「ホワイトリストは、盆栽の庭」――ソフトバンクはブラックリストをメインに
未成年が携帯を通じて事件に巻き込まれるのを防ぐ目的で、ケータイキャリア各社がフィルタリングの義務化を進めている。ソフトバンクの孫社長は、フィルタリングについてもインターネット思想を貫くとし、ブラックリスト方式をメインにするという。
ケータイ各社が「フィルタリングサービスの原則適用化」に踏み切った。未成年のケータイ利用については、親が解除に同意した場合を除き、原則としてフィルタリングが適用される。
各社ともさまざまなオプションを用意しているが、ドコモとauがメインで推奨するのは“アクセスを許可するサイト”をリスト化したホワイトリスト方式。ソフトバンクモバイルは、有害と思われるコンテンツを接続拒否リストに加える、ブラックリスト方式を推奨する。決算会見の場でソフトバンクの孫正義社長は、「私たちは原則、性善説。“悪さをした人のWebサイトは見せない”という方式でいこうと思っている」と説明した。
ホワイトリストは、キャリアが認定した公式サイトをベースとしており、リストに入るためには公式サイトとして認められる必要がある。「ホワイトリストに入るためには実績を積んで、“入れてください”と申請しなければならない。また、担当者の判断もなかなか難しい」(孫氏)。また、auとドコモがメインで勧めるフィルタリングサービスでは、限定されたコンテンツサービスにしかアクセスできないことにも触れ「auさんがテレビCMで“auの庭においでよ”と宣伝しているが、auとドコモのフィルタリングは“囲われた庭の中では安全”という思想。auの2000サイト、ドコモの70サイトは庭というより箱庭、あるいは盆栽のようなものかもしれない」と皮肉った。
ホワイトリスト方式は、ブラックリスト方式に比べて安全や安心は保証されるものの、有害ではない一般サイトまでアクセス制限の対象になることから、“行き過ぎ”という声も挙がっている。孫氏は、ある県庁の災害情報の携帯向けサイトまでが制限されたことを例に挙げ、「せっかくよいサービスを提供しても、県庁の災害情報サイトですら掲示板やSNSと見なされて閲覧できなくなるのは本末転倒」だと指摘する。
ブラックリストのほうがインターネットらしい方式であり、今後も自由思想をベースにフィルタリングサービスに取り組むとした。
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