。次いで「SNS」が41%、「ブログ」が41%と並んだ。また保護者に自身の子どもが利用していると把握している携帯サイトについて聞いたところ、「着メロ・着うたサイト」が46%で最も多く、「オンラインゲームサイト」が16%、「SNS」が15%。子どもが実際に使っている携帯サイトと、保護者が把握している利用状況とのギャップが大きいサイトの上位は「ブログ」「SNS」「掲示板・チャット」となった。
子どもに生活する上でなくてはならないと思う携帯サイトを聞いたところ、「着メロ・着うたサイト」が25%、「経路検索・地図検索」が23%、「SNS」が21%と並んだ。男女を比べると、多くのサイトで男性よりも女性のほうが生活する上でなくてはならないサイトが多い傾向にあるという。
保護者が子どもの携帯サイト閲覧で不安な点は、「悪質と思われるサイトにアクセスしてしまう恐れがある」が64%で最も多く、「好ましくない人と交流してしまう恐れがある」が48%、「不正や犯罪に巻き込まれる恐れがある」が48%と続いた。「特に不安を感じる事はない」と回答した保護者は17%に過ぎず、8割以上が子どもの携帯サイト閲覧に何らかの不安を抱えていることが分かった。
フィルタリングサービスの認知度について調べた結果、「知っている」と回答した保護者は39%、子どもは51%。「だいたいの内容は知っている」を加えると保護者の約7割、子供の約8割がフィルタリングサービスを理解しており、名称では親子共に9割以上が認知しているという結果が得られた。知っているフィルタリングの内容についても、多くの項目で子どもの方が保護者に比べて認知度が高かった。
フィルタリングサービスの利用経験は、子どもの携帯にサービスを使ったことがあると回答した保護者(過去の利用経験を含む)が21%。また利用したことがある(過去の利用経験を含む)子どもは8%だった。保護者に今後フィルタリングサービスを解除するかどうかを聞いたところ、「理由を聞かずに解除する」が1%、「理由を聞いてから解除する」が55%となり、半数以上の保護者が解除に応じることが分かった。
これに対して、子供にフィルタリングサービスを解除したいかを聞いたところ、「絶対解除してほしい」が46%、「できれば解除してほしい」が31%と、8割近い子供はフィルタリングサービスを解除してほしいと考えている。
規制すべきだと考えるジャンルは、保護者では「電子小説・コミックサイト」が35%と最も低く、次いで「ブログ」が43%、「ショッピングサイト」が47%となった。保護者と子どもの間で、規制が必要だと考える割合の差が大きいジャンルは「同性愛に関するサイト」「SNS」「掲示板・チャット」。また、規制が必要ないと思うサイトでは、コミュニティ系のサイトに大きな意識差が見られた。
フィルタリングサービスを導入することによって、携帯サイトに関連した未成年の事故や犯罪が減少すると思うかどうかを子どもに聞いたところ、「減らないと思う」が51%で過半数を上回った。
携帯会社が取り組んでいるフィルタリングサービスについて、「当然必要だと思う」保護者は64%、「やや必要だと思う」保護者は29%となっており、合計すると9割以上の保護者がフィルタリングサービスに賛成していることが明らかになった。
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