iモードは“黒船”が追いつけない領域に進化している――ドコモの阿佐美氏:ワイヤレスジャパン2009 キーパーソンインタビュー(4/4 ページ)
「(進化し続けている)iモードは不滅です」――。携帯電話業界が転換期にさしかかる中、10年の節目を迎えたiモードサービスについて、ドコモ コンシューマサービス部の阿佐美弘恭氏はこう明言した。一般サイトの台頭やグローバル企業の参入など、コンテンツ業界に新たなトレンドが押し寄せる中、ドコモはiモードプラットフォームをどのような形に進化させ、優位性を保とうとしているのか。
ソフトウェアバージョンアップをどう考えるか
ITmedia iモードはこのところ、一気にさまざまな機能が追加され、私も半年ごとに6万円くらいで新端末を買わなければならない状態なのですが(苦笑)、そろそろiPhone OSのように機能の追加や改善をソフトウェアバージョンアップで行えるようにしてほしいと感じています。「新端末への買い替えで新しいサービスを提供する」といのは、販売奨励金で端末の値引き販売をしていた時代の考え方ですから。
阿佐美 ご指摘のとおりで、新端末に買い替えないとiモードの新機能を使えない――というのは時代遅れ(の考え方)になってきています。最近では、新端末を購入した人は新しい端末なりに、過去の端末でもそれなりに使えるサービスを提供することが重要だと考えてます。
電話帳お預かりサービスなどはまさにそれで、昔の端末は昔の端末なりに利用でき、新端末では+αのサービスを使えます。BeeTVはiモーションが使える端末はすべて対象端末になっています。
ITmedia なるほど。iPhone OSほどドラスティックではないにしても、iモードの新機能を新機種に買い替えなくても使えるようにすることにはすでに取り組んでいる、と。今後も取り組みとして強化するお考えですか。
阿佐美 端末の買い替えサイクルが長引く中、新端末だけに対応するサービスでは普及の速度が下がってしまいます。まさにiコンシェルがそれで、そういう意味ではなるべく多くのお客様に使っていただけるようなサービスで、(販売済みのモデルも含めて)多くの端末に対応させることが重要になると思います。
エアダウンロードは現状、不具合の修正に使っていますが、新機能を追加する用途についても社内で検討しているところです。
「iモードは不滅」――エコシステム全体で進化していきたい
ITmedia iモードは次の10年、どのような姿になるのでしょうか。
阿佐美 むかし某野球チームの監督が(現役引退の時に)言ったセリフを借りますと、「iモードは不滅です」といったところでしょうか。iモードは進化し続けます。これからオープンOSの世界や他事業からさまざまなレイヤーの方が入ってきても、iモードが縮小していくことはないでしょう。
我々の強みは、お客様への戦略的なアプローチを現実に進めているというところにあります。常に市場の変化を見ながら動いているので、ここをしっかり見ていただきたいですね。コンテンツホルダーの方々も、実際に端末をお使いになっている方々も、継続的にiモードをお使いいただければ、不滅であるとともに(一緒に)進化し続けることができるでしょう。
ITmedia 一方で、コンテンツプロバイダやiモード・エコシステムに関わる企業は、ビジネス感覚を変えていく必要はありそうですね。
阿佐美 それはもちろんです。例えば我々も、(コンテンツプロバイダが)何十社かしかいなかった時のモデルのままの考え方もあったわけです。それが今、1万7000くらいサイトがあり、そこまで膨れあがると考え方を変えていかなければならない。我々もただ「数が多くなったのだから仕方がない」というのではなく、いかに多くなったサイトとお客様のマッチングを取るかというところをしっかりとやっていく必要がある。そのために継続的に新しいサービス提案をしていきます。
ドコモはコンテンツプラットフォーム、エコシステムの最先端をいっているので「コンテンツプロバイダも一緒に変わっていきましょう」ということですね。
関連記事
- 特集:ワイヤレスジャパン2009
- NTTドコモ、ワイヤレスジャパン2009に出展――テーマは「変革とチャレンジ」
NTTドコモが、7月22日から24日にかけて東京ビッグサイトで開催される「ワイヤレスジャパン2009」に出展する。「変革とチャレンジ」をテーマに、先進技術や研究開発の成果、新サービスなどを紹介する。 - モバイルビジネス変革期、キャリアトップのビジョンは――ワイヤレスジャパン2009基調講演
7月22日から3日間にわたって開催される「ワイヤレスジャパン2009」。基調講演には通信キャリアのキーパーソンが登場し、変革期の渦中にあるモバイルビジネスについて、今後のビジョンを語る。 - 映像にもパーソナルな時代が来る――エイベックス、携帯向け番組「BeeTV」開局
エイベックス・エンタテインメントが携帯専用番組「BeeTV」の制作発表会を開催した。BeeTVはドラマやお笑い、トークなど8ジャンルの番組が月額315円で見放題となるサービスだ。発表会では、エイベックスの松浦社長や出演者が番組への意気込みを語った。 - 2009年度は、中期ビジョン実現に向けた“弾込め”の時期――ドコモの山田社長
「“変革とチャレンジ”の、手応えを感じた年であり、事業運営はおおむね順調であった」――。ドコモの山田社長は、顧客満足度向上を目指す「新ドコモ宣言」で始まった2008年度を、こう振り返った。2009年度は、顧客満足度のさらなる向上や新たな収益源の創出に注力し、中期ビジョンの実現を目指す。 - 新ドコモ宣言、第2幕へ――ドコモの山田社長、「究極のケータイ」目指す成長戦略を発表
4月の新ドコモ宣言から半年――。顧客満足度重視の戦略へと舵を切ったドコモの施策は、着実にその成果を上げている。ドコモの山田隆持社長は決算会見で、その先の取り組みに言及。3つの大きなチャレンジで、持続的な成長を目指すとした。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.