シェアを広げる中国メーカー製3G端末の実力:P&T/Expo Comm China 2008(2/2 ページ)
日本でもデータ通信端末を中心に中国メーカーのモデルが数を増やしつつある。この動きは海外でも顕著であり、P&T/Expo Comm China 2008会場では海外向けに展開する中国メーカーの端末が多数展示。各国通信事業者のバイヤーなどからも注目を集めていた。
世界シェアトップ10入りを果たしたZTE
ZTE(中興通訊)は、主にローコストなCDMA端末で中国国内のシェアを拡大するとともに、海外事業者にも積極的にOEM製品を供給するメーカーだ。2007年は年間出荷台数1億台を突破し、世界シェア6位にまで上り詰めている。3G端末もヨーロッパの通信事業者に複数の製品を供給するほか、2008年は日本通信にHSDPAモデムが採用され、日本市場にも参入を果たした。
ブースに展示されているモデルのうち3G対応端末の製品数こそはHuaweiほど多くないものの、ブランドとのコラボ端末などもあり、特色のある製品が目だっていた。中でも特筆すべきモデルはVodafone向けの「VF1231」。なんと、QWERTYキーボードを備えたWindows Mobile搭載のスマートフォンだ。残念ながらGSMオンリーの端末であり、3Gには対応しないものの、大手通信事業者にスマートフォン端末が採用されるほど中国メーカーも十分な力をつけてきたと見ることができる。
このほかZTEは、中国国内向けのTD-SCDMA(中国方式の3G)端末にも力を入れており、展示会に合わせてHSDPA対応モデルを発表。中国開発のデジタルテレビ放送方式「CMMB」対応端末も他社に先駆けて投入するなど、コストだけではなく技術力の高さも大きくアピールした。
OEMメーカーも3Gにシフト
OEMメーカーのTechFaithブースにも3G/HSDPA端末の特設コーナーが設けられていた。
このうちの1つ「Ginny」シリーズは、一見すると大きな特徴がないベーシックな端末だ。しかし、WG、DG、UCという3種類ものラインアップで展開し、それぞれがW-CDMA2100MHz+GSM3バンドとGSM3バンドのデュアル待受対応、W-CDMA3バンド+GSM3バンド対応、W-CDMA2100MHz+GSM3バンドとCDMA2バンドのデュアル方式対応と、複数の通信方式に対応するのが特徴。このため、多くの通信事業者のバイヤーの目に留まる機会も多かったことだろう。
ここまで多彩な通信方式を1つのシリーズで用意する端末は他社には少なく、やはりOEMメーカーならではといえる製品戦略である。このほか、HSDPA対応のUSBモデムながら、音声通話端末としても利用できる手のひらサイズの小型端末「Jet」や中国メーカーではおなじみのHSDPA対応モデムなども展示されており、特徴的なラインアップが注目を浴びていた。
P&T/Expo Comm China 2008
- 中国で「P&T/Expo Comm China 2008」開幕──再編後の中国3大通信事業者、その動向は
- シェアを広げる中国メーカーの3G端末の実力
- これから本格普及の中国3G、日本の携帯技術にも関心集まる──ドコモ、シャープが「より便利」「高画質」アピール
- 「モデムマウス」「社長ケータイ」──中国の展示会で見かけた気になるケータイ
- 中国の展示会で見かけた“北京”のおねえさん
山根康宏:香港在住の携帯電話研究家。一企業の香港駐在員時代に海外携帯電話に興味を持ち、2003年に独立。アジアを中心とした海外の携帯電話市場の状況や海外から見た日本の携帯電話市場についてなど、海外の視点からコラムや記事を日本のメディアに執筆するほか、コンサルティング活動も行う。携帯コレクターとしても知られ、所有する海外携帯電話の数は500台以上。
関連キーワード
中国 | HSDPA | 華為技術(Huawei) | ZTE(中興通訊) | データ通信 | イー・モバイル | HSUPA | W-CDMA | H11HW | 日本通信 | China Telecom | EV-DO Rev.A
関連記事
- “ヨーロピアンデザイン”採用のベーシックなHuawei製音声端末──「H11HW」
イー・モバイル2機種目の音声端末は、同社にデータ通信端末を供給する中国Huawei製。下り最大3.6MbpsのHSDPAやメディアプレーヤー、200万画素カメラ、Bluetoothなどをサポートする。 - イー・モバイル、7.2MbpsのHSDPAサービス開始──12月から
イー・モバイルは最大通信速度を2倍に高速化した、7.2MbpsのHSDPA通信サービスを12月に開始。同時に7.2Mbps対応端末も発売する。 - イー・モバイル、Huaweiを基地局供給メーカーに追加
イー・モバイルは、携帯電話事業のネットワークサプライヤーとして中国のHuawei Technologiesを追加決定した。Ericssonと2社で地域を分担しながら基地局を整備を担当する。 - イーモバイルの契約数は約5万件――Huawei製端末でペースアップを狙う(2007年6月)
イー・モバイルの契約件数は約5万件――同社社長兼COOのエリック・ガン氏が「D01HW」「ライトデータプラン」の発表会見で契約数を明らかにし、順調な加入者の伸びをアピールした。 - 日本通信、プリペイドスタイルの3Gデータ通信サービスを開始――「b-mobile3G hours150」
日本通信が8月7日から、下り最大3.6Mbpsのデータ通信を最大150時間、約4万円で利用できるデータ通信サービス「b-mobile3G hours150」を提供開始する。プリペイドスタイルを採用することで、月によって利用頻度に差がある層の取り込みを狙う。 - 日本通信、非キャリア端末で3G通信サービスを提供――ZTEと端末調達で提携(2008年6月)
- グローバルなMVNOで“世界最大のケータイネットワーク事業者”を目指す――日本通信
MVNO事業者として、つなぎ放題のデータ通信をいち早く提供した日本通信。オープン化に向かいつつある携帯市場のトレンドをチャンスととらえ、国内外のMVNOによる相互接続を積極的に推進することで“世界最大のケータイネットワーク事業者”を目指す。 - Vodafone、Huaweiと3G携帯のOEM契約(2006年2月)
- W-CDMA市場に参戦する中国メーカー(2005年10月)
- MWC 2008:タッチパネル+HSUPA対応の「G810」、実用サイズになった17.5ミリの薄型燃料電池ケータイも──東芝ブース
海外向け携帯も精力的に投入する東芝は、ハイエンドスマートフォン「PORTEGE G910」や独特のデザインが特徴の「G450」、タッチパネル搭載の新機種「G810」といった端末のほか、実用的なサイズになったモバイル向け燃料電池の展示を行っている。 - 商用テストが始まった中国の3Gサービス「TD-SCDMA」、その実力は
中国の3G規格である「TD-SCDMA」の商用テストサービスが始まった。試験サービスということでエリアはまだ狭いものの、独自に開発したシステムということもあり、海外からの注目度は高い。今回、香港在住の筆者が中国の各都市で「TD-SCDMAがどのくらい使えるか」を実際に試した。 - China UnicomとChina Netcomが合併――中国の通信業界、本格再編へ
- 中国最大の通信関連展示会「PT Comm 2005」が開幕
中国で最大の通信・設備関連の展示会「PT Comm 2005」が10月18日に開幕した。会場は北京国際展覧中心で、今回で15回目。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.